うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

つまらない朝

2022年04月27日 | カズコさんの事

かずこがいないと、

つまんないんだよな~・・・

 

おはようございます。

私は毎朝、出勤前に実家へ立ち寄り、母さんのサンドウィッチを食べるのが日課だった。

今は少し事情が変わってきた。

母さんの作るサンドウィッチは、もうさすがに食べられない。

味の問題以前に、私の体に健康上の不安を感じる。

胃がやられる・・・。

きゅうりが腐っていたり、パンにカビが生えていたり、

卵を焼く時に使う油の量が多すぎていたりして、胃がもたなくなった。

母さんの認識力や判断力が、著しく低下してきたからだろう。

それでも、母さんが作ってくれた日は、

「昼の弁当に持って行くね」

と伝えて、ラップに包んでカバンに入れる。

でも実は、私はそれを後で捨てている。

捨てるくせに、包んだサンドウィッチが崩れないよう、慎重にそっとゴミ箱の中へ置く。

そんなことをしても、罰当たりであることは変わらないが、

なぜか、ポイっと無造作に投げ捨てることは出来ない。

そういうところだけは、律儀だ。

 

けれど、最近の母さんは、

サンドウィッチを作るという行為さえ、忘れていることが増えた。

そんな時は、代わりに私が作る。

私は、大して料理の腕がいい訳じゃない。

見た目だって、決して良くはない出来栄えだ。

それでも、出来たてを母さんの前に置くと、

「ふわ~、こりゃ美味そうや。」

と、嬉しそうな顔をしてサンドウィッチに手を伸ばすから、

私は慌てて、こう言う。

「かずこさん、入れ歯入れ歯!」

母さんは総入れ歯を装着しなけえれば、食べられない。

このツッコミは、私と母さんの毎度のお決まりだ。

毎度やっているから、互いの間の取り方も完璧で、なんとも心地の良いオチなんだ。

 

ところが、昨朝は母さんはベッドに寝ていた。

お姫様みたいなフリルの付いた布団に小さく沈んでいる。

私は、近くへ寄って呼吸を確認してから、父さんのところへ行った。

「母さん、大丈夫なの?」

父は、テレビを観たまま、

「さっきまでベランダに居ったけど、すーっと歩いてって、また寝ちまった。」

と言った。そして、やっぱりテレビから視線を逸らさないまま、

「あいつも、もう長くないかもしれんな~。」

とぼそっと言った。

私は、その時なぜか焦って早口で話した。

「いやでも、最近歩く時、足取り丈夫になったしね。

買い物カートに捕まると、あの人、すすすすーって早いんだよ。

まるでカートが充電器みたいなんだから~。」

そう言って、私も父さんも笑い、その後は、二人してテレビを観ていた。

 

私と父さんは、時々、流れてくるニュースに意見を言い合いながら観ていたけれど、

それでも、なんだか手持ち無沙汰になり、

私は洗浄液に浸かっていた母さんの総入れ歯を洗い流して、

食卓にお盆を置いて、サンドウィッチの代わりに入れ歯を置き、寝室へ向かった。

フリルに埋もれる母さんに、

「入れ歯、忘れんようにな。」

と囁いて、実家を出た。

 

かずこさんがいない朝は、つまらないものだなぁ。

雨が降る朝、私はしみじみ、そう思った。

 

我が家のあやさんもつまらなそうね?

あや「ちょっと、たれ蔵!そこ、あたしの場所よぉ」

 

あや「ほれ~!やってやるわよ~」

 

たれ蔵「・・・・・」

 

あや「なんか、つまんな~い」

たれ蔵は、無視してやり過ごすことを覚えたようだね。さすがや!!