マスクという物は、
ある時は人を救い、またある時は人を困惑させる。
おはようございます。
先日、私は所用で市役所へ出向いた。
会社にまつわる一種の証書を申請しに行ったわけだが、
そういう場合は、私個人を証明する必要がある。
「お客様個人の証明になるものを、ご提示いただけますか?」
と、お役所の職員に言われれば、私はいつも免許証を差し出している。
『お役所仕事』と、よく耳にするけれど、
これが案外、窓口の職員さんによって対応が違っていたりするのが、実に面白い。
そんな先日、窓口の職員さんは、
「運転免許証を見せて頂いて、よろしいですか?」
と、マスクで見えはしないが、おそらく笑顔で聞いてくださったので、
私もマスクで見えはしないが、満面の笑顔で運転免許証をサッと差し出した。
すると、
その職員さんは、私の免許書を手に取り、しばらく見ていた。
マスクで見えはしないが、おそらく真剣な面持ちだ。
そして今度は、
そのまま顔を上げて、マスク姿の私の顔をじっくり見ている。
本人かどうかをしっかり確かめる、とても真面目な人なのだろうと思い、
私もビシッと背を伸ばして立ってみせた。
しばらくして、職員さんは思いもよらないことを言った。
「あのぉ。一瞬でいいので、マスクを外していただけますか?」
えっ?
私は、一瞬戸惑った。
こんな事を言われるのは、コロナ禍で初めての事だった。
とはいえ、拒否をする必要など、全くない。
それどころか、マスクを外すという行為に快感さえ覚えたのだ。
老若男女、誰しもがマスクで顔を覆う中、
私だけが、外すことを認められたのだ。
これは、まさに、優越感だった。
私は、ゆっくり、これ見よがしにマスクを外した。
「あなたにだけ、こっそり、ちょっとだけよ。」
という、若干のエロスさえも感じる中、外した。
しかし、職員さんの顔は晴れない。
免許証の顔写真と、チラリズムに頬を赤らめる私の顔を何度も見比べる。
しかし、どうにも納得がいかないといった具合だ。
どうして?
なに?
なんなの?
私はさらに困惑し、体が汗ばんでいった。
ようするに、
髪を束ねてリフトアップした後、いのちっきりのフルメイクを施し、
小顔に見せるべく窒息する寸前まで首を伸ばし切った証明写真と、
いつもの私との比較が、
職員さんを困惑させたらしい・・・。
さて、のん太は、どうした?
のん太「かかぁ~。ねえ、ねえ、かかぁ~」
なんだい?
のん太「なに撮ってるら?!こっちみりゅな!」
レンズを睨まないのぉ。
のん太「のんたんね、あのね、ねえ、かかぁ~」
はいはい、可愛い顔して、どうしたの?
のん太「おいこら、やんのか?」
って、この対比も、困惑するわ!