うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

6月11日は、よねの命日だった。

2020年06月13日 | よねの事

今日は、我が家のおじさんの誕生日だ。

そんなこと、どうでもいい!

 

おはようございます。

いや、プレゼントはもう渡してるから、いいじゃんね?

すごくかっこいい洋服を渡したから、いいじゃんね?

すごくお値打ちになっていたけど、いいじゃんね?

 

そんなことより、

よねが極楽へ行って、1年が過ぎていたんだった。

6月11日、よねが逝った日だった。

いや、よねを忘れたわけじゃない。

ただ、日にちは、すっかり忘れていた。

 

私にとって、よねが居なくなった我が家は、

ひと時代が幕を閉じたことを意味する。

なんとなく、そんな感覚なんだ。

うめ・よね・きくは、

私が、まだお嫁さんだった頃に出会った猫達だから。

当時は、夫婦で一軒家を建てて、そこで初めて子犬を飼った。

私の夢がようやく叶った時だった。

今、こんなに猫を飼っているが、私は無類の犬好きなんだ。

でも、その子犬は、1か月で逝ってしまった。

そのわずか1週間後、うめと出会った。

そこから、私の猫まみれな暮らしが始まった。

よねは、第2陣として、近所の軒下からやってきた。

酷く汚れていて、弱っていて、とても小さかった。

鼻の下の鼻くそみたいな汚れがどうしても取れなくて、

病院の先生なんて、アルコールで拭きとろうとしていたっけ。

しかし、汚れじゃなかったんだ。

鼻くそみたいな黒子だった。

皆で、よねに「ごめんね~」って笑いながら謝ったよね。

 

よねが1歳になった頃、スーパーへ買い物に出たはずなのに、

買い物袋の代わりにキクを連れて帰ってきた。

当時、私は猫の事なんて、全く知らないから、

連れてきた子猫のキクを、すぐさま、うめとよねに差し出して見せた。

2匹は、ウ~ともシャーとも言わず、温かく迎え入れてくれたんだよね。

でも、その頃、私は、もう夢なんて一つも持てなくなっていた。

莫大な借金を抱え込んで、死のうとさえ思っていた。

私の望む夢は、どれだけあがいたって、

何も掴めやしないんだって思い込んでいた。

 

死んだような目で、なんでもやって借金を返し終わった頃、

私は、夢の象徴だった一軒家を出た。

ボロアパートに、うめとよねときくを連れて。

大して可愛がってもやれていなかった3匹と暮らす部屋を探すのは

決して簡単じゃなかった。

なのに、私は3匹を置いていこうとは全く考えなかったんだ。

無職の文無しのくせに。

そんな私に貸してくれる部屋なんて、

信じられないくらいボロいアパートしか無かったんだよね。

ドンドンって叩くだけで、玄関のドアが開いちゃうくせに、

いくら叩いても窓は決して開かない部屋だった。

その直後に、うんこが空からやってきて、

ここからが、第2幕の幕開けだったという訳だ。

 

私はせっかく借金が明けたというのに、

まだ必死に働かなくちゃいけなかった。

でも、猫4匹を食わせていくのは、不思議と全く苦しくなかったんだ。

猫のためにって、猫貯金までし始めていたんだよね。

そしたら、思いのほか貯まっちゃって、

あろうことか、その猫貯金を着服して、

田舎に引っ越し、自分の店まで作ってしまった。

それが、今の部屋だ。

気付けば、自分の店を大きくすることを夢見るようになっていたが、

その夢も、あっけなく消えた。

脳卒中で倒れちゃったんだよね。

なのに、あの時は、まったく嘆く気にはならなかった。

いろんな人に心配や迷惑をかけたのに、

まっいいかって感じで、周囲に叱られるくらい、反省もしなかった。

頭にフランケンシュタインみたいな縫い跡を残して家に帰ったら、

4匹が居たから、まっいいかって思っちゃったんだよね。

 

なのに、すぐ5匹になった。

あやは、横の川からやってきた。

そして次は、おたま。

あれよあれよと6匹になったが、

その1年後、うめは極楽へ旅立った。

6匹から、5匹へ

その後も、きくが旅立ち、4匹になった。

 

そして、去年、第三幕の幕が開いた。

考えてみたら、よねは生前、

3つの家と、目まぐるしい人生を過ごした飼い主と、

里子へ出た子も含めて9匹の猫、

そして、2度の死を見てきたことになる。

いつも静かに、ずっとそれらを見てきたんだよね。

私の側で、18年間、

お気に入りの座布団から、ずっとね。

だから、私は今ここに居るんだ。

思い描いた夢は、何一つ手に出来なかったくせに、

今、ここに居られているのは、

よね、君のおかげなんだ。

 

よねちゃん?

よ~ねちゃん?

 

よね、ありがとう。