休日になると、
あやが容赦ない。
おはようございます。
ドカッと乗ってくるものだから、
トイレにも立てやしない。
あやの凄い所は、平日にはこういうことをしないところだ。
あやは、非常に頭のいい猫だ。
元々、分かりやすい性格で、甘えたいとなれば、素直に甘える。
ただ、こんな風に膝に乗るタイプではなかった。
こんなことをするようになったのは、うんこが逝ってからだ。
そして面白いことに、うんこと同じような乗り方をする。
うんこが逝って、半年が過ぎた。
私は、この世の終わりかのような顔で延々と泣いていたのに、
最近は、めっきり泣かなくなった。
あの時に涙が枯れてしまったのかもしれないと思うくらいだ。
でも、枯れてなんていない。
あくびするだけで、涙は出るのだから。
ただ、うんこを思い出しても、いちいち涙は出なくなった。
うんこの大事なネズミさんを、我が家に残したおかげだろうか。
あやがうんこみたいに甘えて来るからか、
うんこが可愛がった、たれ蔵が元気でいるからかもしれないし、
単純に、のん太が極端なかかぁっ子だからかもしれない。
「のんちゃんが、可愛く寝てるよ~」とおじさんがカメラを構えると、
こんな顔で睨んでいて、笑っちゃうからかもしれない。
それより、おたまが、どんどん心を開いて行っている気がするからか。
「うんこの奇跡は、終わった」
私の人生が丸ごと全部、うんこが起こしてくれた奇跡のように感じていたから、
だから、私の人生も終わったような気がして、
それでも容赦なく、きちんと昇ってくる太陽が恨めしかった。
窓から見える朝の空が奇跡みたいに青いのに、
うんこが隣にいないだなんて嘘みたいだった。
私の人生が丸ごと全部、嘘だった気がして怖くなって泣いた。
だけどいつからか、朝の空が、
今日みたいに青くても、私はもう泣かなくなっていた。
ネズミさんが、机の上にあるからだろうか。
あやを膝に乗せて、窓から空を見ているからだろうか。
たれ蔵とおたまが、なんだか楽しそうに追いかけっこしているからか、
のん太が、じとっとした目で、かかぁを恨めしそうに見ているからかもしれない。
ただ、どういう訳か、猫らに
「ありがとね」と言うと、その時だけは涙が出るようになった。
この世は、なんとも上手くできているものだね、うんこよ。