「もうさすがに、運転はやめて欲しい」
そう言ってから、
父は、かずこが救急車を呼んでしまうほど、酒を呑み続けて荒れていた。
おはようございます。
かずこのボケが一時、こころもち改善したくらい、荒れていた。
私は、父の年齢が90歳だから止めて欲しいと思った訳じゃない。
周囲の人からは、よく、
「もう90歳なんだから、運転は止めさせた方がいい。」
と言われていたが、あやふやに笑って誤魔化していた。
見てもいないのに、歳だけで判断されたら、父じゃなくとも納得しがたいだろう。
だから私は、去年10月に受けた、
父の免許証更新時に必要な認知機能検査にも協力をしていた。
試験対策の本も渡し、
「脳トレ!脳トレ!」
と言いながら、なんだかんだ父をこき使っていた。
「そこ、拭いて!」だの、
「ゴミの日だから、出しといて!」とか、
「また猫拾うから、頼んだで!」と言って、父を動かしていた。
億劫がる父に、
「これが出来ない人は、運転は無理だよね。頑張れ!」
と突き放した。
そんな私に、父はとうとう、
「お前、意地悪い姑みたいだな。」
と言うようになっていた。
その日々の中で父を観察して、そして告げた。
「記憶も、身体能力も、どこを取っても、もう運転は危ない。」と。
父は荒れに荒れたが、納得もしていた。
納得せざるを得なかったのだ。
「もういやだ。こんな鬼姑にこき使われるのはたまらん。」
とも、思ったのかもしれないが、
昨日は、ついに父と愛車の別れの日となった。
とても、静かな別れだった。
そんな私も、ついにお別れだ。
淋しい、淋し過ぎる。
これ、完成してしまったのだ。
中途半端に残っている毛糸を使って、これを編んでみたのだ。
アフガン編みという技法で編んでみたけど、楽しかった。
ああ、終わってしまった。
あや「ねえ、これって何?」
ん?
これ、何だろうね?
ひざ掛けにしては大きいしなぁ。
とにかく、これはこれでいいのだ。
可愛いから!