2月29日。
この日は私にとっては、ツイてない一日だったのです。
朝にショックを受ける出来事が起こり、
雷が鳴りヒョウが降り、
注文していたネコのエサが届いたと思ったら、
間違えた種類の物が、大袋2個 届いた。
仕事帰りに、滅多に休まんスーパーに寄ったら、
休んでた。
おかげで晩ご飯は、いっさい具の無いチャーハンだった。
炒めた白米だった。
おはようございます。
そんな、うるう日の出来事を記しておこう。
あれは、本当に現実だったんだろうか・・・
私は、いつもの道をいつものように車を走らせていた。
その道の真ん中に何かが居るのが見え、
速度を落として、眼を凝らした。
そして、その正体が解り、衝撃が走った。
私は車を停めて、ハザードボタンを押す。
後続車が追い越す中、車から降りてそれに向かう。
「お前、何してるんだ。こんな所で・・・」
思わず、そう呟きながら手を伸ばしかけた、その時、
辛うじて擡げていた頭が、地面に沈んだ。
ハヤブサが、死んだ・・・
私は、空をよく見上げる。
辛いとき。やり切れんとき。
単純に、鳥が観たいとき。
数年前から、その空に、このハヤブサが姿を現すようになった。
たった一羽で、すべてに立ち向かう、ハヤブサ。
いつしか私は、このハヤブサに強い感情を抱くようになる。
がんばれ、生き抜け と。
そして、この感情は、自分自身へとも重なっていく。
がんばろう
生き抜こう
このハヤブサのように
こうして私は、毎日のように空を見上げた。
辛い時も、ハヤブサは風を切り、
やり切れん時も、ハヤブサは風に舞い、
いつ見上げても、美しい姿に憧れた。
そのハヤブサは、死んだ・・・
道の真ん中に置いていくのは忍びなく、
ビニール袋に死骸を入れて、車へと運んだ。
一滴の血すら滲んでもおらず、驚くほど温かく軽かった。
動物の死骸は、この地域では生ゴミだそうで、
ゴミ袋に入れておき、私は仕事に就いた。
けれど、せめて、草の上に置いてやりたかった。
その体は、この星の循環の中に居るに相応しいと思った。
私は仕事を終えてから、
死骸をこっそり草むらに置いて立ち去った。
私が見上げる この空には、もうハヤブサはいない。
その立ち尽くす側を吹き抜ける風に、ハヤブサを感じ、
私は、ふたたび思う。
精一杯、生き抜こう あのハヤブサのように
※ 野生動物に、むやみに触れる事は危険です、注意してください。