うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

ありのままな自分を、更新中

2018年09月08日 | 日記

昨夕、私が帰宅した直後に、

我が家のおじさんも帰ってきた。

早朝出勤だったから早めの帰宅だったようで、

私が「おかえりー」っと出迎えたら、

うわぁぁって、のけ反っていたんだ。

どうしたんだろね?

 

おはようございます。

私は、運転免許を取得して以来、ずっと抱き続けた夢があった。

「免許証を、堂々と人に見せたい」という夢だ。

 

証明写真の自分を、力の限り、盛りたい!

そう願いながらも、更新の度、ありのままの自分を免許証に刻んだが、

5年ぶりの更新のお知らせのハガキを見て、私は思った。

 

機は熟した。

やるなら、今だ!

 

という事で、誕生日前から構想を練り始めていた。

なかなか、いいイメージが降りてこない。

それもそのはずだ。

私は滅多に、フルメークをしない人間だ。

お絵描き程度しかした事がないのに、

突然真っ白なカンバスに、前衛的な油絵で描いてみて。

この茹でタコを。

と、言われているのと同じくらい難しい話だ。

 

頭を抱えこんでいる間に、誕生日が過ぎてしまった。

すっかり煮詰まってしまった私は、

会社で隣のデスクの熟女さんに吐露した。

「実は、まだ更新してない」

すると、熟女さんは、なぜか、すごい剣幕で

「なにやってんのよ!早く行きなさい。

明日、仕事の合間に行きなさいよ、絶対よ」と。

 

この熟女さんの叱咤が、私の激励となった。

もう後はない。

やるっきゃない。

そうして、ついに、昨日の朝、

私は己の感性がおもむくまま、

真っ白に塗りたくったカンバスに、一心不乱に筆を走らせた。

今回のメークのテーマ

「ナチュラルに見える、5割盛りメーク」

ここで、メークのポイントを皆さんにもレクチャーするわよ。

いい?メモのご用意を!

まずは、髪型ね。

加齢に伴い下垂してくる皮膚は、髪ごと上へ引っ張っちゃいな!

これで、マイナス10歳よ。

皮膚が吊られた事により最大に見開いた四白眼の瞳の際は、

太目の縁取りアイライン。

気を付けたいのが、瞬きね。

ここまで皮膚を引っ張っると、瞬きは出来ないの。

そこは、覚悟して!

でも、ご安心を。

さらに目を大きく見せたいと思って付けた、つけまつげが、

少しだけ、貴女の瞳を守ってくれます!

眉のポイントは、思い切りの良さよ!

自分の眉毛なんて、気にすんな!

気にせず描きたいように描けばいい。

なりたい自分になればいい!

そして、最大のポイントは、ノーズシャドー。

もう、理屈をこねる必要はないわね。

陰と陽のコントラストをナチュラルに演出して!

ちなみに、リアルな図解はこうよ。

ねっ、ナチュラルでしょ?!

おじさんは、この顔見て、どうしてのけ反ったんだろね?

 

こうして、私は5割増しで、まず出勤した。

ずっと、俯き気味で朝の業務を終え、ついに警察署へと向かった。

受付に行くと、まずは書類を渡され、

「ここに3000円分の印紙を購入して貼って、また持ってきてください」

と説明された。

5割増しの自分に自信過剰な私は、余裕の笑顔で

「はい、ありがとうございます。」と言ったが、

実際には、笑顔は作れなかった。

そんな繊細な表情が作れるほど、生半可な引っ張り具合ではなかったのだ。

 

そして、私は瞬きがしずらいがゆえ、かなり乾きが酷い瞳で、

印紙を買うため財布の中身を見た。

 

そこには、なんと、1000円札が、1枚だけ。

その時、私の口からは、「ぷーっ」という音しか出なかった。

人は、こういう時、ぷーって言ってしまうんだと知った。

次に私が発した言葉は、焦って電話を掛けた時だ。

「熟女さん、助けてください。お金が足りないんです。」

その時、話の向こうの熟女さんは、

息も絶え絶えでハーハーと漏れる息の合間に聞こえる、

おかっぱの言葉を、何とか理解でき、

一瞬、(私がお金を持って行くべきだろうか?

だって、この子、なんかハーハー言ってるし、もう、独りでは無理なんじゃない?)

と思ったが、一応、

「近くにATMあるはずだから」とアドバイスをした。

 

その的確なアドバイスのおかげで、冷静になった私は、

一旦警察署を飛び出し、玄関に立っている警察官に

「あの~、この辺にATMってどこにありますか?」っと声を掛けた。

が、その時、私の携帯電話が鳴った。

ポチャン・ポチャン・ポチャン・・・・

相変わらず着信音は、水の滴り音だった。

私は、咄嗟に熟女さんだと早合点し、

「ちょっとすみません」と警察官に会釈しながら、電話に出た。

すると、先日契約させていただいた保険屋さんだった。

「あの~、おかっぱさんに~お知らせが~あるんです~」と。

なに?

「あの~、最終審査なんですが~」

なんなの?

「結果から申し上げると~」

早く言って?

「審査が、通りませんでした~」

あかん、わし、色々盛りだくさんで、泣きそうや!

 

そこで、ふと警察官に顔を向けると、

愕然とした私には、その警察官が何を言ってるのか、もう耳には入ってこなかった。

ただ、最後に、

「・・・にあると思うんですが、間違っていたら、大変申し訳ございません」

と深々と頭を下げた事だけは、しっかり受け取れた。

 

その真摯な警察官の対応を映した、乾ききった私の瞳には、

潤すに余りあるほどの、涙が溜まっていた。

 

あやさん?

おばちゃん、疲れたよ。

長い1日だったよ。

せっかくゴールドなのに、更新する時間が無駄に掛かってしまったよ。

 

やっぱりさ、どれだけ盛ったって、

ありのままの自分は、変えられんのだな。

スットコドッコイは、変わらないんだな。

 

あや「おばちゃんのお化粧、怖かった~」

うん、君、

昨日、一切私に近づこうとせんかったもんな。

 

あや「はい、動物番組、終わった~」

さすが、君は違いが分かるんだな。

あの、おじさんですら、気付くほどのナチュラルメーク、

結果、功を奏したかって?

焦って汗だくになり、

泣き笑いしながらATMへ走った後の撮影だもん。

そりゃ、今までで、最も酷い証明写真を手にした事は、言うまでもない。