梅さんのかわら版.umelog

我が家の琉球朝顔~オーシャンブルー

"渡辺えり講演会~保阪嘉内との関係は”

2016-07-11 11:10:50 | 講演会

文学館で、宮沢賢治特設展をするにあたり、渡辺えりさんの記念講演会が開催された。
その日は、他に用事があったが、えりさんの話も聞いて見たいと思い行ってきた。


話を聞いて行くと、それはえりさんの父親に遡る。
えりさんは山形生まれ、その父親が戦争中に府中にあった中島飛行場での体験の中に、高村幸太郎との出会いがあった。
その後、高村幸太郎とのハガキのやり取りという親交があり

ようやっと、高村幸太郎の縁で宮沢賢治に行きつく…そして、今回のテーマである「保阪嘉内」が出てくる。
保阪嘉内は山梨県韮崎市出身で、盛岡高等農林学校で、宮沢賢治と共に勉強した仲間だ。
その三人とえりさんの父親との話は迷路のように行きつ戻りつ…
でも、父親のたっての希望で山梨にある保阪嘉内の墓参りをしたという話は、その親交の深さを知るエピソードだ。
えりさんは父親を通して宮沢賢治に出会い、そしてその作品に出会い、ライフワークとしているようだ。

先週の木曜のプレバト俳句の査定でえりさんの句が才能あり一位に選ばれているが、
  亡き友よ星河を渡れ我れジョバンニ   渡辺えり
     ~銀河鉄道の夜を詠んだものである。~

宮沢賢治は37歳、保阪嘉内は40歳の若さでこの世を去るのだが、その間に交わされた手紙73通が今回の特設展のテーマとなっている。

"万歳峠~歌語り”

2015-08-09 05:39:25 | 講演会

一見してただの石垣のように見えるもの。
これが万歳峠だ。
峠というからどこかに、例えば御坂峠みたいなものがあるのかと思った。
しかし、この峠はその峠とは違う。

出兵する兵士たちの舞台。
この石積の上に立ち、兵士たちは決意を述べ、そして戦争へと出て行った。
その下では、村の人々や家族が戦勝と無事を祈り、万歳を唱え送り出した…
それが「万歳峠」なのだ。


日本全国に万歳峠と言われるものはあるが、山梨県の北杜市にも万歳峠はある。
戦後70年、この峠のことなどいつしか忘れ去られていた。
草木が生い茂り、痕跡もなくなり…
それを、掘り起して伝えているのが山本晴美さん、今日の語り部だ。
実際にこの万歳峠(北杜市須玉町~写真)から出兵した長澤政信さん、当時19歳の話を元に、
歌語りは構成されている。
20年5月、政信さんは神風特攻隊として海に散って逝った…。

歌語りというように、語りの間に歌がはいる。
それがまた、心に響く。ここに紹介したいが、資料がないのが残念…

この人形にも焦点を当てていた。
手の中に入るほどの人形だが、これを身に付けていたという。
母なのか、妻なのか、恋人なのか、身代わりとしてうら若き兵士の心のよりどころであったのだろう…

今年は戦後70年という節目であり、笛吹市は核兵器廃絶平和都市宣言10周年だという。
それで企画されたものだが、あまりに人が少なくて驚いた。
駐車場に止められなかったらどうしようと心配しながら行ったのだが、会場はガラガラだった。
もったいないなぁと思う。
素晴らしい企画なのだから、もっと人を集める工夫が必要だったのでは…

"言葉の力と映像の美”

2014-11-25 00:39:02 | 講演会


映画を観る場合、原作と違ってちょっと物足りなかったり、小説以上で感激したということはありませんか?
先々週から、≪夏目漱石、太宰治、宮本輝などの作品と、それらを映像化した作品とを、言葉と映像それぞれの
特性を踏まえながら比較検討し、小説家と映画監督が伝えたかったことについて考えます。≫
という講座に通っています。

第1回目は夏目漱石の「夢十夜」でした。
最初に、小説を読んでイメージを広げます。
そして、映画を観ます。
この映画の場合は、びっくりするくらい斬新な映像化でした。
これで見えてくるのは、映画監督が何を伝えたかったかということですね。
講師は英米文学の研究者である山梨学院の大神田教授。

第2回目は太宰治の「葉桜と魔笛」。
今までなんで読まなかったのかという位、いい小説です。
最初に例によって小説を読みます。
そして、映画を観るわけですが、この小説の映像化はちょっと、自分のイメージと違っていました。
もっと違う捉え方をしていたので、少々物足りなさを感じました。

大神田教授は、”小説に書かれていない部分を読む”ということを言っています。
行間をどう読み解くか、ここにそれぞれの個性が出てくるわけですね。
監督の伝えたかったことに共感するか…否もっと違うとらえ方をするか…
かなり面白い勉強です。