たれ蔵の本当の名前は、
ほくろだ。
おはようございます。
甘えん坊の甘ったれだから、いつしか、たれ蔵と呼ぶようになってしまった。
でも普段、たれ蔵は、そんなに甘えては来ない。
甘えていたのは、ほんの2か月間だけだったんだ。
産まれたてホヤホヤの、のん太達がやってきたからね。
あれ以来、たれ蔵は甘ったれじゃなくなった。
一丁前の猫みたいに、暮らすようになった。
のん太達の面倒も、本当によく見てくれた。
たれ蔵はしっかり者の優等生になっていた。
そのくせ、たれ蔵という呼び名だけは、そのままになった。
今も、私はほくろとは呼ばない。
たれ蔵と呼ぶ。
ある日も、
「たれ蔵、どこ?たれちゃん、どこにいるの?」と探していた。
すると、たれ蔵は、部屋の隅っこで、毛布を口に咥えて揉んでいたんだ。
たれ蔵は、やっぱり甘えん坊の甘ったれだったんだ。
私は、すぐさま駆け寄って、
「たれ蔵、いつからそれを覚えたの?」と不思議に思った。
そして、「たれ蔵、ごめんな。」と、
たれ蔵を、慰めるように撫ぜた。
もっと、たれ蔵を甘えさせてやりたい。
私は、そう願ったんだ。
控えめな優等生たれ蔵を、見逃しちゃいけない。
たれちゃん、撫ぜ撫ぜして欲しいんだな?
いつだって、見逃してはいけない。
母ちゃんは、こんな状態だって、見逃さないぞ!
たれ蔵「母ちゃんが、なんか、怖いよ~」