ちょっと、奥さん!
もう7月ですってよ。
おはようございます。
自慢じゃないが、
私は小学5~6年生の頃、母さんとスーパーへ行くと、
よく、試食販売のおじさんに、声を掛けられたものだ。
「ちょっと、そこの奥さん!」っとね。
当時の私は、
40代後半の肝っ玉母さんに見えたのだろう。
否定はしない。
物凄く高い確率で、声を掛けられたのだから。
今考えれば、
この時期が、私の最初のモテ期だったのかもしれない。
第2期モテ期は、女子高生の頃だ。
バイト先では、男性店員3人で、私の取り合いになったんだ。
ほんとです!
女性店員、唯一の私。
2年ぶりに入った、唯一の女性店員の私。
2年前まで居た、唯一の女性は60代の店長、
それ以来のゼブンティーンの私。
彼らは、極限まで飢えていた。
モテないはずはなかった。
第3期モテ期は、20代の頃だろう。
お嫁に行った先には、大きな和犬が居て、
私は、その犬と毎日朝夕、雨の日も風の日も散歩に出かけた。
決まった時間に必ず現れる私は、
数人の男性の希望の星だったのだろう。
1人目は、公園で露出。
2人目は、高架下で露出。
3人目は、トリッキーに場所を変えての、露出。
彼らは、コートをめくってのパターン、
スラックスをずらしてのパターン、
ファスナーから覗かせてのパターンと、
それぞれの個性を露わに変態行為に明け暮れた。
私のために・・・。
いや、彼らの本音は、
「近所のお嬢様学校の女子高生に、オレを見てもらいたい」のだろう。
しかし、お嬢様は、独りで歩かない。
そう学校側からも注意を受けていたんだ。
数人の女子高生を相手にしての変態行為はリスクが高過ぎる。
そこで、必ず決まった時刻に犬と現れる私で、
自分の欲求をごまかしたという訳だ。
しかし、そのおかげで、
次々と、おまわりさんに簡単に捕まってしまった。
なんて、罪な女なんだ、私ったら・・・。
30代の頃も、これは、モテ期か?という時期があった。
厳しい修行を経て整体師となった私は、
勤めていた治療院にやってくる若者たちの指導を仰せつかった。
その中に、ある20歳過ぎのロン毛茶髪の青年と出会ってしまった。
「ちーっす。
自分~、すげー仲のいい先輩から~、
バカイチって呼ばれてるんっス」と自己紹介をする青年に、
「そんな酷いあだ名を付ける先輩と仲良くしてんの?」と聞くと、
「そっすね。チンカス先輩って~、超優しいんすよ~」とほほ笑んだ。
その時、私は、バカイチ呼ばわりの意味がすぐ分かった。
それ以来、指導をすれど、一向に上達はせず、
それでも、彼なりに頑張っているように見えた。
そして、何より、どうも憎めない男だったんだ。
しかしある日、彼から治療院に、
「散髪に行きたいから休みます」という電話が来た。
「もう、うんざり!」と腹を立てた翌日、
彼は、いつも通り、ニコニコしながら「ちーっす」と言って出勤してきた。
そんな彼を見るなり、治療院内、すべての人間が、
「お前、髪、1ミリも切ってねーじゃなーか!」の大合奏だった。
呆れながら、彼の練習台になっていると、
「自分~、鍼灸師になりたくて、ここに来たんすよ~」と言う。
今更、それ言うの?と思いながら、
「ここ、整体だよ、鍼灸じゃないよ」と返すと、
「そうなんっすよね~。ヤバいっす」と笑っている。
こいつ、本物のバカイチだ。
「でも、ここで頑張るっス。ちょうヤバいんっすよ~」
相変わらず、軽いな。
「頑張らないと、親にマジで勘当されるんっすよ~」
ヤバいな!ちょうヤバいぞ!マジでやばい!!
この頃からか、
私まで、話し方が、チャラチャラし出したが、
気にしてもいられない。
親に勘当されては、大変だと指導を続けた。
そんなある日、バカイチが私の携帯の番号を聞いてきた。
「おかっぱさんって~、ちょう話が合うんっすよね~。
ご飯、一緒に行かないっすか~?」と誘ってくる。
こっちはね、奇遇にも、話が合うのではない。
合わせてやってんだよ、心外だ!
そう思いながらも、ご飯くらい、いいのではとも思い始めていた。
ところが、バカイチと同期の、もう一人の後輩が、耳打ちしてきた。
「おかっぱさん、あいつとは行かない方が・・・」と言うのだ。
ちなみに、この、耳打ちして来た後輩というのが、
たいそう霊感が強い事で知られていた。
その霊感君は、バカイチとは違い、
若いのに人間も出来ていて、
滅多な事を人に言わないような青年だ。
その霊感君は、言う。
「彼は、素直でいい子ではあると思うんです。ただ・・・」
ただ?
「ただ・・・」
なに?
「彼の後ろには、サルしか見えないんです」
霊感君いわく、普通、人の周りには、守護霊やご先祖様、
時には愛していたペットの姿なども見えるらしい。
ところが、バカイチは
「サル、1匹だけが見えるんです」
サルが1匹?
「そうです、どうしてか、サル1匹」
それは、どういう意味なの?と聞いても、
「分かりません。ただ嫌な予感がするんです」と。
そして、この予感は、見事に当たったんだ。
数日後、私の携帯が鳴った。バカイチからだ。
「おかっぱさん、いつご飯行きます~?」
んん~。
「ちなみに、おかっぱさんって、一人暮らしっすよね?
例えば~、ご飯食べに行くじゃないっすか~、
そうなると、すげー眠くなるタイプなんすよ、自分。
で、その時は~、おかっぱさんの家に泊まるってパターンって」
ここで、
バチャン!
と携帯を閉じた、私であった。
バカめ!
その後、バカイチは、
物凄い資産家の一人息子だったと知り、
少しだけ、後悔したとかしないとか・・・。
さて、長い前置きでしたが、
今日は、我が家の一人息子の寝顔でも見て過ごそうと思います。
垂れてる寝
垂れまくってる寝
出てる寝
顔、無い寝
抜け毛にピントが合っちゃった寝
もう、出ちゃった寝
今日から、今年下半期に突入ですね。
皆さま、暑さとモテ期に、どうぞお気を付けくださいませ。