梅さんのかわら版.umelog

笛吹川フルーツ公園の紅葉

青春の証

2022-04-26 15:51:29 | 本と雑誌

12月に市民講座で植えた寄せ植え
今、真っ盛り 
誰にもこのように光輝く時があるのだ

愛と苦悩と葛藤
永田和宏氏の、あの本をしっかり読んでみた
早世した河野裕子氏と永田和宏氏の相聞の記録
歌人と言うのはこんなにも丸裸に文章を書くのか…
という位「辛い」「悲しい」「恥ずかしい」ことも正直に全部書かれている

この本を読んで思った
こういう生き方をした人だからこそこういう歌が出来たのだ…と
永田和宏氏は一見して普通の風貌をしている
どちらかというと、ぼさぼさ頭でどうみてもロマンチストには見えない
だが、驚くのである、その生き様に…歌に…

俵万智は口語短歌の有名な歌人だ
彼女はシングルマザーである
父親は誰であるかは明かしていない
良くも悪くもこのことで歌の世界が広がっている

望んだわけではないが、
奇しくもこのように生きなければならなかった人生

河野裕子の言葉を引用してみよう
≪これは私の青春の証である。他にも生き方があったのでなく、
このようにしか私には生きられなかったのである。
悔いだらけの青春ではあるけれども、もういちど生まれて来ても、
今日まで生きてきたのと同じ青春を選び取ろう。≫
河野裕子の第一歌集『森のやうに獣のやうに』あとがき

永田和宏氏も又同じである









愛の苦悩と葛藤

2022-03-29 11:19:45 | 本と雑誌
最近相次いて発売されて新刊本2冊
読んでみた


『奇跡』
こちらの著者は林真理子さん
センセーショナルなキャッチコピーで読者の心あおる…
奇跡の愛だと
実話だ
主人公は歌舞伎役者の夫と、三歳の男の子がいる女性
過去の人ではなく実際いま女性実業家として活躍している
そして相手はパリを拠点とする世界的写真家
この二人の不倫の物語なのだ
何が奇跡かというと、「僕たちは出会ってしまったんだ」
というこの出会いが奇跡だと言っている


『あの胸が岬のように遠かった』~-河野裕子との青春
この本の著者は、umeさんが愛してやまない歌人の、
今は亡き河野裕子さんの夫の永田和宏氏
二人の相聞の本は既に出ているが、
こちらはその後を追ったものだ

林真理子の奇跡は、読み進んでいくうちに読者は気が付くだろう
以前に柳原白蓮を書いたあの本のようでは無いナ…と
そのがっかりの原因は、題材なのだ
材料が良ければ、そんなに手をかけなくても料理は美味い
如何に新鮮で魅力あるかだ 
歌舞伎界と言うことで、決して表には出してはならないと言っているが
今、中村芝翫が四度目の不倫疑惑を週刊誌に書かれているように、
歌舞伎界は特殊な世界だ

歌人の永田和宏さん(74)と妻の河野裕子さん(平成22年に64歳で死去)は、
歌壇きってのおしどり夫婦
『あの胸が岬のように遠かった』~-河野裕子との青春
この本は、河野さんの死後に見つかった日記をもとに、
永田さんが2人の青春を振り返ったものだ
 ≪二人のひとを愛してしまへり≫
 ≪ほんたうに俺でよかったのか≫

 長生きして欲しいと誰彼数えつつついひにあなたひとりを数ふ  河野裕子
 さみしくてあたたかりきこの世にて会ひ得しことを幸せと思ふ  河野裕子
 わたくしはあなたにふさわしかったのか そのために書き、書き継ぎてなほ 永田和宏
 知らぬまま逝ってしまった きみを捨て死なうとしたこと死にそこねたこと 永田和宏

たまたま、時期を同じくして刊行された二冊
愛の苦悩と葛藤の書だ



図書館の本の探しかた

2021-11-29 16:40:48 | 本と雑誌

笛吹市には合併した町にそれぞれ図書館があるので6か所ある
それぞれがその町にふさわしい図書を集めているということだ

umeさんは、一番近い図書館にいつも行っているが、
借りたい本は当然あるとは限らない
それで、インターネットで予約している
但し、kiiちゃんの絵本などは直接見ないとよく分からない
最近シンデレラの絵本を読んでから、お姫様にあこがれている
そこで、司書の方に話したら、お姫様シリーズを探してくれた
シンデレラ・しらゆき姫・にんぎょ姫・ねむり姫・おやゆび姫の5冊
とっても気にいって、自分はどのお姫様がいいとか言っている

インターネットで新刊書も検索できるので、たまに検索してみると
岸田奈美さんの本が見つかった
SNSで話題になっていたので、早速借りた
早く読んでみたいのだが、やっぱりこういう本は、
コメダでコーヒーを飲みながら読みたいので、
それ迄ちょっと我慢しようかな…


アルルカンと道化師

2020-12-17 15:12:34 | 本と雑誌

8割近くの人が年末年始を自宅でゆったり過ごすという。
そういうアンケート結果が出たらしい。

収まったと思ったら、第二波がきて、
暮から正月は最悪の状況になった。
正月ゆっくりハワイでとか、海外組も多かったが、
今年こそ、籠りの正月となりそうだ。

そんな、正月をどのように過ごすのがいいのだろうか。
図書館で本を借りて読書三昧というのはどうだろう。
というわけで、正月用にたくさん本を借りてきた。
たまたま、予約しておいた半沢直樹の本も手に入った。
この本は予約者が何人もいて、3ヶ月待ちだった。
この時期に順番が回って来てラッキーということかナ…

この「アルルカンと道化師」は、半沢直樹シリーズの第5作目で、
時系列としては第1作の「俺たちバブル入行組」より前のストーリーらしい。

これも又、ドラマ化されるのかナ…
正月休みに入ったら、ゆっくり読んでみよう。
感想はそれからボチボチと…

へんてこライオン

2020-08-27 16:20:01 | 本と雑誌


ホタルのアダムに続き絵本のお話し。
子供たちが小学生の頃、学校で一年間でどれだけ本を読んだかを競ったことがあった。
読んだら絵と感想文を添えて、綴っていくのだ。
学校の教育の一環だったと思う。
我が家の子供たちは一番になったことがある。

今、お母さんと一緒を見ていると、この絵本のお話しが出てくる。
へんてこライオンのお話しだ。
しんちゃんとゆうちゃんというお友達が出てきて、てくてく歩いていると、
ライオンに出会い、なにしているの?と聞くとライオンが何かに変身するのだ。

いつも何かに変身するのだが、それが突拍子も無いものに変身するのだ。
テレビで、顔がトマト、胴体が人参、前足が茄子、後ろ足が胡瓜に変身した。
キイちゃんはこれがお気に入りで、何度も見るので図書館でこの絵本を探してみた。
シリーズで12冊くらい出ていて、5冊借りてきた。

一話はとても短いので、飽きずに次から次へと読み進み、あっという間に一冊を読み切る。
次何に変身するのだろう…と小さい子供はワクワクする本だ。

キイちゃんはまだ字が読めないのに、一字一句覚えてしまい、
大人の私達に読み聞かせをしてくれる…
テレビは映像が流れてしまうけど、絵本は繰り返し読めるのでとっても良いツールだ。


ホタルのアダム~虫の世界

2020-07-20 17:14:48 | 本と雑誌

カマキリを愛して止まない、
あのカマキリ先生が出した絵本がとってもいい!

半沢直樹が昨夜放送されたが、
この本出した人物とあの大和田常務が同じ人間だとは…
でもなんか、それがいいのだと思う。

この絵本にはいつも香川照之が被っている
緑色のカマキリは出てこない。
ヒメボタルのアダムが主人公だ。
そして、緑でなくピンクのハナカマキリの
シャルロットが出てくる。


その他に、カブトムシのガブリエル、テントウムシのミア、
ハチにアリにトンボと興味ある虫がいっぱい。
この虫たちに囲まれ、
ホタルのアダムは苦手なことを克服していくのだ。
最後にほっこりする。

この後も、この中に出てくる虫一つ一つが主人公になる絵本が
順次発売されるという。
明後日はカブトムシのガブリエルの本の発売日だ。
どんな内容だろう…
多分、香川は虫と会話できる能力があり、
我々にそれを伝えてくれるのかもしれないナ

滑走路…自死した歌人の詩

2018-10-19 15:14:55 | 本と雑誌
“きみのため 用意されたる滑走路 きみは翼を手にすればいい”  
                     萩原慎一郎

16日のクローズアップ現代で、この歌集のことを取り上げていた。
角川の短歌雑誌でも取り上げていたので、読みたいと思っていたのだが…
この滑走路は通常の歌集の200倍売れているという。
何故みんなのこの歌集に惹かれるのか…
彼は、この歌集が出版される直前の2017年6月に32歳という若さで
自ら命を絶っている。
学生時代のいじめ、その後の精神的不調そして、非正規として働いた人生…
これらを詠んだ歌は、今の同じような境遇の人たちの共感を呼び
そして、励ましとなっている。
又、そうした過酷な日々と共に夢や恋も歌にしていて、切ない…
彼は、高校生の時に俵万智に出会い、その短歌に触発されて、
短歌を作り始めた。
メキメキと頭角を現し、いろいろな賞を総なめしている。
短歌が彼を救ったのではと思うのだが、何故自死してしまったのか…
32歳とう若さで…
この滑走路はより多くの人に歌を伝えたいということで出版されたという。
自らの境遇のつらさを表現するためだった短歌。その目的は、いつしか変化し
多くの同じ境遇の人たちへのメッセージとなったのだ。
彼が希望したように…

萩原さんが無くなる半年前、知人に送ったメール
“最近思うんです。どう考えても、納得できないような事態と
遭遇してしまう人たちが実際にいること。でも力強く生き抜いている、
そんな姿を見ると心打たれる。
誰からも否定することのない輝きを有しているからです。
だから、ぼくは歌うんだと思います。誰からも否定できない
生きざまを提示するために。”


"北条裕子氏、芥川賞受賞を逃す”

2018-07-19 01:47:24 | 本と雑誌
取りあえず、問題提起したので報告を…
北条裕子の「美しい顔」(群像6月号)は芥川賞の受賞を
逃した。
当然と言えば当然で、1回候補になったからと言ってすぐ
に受賞というのは難しい。
その上、北条裕子の候補作品は、問題点も多かった。
その問題点を、選者がどのように評価するか…
周辺の人達は、きっと今日の結果が待たれたであろう。
委員の島田雅彦さんは「事実には著作権はありませんので、
誰もが書く自由はある」とした上で、
「事実を吟味し、自分のなかで換骨奪胎してフィクション
の中に昇華する努力が足りなかった」
と受賞に至らなかった理由を述べた。

 写真は国立国際美術館(大阪府)

本を読む人が少なくなり、本も売れなくなり、
そうすると書き手も少なり、北条さんのような新人は
金の卵みたいな者だろうか…
新人賞を創設している出版業界は、そうした厳しい中にも、
新たな、才能の出現を期待する。
そうすることによって、又吉直樹のような異色の物書きが
突如として現れることもあるのだ。
講談社が北条裕子の才能を潰さないよう、守っているという、
図式が見えてきた。
本当に才能があるのなら、生き残ることが出来るだろう。
いい意味でも悪い意味でも、話題に上った新人である。
その答えは作品で示せばいいことである。



”辻村深月と北条裕子”

2018-07-13 02:38:42 | 本と雑誌
辻村深月と北条裕子…
この二人は山梨学院大学付属高校出身であり、新人とベテラン
という違いはあるが、作家という共通点がある。
辻村深月は2004年にデビューすると同時に、数々の新人賞を受賞し、
2009年と2011年には直木賞候補となった。そして2012年に満を
持してようやく受賞となった時には、笛吹市全体で祝ったものである。
一方、北条裕子は今年、デビュー作「美しい顔」で群像新人賞を受賞し、
いきなり、第159回芥川賞候補となった。この発表は未だされていない。
今、この北条裕子のデビュー作「美しい顔」が盗作(用)疑惑で揺れている。
「美しい顔」は3.11の震災で母親を亡くした少女の話だが、その中に盗用
したと思われる表現が何カ所も見つかった。それで出版社元や作者から
書き換えや謝罪を求められる事態となっている。
北条裕子は被災地に一度も行っていない。その北条が被災した少女が主役
の小説をどのように書いたのか?それは既に発表されている資料を参考に
するしかないだろう。被災者の生々しい体験や、被災地の惨状は既に何ら
かの形で発表されている。それが盗用に当たるのか、ただ単に参考文献を
表示しなかっただけなのか…それだけの問題で済まされるのか?
実は短歌、俳句界においても、被災地に行ったことのない人がテレビ等を
見て、歌を作ることが大問題となったことがある。大半は批判的であった。
歌人の今野寿美さんもある講演会で、自分も反対だと言っていた。
北条裕子が一度でも現地に行って、被災者と向き合っていれば、これほど
の批判は無かっただろう。又、それが無いのなら、小説はフィクションなの
だから、パクリなどと言われないような、北条独自の表現で全て書けば
よかったのではないか…。何かと問題の多い作品だ。何れにしろ、
2018年7月18日(水)18時より、「第159回芥川龍之介賞・直木三十五賞」
は発表される。注目したい…

"君たちはどう生きるか"

2018-06-26 15:57:48 | 本と雑誌

吉野源三郎原作の『君たちはどう生きるか』を読み終わった。
この本は、100万部突破のベストセラーとなっているが、
実は昭和12年の本だ。
本の好きな人なら既に読んでいると思うが、漫画本にもなっている。
何でこの本がベストセラーになっているのか…
コぺル君という中学生が主人公だが、この多感な時代、誰もが、悩み、
苦しみもがき、、答えを見つけだせず長いトンネルに入ってしまった時、
後見人の叔父さんがこれに応えてくれている。
さりげなくコペル君を見守っている叔父さんがいいのだ。

第6章の「雪の日の出来事」は、今の年になっても胸が痛くなる青春の日
の一コマだ。自分の過ちに深く傷つき死んでしまおうと思うくらい悩む。
しかし、終始一貫してコペル君を見守って来たおじさんがこの場においても、
しっかり道筋をつけてくれているのだ。
私たちはどう生きたらいいのか…
まあ、とにかく読み始めたら最後まで止まらない。
大人でも一度は読んでみたい本だ。