最初に出会った猫は、
オス猫だった。
おはようございます。
当時、勤めていた会社の倉庫に
段ボールに入れて捨てられていた、キジトラの子猫だった。
母さんが大の猫嫌いだったから、家に連れて帰れず、
しばらく、倉庫で世話をした。
小さかったから、単純にチビと呼んでいた。
そんなある日、
チビの元気がなくなって、動物病院に連れて行ったら、
「肺に水が溜まっているから、2~3日入院して、
退院後は、せめて治るまでは、室内で看てあげてください。」と言われた。
それを猫嫌いな母さんに伝えたら、
なぜか、ホイホイ歓迎してくれちゃって、
晴れて退院したチビは、
家に連れ帰った10秒後に、布団で放尿した。
初めての家で、初めての排尿が、布団だったんだ。
入院中、溜めに溜めていたから、大量の尿だった。
私は、もちろん、
「あか~ん!」と心の中で叫んだ。
せっかく、母さんがどういう訳か、飼う気になったのに、
これじゃ、私もろとも放り出されてしまうと覚悟した。
しかし、母さんは笑った。
もはや、大笑いして、布団に出来た大きなシミを見て、
「我慢しとったんやな~」と言って、また笑った。
しかも、その時の母さんの笑顔は菩薩様みたいだったから、
私は、普段鬼ババァの母さんの、見たことも無い菩薩の微笑みが、
空恐ろしかった。
けれど、私もチビも叱られなかった。
あれは、きっと、布団に訳があるからだろうと今だから気付く。
チビが放尿した布団が、姉の布団だったからだ。
そして、私や父さんの布団だったとしても、母さんは笑っただろう。
けれど、
母さんの布団に粗相していたら、そっこく放り出されていたに違いない。
母さんとは、そういう人だ。
そして、チビという猫も、そういう猫だった。
どういう猫かというと、
チビのくせにでっかく育って、去勢したくせにスプレーが治まらず、
それでいて、ひどく淋しがり屋で、
寝る時は必ず、母さんの腕枕じゃないと寝ない、
結構、手が掛かる、そういうオス猫だった。
私は、母にチビを託して、お嫁さんに行き、
そこで、メス猫と出会った。
うめさんだ。
あれから、ひたすら、メス猫と出会った。
地元に出戻ってきた頃には、メス猫ばかり5匹になっていた。
もちろん、その頃には、チビはタンスの上に額縁で飾られていた。
まず、前もって言っておきたいのですが、
私は決して、男女差別する訳じゃないのです。
そんなつもりは、毛頭ないのですが、メス猫軍団は楽だった。
きくという三毛猫は、大変気難しい猫だったし、
あやは、恐ろしいド転婆なのだけれど、メス猫ばかりの集団は、
みな自立した大人の集団といった感じで、それなりに平和だった。
ところが、おたまというオスが加わるだけで、
我が家のパワーバランスは、少しずつ不安定になった。
今や、メス2匹でオス3匹となり、なんだか、気を遣う。
メス猫5匹の時より、はるかに気を遣う。
ふわふわと掴みどころのない、不確かな集団となっている。
大きな問題は勃発していない。そこは、まったく有難い。
けれど、なんというか・・・
私は、オスを信じきれないのだ。
なんか、やるんじゃねーか、こいつ?とか
うんこさんに、変なこと、するんじゃねーか、こいつめ?とか、
どうしても心の片隅で、オスを疑ってしまうのは、
私の心の問題だろうか?
バツイチの女だからだろうか?古傷がそうさせているのだろうか・・・
男(オス)って、なんか、よう分らん事するな~って感じなのです。
なぜ、そんなことするの?
どんな意味があるの?という行動が、オスには多い気がする。
それは、私が女だからなのかもしれない。
だって、おじさんに聞くと、
「なんか、分かる気がします。
意味なんて無いんです。ただ、そうしたかっただけ。
男には、それが分かる気がするんです。」
と言うんだもん。
だから、おじさん、貴方は、
洗面場で脱いだ靴下を、わざわざリビングに置くのですか?
さあ、晩御飯出来ましたよって時に、
思いついたように風呂に入ろうとするのですか?
昨今、よく聞くジェンダー問題に、
一石投じるつもりはないけれど、
男と女には、どうしようもなく性差はあるのだと私は思う。
よく、うんこに怒られて、首を傾げているおじさんも、
私やメス猫達の行動がよう分らんのだろう。
言ってしまえば、おあいこっということなのですかね。
前置きが長くなりましたが、
そう、今までのは前置きです。長くてすみません。
我が家のオスには、オスならではといってもいい、問題行動がある。
マウンティングだ。
おたまはもっと若い頃、あややうんこ、いわゆるメスに乗っかろうとしていたし、
たれ蔵は、のん太にマウンティングをする。
そんなに頻繁という訳ではないが、時々見られる行動だ。
理由には、色々あるらしい。
ストレス発散だったり、優位性の誇示だったり、オスの名残だったり。
多頭飼いだから、どれも当てはまる訳だ。
(なるべくなら、やめさせた方がいいとされている。)
対象にされるのが、猫の場合、嫌がる子も多いだろうが、
たれ蔵の対象である、のん太は、
すごく素直に、たれ蔵のマウンティングを受け入れている模様だ。
嫌がらないのん太には救われるが、
私は、見かけた時は、
叱りはしないが、そっと近づいて行き、
「どうしたの?」と優しく声を掛けるようにしている。
すると、たれ蔵はハッと現実に戻るようで、マウンティングを止める。
それが正解かは分からない。
オスの事は、よう分らんが、せっかく我が家の猫達が
オスもメスも、どいつもこいつも、
少しでも、幸せに暮らして欲しいと望みつつ、
今日もセミの声と共に、忙しい一日が始まるのでありました。
こんな感じで、マウンティングしている
たれ蔵、どうしたの?
たれ蔵「ハッ、今、ぼく何してたっけ?」
うんこ「エッチなこと、してたのよ。やーね、男って!」
うんこさん、朝からそんなこと言わないのぉ!