梅さんのかわら版.umelog

我が家の琉球朝顔~オーシャンブルー

”辻村深月と北条裕子”

2018-07-13 02:38:42 | 本と雑誌
辻村深月と北条裕子…
この二人は山梨学院大学付属高校出身であり、新人とベテラン
という違いはあるが、作家という共通点がある。
辻村深月は2004年にデビューすると同時に、数々の新人賞を受賞し、
2009年と2011年には直木賞候補となった。そして2012年に満を
持してようやく受賞となった時には、笛吹市全体で祝ったものである。
一方、北条裕子は今年、デビュー作「美しい顔」で群像新人賞を受賞し、
いきなり、第159回芥川賞候補となった。この発表は未だされていない。
今、この北条裕子のデビュー作「美しい顔」が盗作(用)疑惑で揺れている。
「美しい顔」は3.11の震災で母親を亡くした少女の話だが、その中に盗用
したと思われる表現が何カ所も見つかった。それで出版社元や作者から
書き換えや謝罪を求められる事態となっている。
北条裕子は被災地に一度も行っていない。その北条が被災した少女が主役
の小説をどのように書いたのか?それは既に発表されている資料を参考に
するしかないだろう。被災者の生々しい体験や、被災地の惨状は既に何ら
かの形で発表されている。それが盗用に当たるのか、ただ単に参考文献を
表示しなかっただけなのか…それだけの問題で済まされるのか?
実は短歌、俳句界においても、被災地に行ったことのない人がテレビ等を
見て、歌を作ることが大問題となったことがある。大半は批判的であった。
歌人の今野寿美さんもある講演会で、自分も反対だと言っていた。
北条裕子が一度でも現地に行って、被災者と向き合っていれば、これほど
の批判は無かっただろう。又、それが無いのなら、小説はフィクションなの
だから、パクリなどと言われないような、北条独自の表現で全て書けば
よかったのではないか…。何かと問題の多い作品だ。何れにしろ、
2018年7月18日(水)18時より、「第159回芥川龍之介賞・直木三十五賞」
は発表される。注目したい…