うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

野良猫ママちゃん

2024年01月10日 | 日記

大型連休が明けたと同時に、

やれやれ、終わった。

 

おはようございます。

連休最終日の夜、

弊社のトラックは、すでに動き出していた。

そのおかげで、車庫内に置かれた皿に、大きな煮干しが数匹入れられていた。

「これは、夜勤の守衛さんだな。」

ママちゃんが唯一信用しているドライバーは、

ちゃんと猫用のドライフードをあげている。

その合間に、煮干しやベーコン、何か分からん食べ物を皿に盛るのは、

夜にだけ勤務する守衛のおじいさんの仕業なのだ。

私は一応、その横にドライフードを盛った。

「さぁ、これで通常営業の始まりだ。」

その日以来、夜の餌やりを止めた。

 

10連休中、ママちゃんに会えたのは結局5日だけだった。

チャー坊とは、私より長い付き合いのママちゃんと、

チャー坊の思い出話でもしようかと思っていたが、

実際は、そんな悠長なことは出来なかった。

人間を極度に恐れるママちゃんのために出来ることは、

少しでも気配を消し、即座に餌を盛って立ち去ってやることくらいだった。

彼女は、思い出の中に生きている訳じゃない。

今を懸命に生きている。

「あんたなんかと関わってる場合じゃないの。」

遠巻きに私を睨む瞳は、私を突っぱねていた。

それでも、私が立ち去るまで待っている姿が健気に見えた。

可愛げのないところが、やけに愛らしく思えた。

「頑張れ、ママちゃん」

とは言えなかった。

「なるべく、頑張らせたくないなぁ」

と、夜の道を運転しながら、祈るように考えていた。

頑張らなくても食べられれば、それに越したことは無い。

 

去年の秋、ママちゃんが産んだ子猫は、

しばらく弊社の車庫内の奥の物陰に隠れていた。

ママちゃんが連れて来たのだ。

たぶん、唯一信用できると決めたドライバーに、

頼りたかったのだと思う。

「この子らにも、ご飯をあげて欲しい」

と言ったに違いない。

この頃、我が家では、たれ蔵を見送った直後だった。

だけど、だから、今なら可能だと考えた。

「どうにか、子猫らを保護したいんだけど。」

と、ドライバーにも伝えた。

けれど怖がる子猫は、餌を置いてやっても食べに来ることさえ、

なかなか出来ずにいた。

ママちゃんが側にいないと、物陰から出ることもしなかった。

そのせいで、ママちゃんの居ない間に、

腹を空かせて闇雲に彷徨い、通りの多い道に出てしまったのだろう。

子猫は、2匹とも道に散った。

 

助けたいと思ったって、助けられない命がある。

私は、チャー坊のことも「助けた」とは思っていない。

そう思えない。

チャー坊は、何度、人間を信じたんだろうと想像する。

野良猫が何年も生き続けるには、どうしたって人間からの餌付けが必要だ。

ママちゃんが、あのドライバーを信じるように、

チャー坊は何度か、人を信じて待った。

そして、どれだけ待っても、その人が来なくなったから、

渡り歩いて、彷徨って、私と出会ったのだ。

時に酷い事故に遭い、時に病に罹り、ボロボロになりながら、

次に信じる人との出会いを求めて彷徨っていたのだろう。

私は、そのことに今だ憤っている。

誰にもぶつけられない憤りだ。

ただ幸いは、私の元で死んでくれたことだ。

 

ママちゃん、信じ続けて欲しい。

そのためなら、私はいつだって、

あの野郎の影武者になろうと思う。