うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

いく道案内人

2024年05月15日 | 日記

本当は、あたし、

おかっぱじゃないんです。

 

おはようございます。

ブログを始めた頃は、紛れもないおかっぱだった。

それが今じゃ、『レベル2』だ。

 

キッカケは、若い美容師だった。

伸びた髪を切りに美容院へ行くと、

指名しない主義の私のその日の担当は、新人美容師だった。

新人とは思えない厳つい格好の男の子だ。

(ああ、彼のファッションのお手本は、イグザイルなんだろうな。)

そう思って以来、私は彼を心の中で「チビザイル」と呼ぶことにした。

しかし、彼の眼は死んでいた。

そして、ぎこちない手つきで、私の髪をチョロッとだけ切った。

「これで、大丈夫でしょうか?」

チビザイルの言葉に、私はえぇぇっ?!と思った。

(どこ切った?ねえ、寝ぐせが治ってるだけじゃない?)

そう思った私は、声を潜めて

「私みたいな歳の女性の髪、切るの怖いですよね?」

とチビザイルに聞いてみた。

すると、チビザイルは私以上に声を潜めて、

「はい、怖いっす。」

と白状した。

 

本当は、伸びた髪をおかっぱにしたかった。

だけど私は、何かに誘われるように言ってしまったのだ。

「貴方のしたいと思える髪型に切っちゃってもらっていいですか?」

すると、チビザイルは目をまん丸にして、

「えっ?いいんすか?」

と言うから、私は、

「いっちゃって~。思いっきりいっちゃって~。」

と煽った。

こうして、私は思いもよらぬショートヘアへと変身したのだった。

 

あれから数か月、

「けっこう伸びたな。そろそろ、おかっぱに戻せる長さだ。」

私は、今度こそ、おかっぱへ戻すべく美容院へ向かった。

もちろん、今回も指名はしていないが、

美容院へ入ると、(居た、居た!)

チビザイルは、相変わらず厳つい格好だ。

だけど、なんだか元気なのだ。

なにより、楽しそう。

そして、担当するお客さんのチェックをしつつ流れるように、私を呼んだ。

「おかっぱ様、こちらどうぞ。」

今回の担当もチビザイルだ。

嬉し恥ずかしだ。

 

この美容院の客層は、30代後半~中年層だ。

他社より少し安価で、気軽なシステムだから、おじさん率も高い。

だから、お洒落命の若者などは、まず見ないなずだ。

 

ところが、案内された席に座ると、チビザイルは

「ちょっとお待ちいただけますか。ごめんなさい。」

と言うなり、小走りでどこかへ行っていしまう。

そして、高校生くらいの若い男性客を、私の右の席へ案内し、

次に、20代だろう、もう一人の男性客を、私の左の席へ案内している。

 

右側の高校生の席では、

「いや~思いっきり、いっちゃいましたねぇ。」

「はい、ちょっとはずいけど、こうしてみたかったんです。」

と盛り上がっていた。

その後は、ささっと左側の20代の席へ行き、

「今回も、かなりヤバイっすね。」

「髪が溶けるかってくらい、いっちゃったよね。」

と、さらに盛り上がっていた。

そして、ついにチビザイルは私の背後へ戻ってきた。

「けっこう伸びましたね?

今日は、どんな感じにしましょうか?」

そう話しかけるチビザイルの眼は、あの頃とは、まるで別人だった。

 

どうやら、チビザイルは、

この美容院で、自分でしか出ない仕事を引っ提げて、

新たな客層を開拓したようだ。

その彼の手は、ひどく荒れていた。

「えっとねぇ・・・。」

さぁ、おかっぱに戻したいから揃える程度でと言え!

私は自分自身に言い聞かせた。

そして、でもまた、言ってしまったのだ。

「お任せで、いっちゃってください!」

「じゃ、いっちゃいまーす!」

 

そんな訳で、私は人類の進化的に脳内を整理してみた。

『右側の高校生は、いっちゃったパーマデビュー』

彼は、これからどこまで、いっちゃうのだろうか?

楽しみです。

 

真ん中の席の私は、『いっちゃった第2段階』

今、ここな!

以前より更に短く切ってみたが、

チビザイル曰く

「白髪部分、めっちゃ白くて、いいっすよね。

ブリーチなしで、めっちゃきれいに色入るし」

だそうだ。

彼に白髪染めの概念はない。七色にしたいらしい。

レベル2は、これから色んな事を経験して、

これから飛躍するぞっという手前だろうか。

 

そして左側は真打ち、チビザイルの作品と言っていいだろう。

きっと、色んな事を経験して、人はこうなるのかもしれない。

『完全にいっちゃった人』

髪は、真っ白のアフロだ。

どうやら、5時間掛かったらしい。

チビザイル、頑張れ!と、

今後は出来れば遠くから見守って行きたいと

思うのであった…。