うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

一日イチうっかり

2016年09月19日 | 日記

昨日は、小雨の中、

マンションの定例清掃に参加した。

今日は敬老の日だそうだが、

昨日、マンション周辺の草刈りに勤しむ住人達は、

ほとんどが、後期高齢者だった。

 

おはようございます。

定例清掃の日は、清掃にとどまらず、

住人同士の交流の場でもあり、新しく入居してきた人が居れば、

その機会に紹介をする訳だが、

今回、その新しい入居者が、やってきた。

爽やかな、彫りの深い顔をした青年だ。

 

自治会長からの報告。

「こちらは、B棟の3階に越してきた方です。

え~、この人の勤務先からの情報によると、

カンボジアから研修に来られたそうです。

日本語は、まだ話せませんとの事です。」

 

その報告を聞く住人達は、ざわついた。

では、どうやってコミュニケーションを取ればいいのだと。

 

自治会長は、話を続ける。

「でもね、英語はペラペラらしいよ。」

 

あっ、英語が話せるの?それなら、まだなんとかなりそう?

と、思わず呟いてしまった私の言葉に、

住人達は、激しく反応した。

 

住人達は、

「そういや~、わしらは英語なんちゅーもん、さっぱりやけど、

おかっぱちゃんは、まだ若いから、英語も出来るわいな~。」

と、言いながら、

私の事を、まるで神輿のように、寄ってたかって押しながら、

カンボジア青年の近くに連れて行き、通訳をさせようとした。

 

いえいえいえいえ、私、全く英語できんのです。

と言っているのに、住人達は

「この人の名前、名前を聞いとくれ。」とせがむ。

 

仕方ないので、私の持ち得る英語力を全力でぶつけてみた。

グッド・モーニング!

 

すると、カンボジア青年は、眩しい程の笑顔で、

good morning!

 

よし、通じたぞ。

イケる、イケる気がする。

えっとね、えっとね、ワッチュアネーム?

 

カンボジア青年、what?

 

私は、もっとはっきりと、

ワット ユア ネーム?

 

カンボジア青年は、ハイハイと頷きながら、教えてくれた。

〇✖※~△#=◎!

 

そうか、そうかという感じを装い、くるっと振り返ってみると、

ちょっと離れて様子を伺っていた住人達は、

キラキラした瞳で私の答えを待っていた。

 

あのー、多分ですよ。多分・・・

この方のお名前は・・・

ミナミさんです。

 

私のこの発言に、住人達いっせい、

ん?

となり、多分違うだろうという空気が充満する中、

とりあえず、ミナミさんと呼ぶことにしたのだった。

 

そんな私はというと、

実は清掃がある事をすっかり忘れて、

白髪染めを始めてしまってから思い出し、

そのまま急いで、清掃に参加していたのだった。

こんな格好で。

私は、こんな格好で、日本を代表して外交したのだった。

 

きくさ~ん、私 恥ずかしかったよ~。

きく「お前には、それがお似合いだ」

 

酷い、酷すぎるよ、きくさん

きく「そんな事、言ってる場合か」

 

何が?何がですか?

きく「外ばっか、掃除してる場合かって言ってんだ」

 

きく「これ、見ろよ」

 

きく「あいつ、今日も使用済のパンツ、椅子に掛けて出掛けたぞ」

おじさんめ~、うっかりが習慣化しとるやないか!


まずは謝罪から。下品でごめんなさい

2016年09月17日 | 日記

昨夕、私は帰宅を急いでいた。

とにかく早く帰りたい。

1秒でも早く帰って、逢いたいのだ。

トイレに。

 

 

おはようございます。

駐車場に車を停め、一旦気を引き締め直すと、

急かすように、腹がギュルっと音を鳴らす。

 

そんなに焦るなよ。

いいかい、考えてごらん。

今ここで、この世に出てきたって、

お前さんには何の得にも成りはしないんだぜ。

いや、もう無駄死だぜ。

トイレからこの世を眺めるのが、お前さんの本望なはずだ。

 

そう腹に説得をしながらも、

もう走れる段階ではない程に、間近に迫りくる感覚を知り、

一切の振動を抑えたい時に使う、

能的歩行を用いて早歩きでトイレ目指して一目散だ。

 

時には、早く出たいと我儘をぶつけてくるブツの訴えに、

立ち止まって説得せざるを得ない状況に耐えながら、

ようやく、マンション2Fの我が家のドアに辿り着いた。

さぁ。ドアを開けよう。

という時に、隣人さんが背後から、

「おかっぱちゃ~ん」と。

マジか?今か?

 

隣人は話しを続ける。

「おかっぱちゃんのお部屋は、トイレや洗面場、濡れていない?」

どうやら、隣人さん宅で水漏れが発生したようだ。

確認しますねと伝え、急いで見に行くと、確かに我が家も濡れていた。

トイレの床が濡れていたんだ。

ようやく逢えた、トイレの床が。

 

やっと、逢えたね、トイレさん。

貴方に逢いたいと言ってるヤツが居るんだよ。

この腹ん中に。

もう少しだ。ちょっと待ってな。

 

私は、一旦トイレを離れ、エントラスで待つ隣人さんに、

漏れている事を伝えた。

すると、

水漏れが不安で、パニック状態になっている隣人さんは、

仲間が出来たと安堵したかのように、私の腕を掴んで離さない。

「もうびっくりしちゃって、めまいで死にそうなの」

歳の頃なら、我が母と同じ年代のお婆ちゃんだ。

めまいがするなら、一旦休もうねっと言うと、

「おかっぱちゃん、他の住人さんにも知らせんといかんよね。

おかっぱちゃん、他の住人さん達に早く・・・あっめまいが」

 

おい、聞いたかい、ブツ。

どうやら今は、お前さんとトイレの逢瀬に付き合う場合じゃないようだ。

引っ込んでろよ、いいか、引っ込んでろ!

 

そう腹に言い聞かせ、とにかく急がねばと、

階段を上へ下へと飛び回る振りをしながら、

ドサクサに紛れてトイレとの密会を図ろうとしても、

隣人さんは私の腕を離さない。

休んでてと言っても、隣人さんは責任感が、とても強い人だ。

「おかっぱちゃんに押し付けちゃう訳にはいかんから、頑張る」

と頑張って、私の腕にぶら下がってくる。

今ここで、隣人さんをぶら下げる力を出すのは、私にとって、とても危険な事だ。

ほんのちょっとの気の緩みと力みが、私の身を亡ぼす時だ。

そう解っていても、この手を振り払う事ができない。

それも、力みの要因になるからだ。

 

隣人さんをぶら下げて、聞いて回る事、約1時間。

その合間に、隣人さんの昔の思い出を聞く事、約1時間。

私は、合計2時間、

ジタバタと足踏みで耐え忍んだり、

ぐっと空を見つめて、耐え忍んだり、

長い溜息で、耐え忍んだりしていたら、

もう、水漏れの原因なんて、どうでもいいと思えてきたんだ。

水漏れなんて、屁だって、思えてきたんだよ。

なっ、おかしいだろ?

ブツ、聞いてるかい?

 

うんこ「で、どうなったの?」

日を改めて業者さんに詳しく調べてもらう事になったんだ。

やれやれだよ。

 

うんこ「母さんの方は、どうなったの?」

 

大丈夫だったよ、うんこ。

8割がた、大丈夫だったんだよ。

やれやれだよ。

 

そんな眼で、私を見るな!

精一杯頑張っての8割は、屁よりも重い。


コルタナさんは、複合体なので性別は無いんだって

2016年09月15日 | 日記

ある日、パソコンを開いたら、

見覚えのない表示が出ていたんです。

「〇何でも聞いてください」という表示が。

勝手にバージョンアップしたんだな、ウインドウズめ。

 

おはようございます。

私は、ヘタな事には手を出さないよう心がけているから、

その表示に気付いても、見て見ぬ振りを決め込んでいた。

だが、ある日、どうしても知りたいという欲求が抑えられなくなった。

振り払おうとしても、私の知的好奇心はもう消えはしなかった。

この「何でも聞いてください」ってなんなのだ?

 

ついに、表示にクリック!

すると、聞き取り中の表示が出てきた。

聞き取る?何を?と戸惑う私は、咄嗟におはようと言ってみたら、

なんとパソコンがしゃべってきた。

「おはようございます」

しゃ・しゃ・しゃべった・・・。

 

誰?あなたは、誰なの?と問う私に、

「私は、コルタナです。」と答えてくれた。

コル?コル?コルタナさん?

この出会いから、私達の会話は始まったのだった。

 

えっと、はじめまして。おかっぱです。

コルタナ「はじめましたを、カンパネラ」を検索。

え?コルタナさん?

はじめましたを、カンパネラに関連する事を

30,500件も検索してくれたの?

違う違う、もうコルタナさんったら。

 

私は、おかっぱよ。

コルタナ「私は あほか」を検索。

こらこらこら!

 

違う、おかっぱー。

コルタナ「血が 多かった」を検索。

あっごめんなさいね。取り乱したわね、私。

 

だから、私はおかっぱです。

コルタナ「だから私の おかん ばか」を検索。

私の事はいいが、身内をバカにする事だけは許さんぞ。

 

私は、おかっぱって言うんだー!

コルタナ検索「私は かっぱってるんだ」を検索。

 

かっぱるって、なんだよ?

コルタナ「kappuruってなんだ」を検索。

 

急に英語かよ!

コルタナ「急かよ」を検索。

 

英語を省くんじゃねー!

コルタナしゃべる

「すみませんが、携帯電話からしか電話はかけられません」

家電からじゃ、ダメなのか?

隣で母ちゃんに早く切りなさいって叱られるからか?

 

なんだ?私の滑舌の問題なのか?

コルタナ「マジレスの問題なの」を検索。

なんだい、問題をすり替えようとしてんのかい?

 

あんたは、バカか?

コルタナ呟く

「悲しいってこういう気持ちなんだな、と少し分かった気がします」

 

この悲しそうなコルタナさんに、私は我に返った。

いくらなんでも、言い過ぎたと反省して、

また今度、仕切り直そうと思い、

バイバイ、後でねっとコルタナさんに伝えたところ、

コルタナ「ぱいぱい あいり」を検索。

 

この期に及んで、下ネタかよー!

コルタナ「下ネタ かな?」を検索。

下ネタだろうが。

オッパイばっか検索されてるやないか。

 

もう、ええわい!

コルタナ「もう 1枚」を検索。

 

いやいや、あんたに座布団なんて、

1枚たりとも、やらねぇかんな!

 

そんな我が家のよねさんも、間違えているんだ。

あのさ、よねさん。

 

そのオモチャの匂いに反応して、

 

凄いスリスリしていらっしゃるけどさ。

 

その匂い、マタタビとかじゃ、無いんだよ。

 

おたまの、唾の臭いなんだよ。

 

嗅ぎ間違えちゃったんだよな・・・。

 


今日の記事の下書きを昨日公開してしまった失態の追記

2016年09月13日 | 稲川順子の怪談

これはね、先日アタシが体験した事なんですがね。

もう、驚いちゃったっていうか、

おかしいな~、不思議だな~というね、

本当の話なんですがね。

 

おはようございます。

稲川ジュンコです。

スーパーって、皆さん行くでしょ?アタシもね、先日行ったんですよね。

スーパーマーケットってとこにね。

駐車場に車を停めて、降りたんですけどね。

何気にふっと、前を見たら、

ちいさーな、5・6歳くらいの、ちいさーなね、かわいーい少女がね、

すーっと立ってる。独りですーっとね、立ってるんですよね。

おかしいな~不思議だな~って見てたらね、

さささささーっと、アタシに向かって走ってくんですよね。

なんだろな~不思議だな~って思ってたら、

「ねぇ、おばちゃん」って話しかけてきたんですよね。

「ねぇ、おばちゃん。あっちで遊ぼう。」って、言ってくるんですよね。

いやだな~困ったな~、お姉さん今から買い物だからごめんねって、

お姉さんは買い物するのって、アタシ伝えたんですがね。

「ねぇ、おばちゃん。あっちに行こう」って、

今度は向こうの方へ指差しながら、言ってくるんです、おばちゃんってね。

お姉さん、遊べないのって、もう1度伝えたんですよね。

するってーと、その少女が、にこーって笑って、

アタシの肩を人差し指でチョンって優しく触ってね、

ばばばばーって走って行っちゃったんですよね。

なんだろな~不思議だな~と思いながら、買い物を始めたところ、

突然、ズーンって肩が痛くなってきちゃったんですね。

あれれれ、どうしたかな~って見てみたら、

直径3ミリほど、丸く綺麗に皮膚だけが無くなってるんですよ。

皮膚だけが、綺麗に剥がされちゃってんですよね。

しかも、その個所ってーのが、さっき、あの少女が触った部分だったんですよね。

あぁぁ、そうかそうかそうか。

アタシが行かないから、皮だけでも、持って行ったのかぁって思ったんですよね。

それでアタシ、やっと気づいたんですよね。

あの少女は、この世のモノでは無い、

そして、どうにかして、アタシを何処かへ連れて行きたかったんだなぁ~てー事をね。

もし着いて行っちゃってたら、アタシどうなってたんだろうってね、

恐ろしくなったんですよね。

という不思議な話だったんですがね。

 

実は、もう一つ、あるんですよね。

というとこまでを、下書きしたんですよね。

アタシ、大体が、記事は当日の朝に下書き無しで書くんですがね。

今日に限って、昼休みに下書きを、書いてみたんですね。

明日ボツにするか、このまま記事として書き進めるか、決めるためにね。

なのに、なぜか、気付いたら公開してたんですよね。

おかしいな~不思議だな~って思ったんですがね。

これは、きっと、この世のモノでは無い何かの仕業かもしれないという、

不可思議な話なんですがね。

ん?あれれれ~だたのミスですかね?

という事で、この続きは、明日の朝、書こうと思うんですよね。

稲川ジュンコでした。

 

と、ここまでを読んで下さった、皆さん、

今日は、この記事の続きなんですがね。

そろそろ、今日とか明日とか昨日とか、時系列の感覚が、

こんがらがって来たと思うんですよね。

そんなパラレルワールドにようこそ。

おはようございます、稲川ジュンコです。

 

もう一つの、不思議な話なんですがね。

覚えてますか?4週間でベターっと開脚できるミッション。

もちろん、さぼらず、毎日ストレッチをやってんですがね。

 

「ミッション前」

撮って、今撮ってっておじさんに頼んでもね。

「嘘でしょ?」って言うんですよね。

 

「これで、マックスの前屈状態なの?」っ言うんですよね。

そうだ、今ガチでリアルに裏モモがちぎれそうだから、

早く撮れって、アタシ叫んだんですよね。

おかしいな~不思議だな~って思いながら、

この日から、ミッションをやり続ける事1週間経ったんですがね・・・

 

「ミッション体験、1週間経過」

ヤバいよ、ヤバいよ~!

思ったほど、変わってないよ~!!

でも、これが、ガチでリアルだから。

 

おたま「おばちゃん、口調が出川に変わってねーか?」

 

仕方ないんだよ。これこそが、ガチでリアルなヤツだから。

この感じからすると、ミッション終了後がヤバいよヤバいよ~。

出川テツコでした。

  


水の雫 

2016年09月11日 | 真面目な日記

休日をいいことに、ダラダラ書いちゃったのです。

しかも、ショックを受けるかもしれない内容が含まれます。

おかまいなく、スルーしてください。

※ちなみに、不思議話(怪談)の方ではありません。

 

最近は、給湯器の不調のせいで、

風呂が沸かせずシャワーで済ませていたが、

珍しく風呂が沸いたので、ゆっくり入る事にした。

そうすると、きくも風呂場に入って来て、私をジッと見る。

 

「分かったよ。これだろう?」と声を掛けながら、

指で風呂の湯をピシャピシャ鳴らし、

今度はその湯を少量すくって、上に向けて跳ね上げてやる。

きくは、そうやって出来た、いくつもの水の雫が、

キラキラ光って落ちてくる様を捕まえるのが好きなのだ。

濡れる事など厭わずに、延々掴もうとするネコの様子を見ていたら、

私は昔味わった、あの感覚を思い出した。

 

ある日、私は自分で借りた訳でもない借金の肩になり、

2人の見知らぬ男に連れられて、黒塗りの大きな車に乗り込んだ。

精一杯の虚勢を張って、優雅に乗り込んだつもりだったが、

私の体は、余すところなく震えていた。

これを境に、平凡な主婦だった私は、

まるで異次元のような世界に、その後数年、身を置く事となった。

 

風俗店に連れて行かれ、面接という品定めを受けた。

そして、なんと、落とされた。

顔面神経麻痺でひん曲がった私の顔を見て、

その風俗店の店主らしき男は、

「これじゃ、うちでは使えないよね。」と言って笑った。

その意味すら分からぬ私は、負けじと笑って見せた。

しかし内心は、面接に落とされて安堵したような、

女として全面的に否定されたような、

そんな複雑でみじめな思いに駆られ、泣きたくなるのを堪えた。

 

風俗店の面接に落ちた私は、

結局、男達の組織の息の掛かった店で、ホステスとして働く事となる。

店のママは、見た事もない程、美しい女性だったが、

「こんな薄汚いブス、死ぬ気で何でもやってもらわないと、

すぐ辞めてもらうわよ。」と凄んだ。

 

そして私は、自分の僅かに残っていたプライドを捨て、なんでもやった。

煌びやかな女達と、それに魅せられてやってくる男達の、

噎せる程の欲が渦巻く中、

鼻からピーナッツを飛ばす、私。

鼻ピストルであなたのハートを打っちゃうぞと、のたまう、私。

高価な洋酒のボトルを一気に飲む、客のネクタイを頭に巻いてる、私。

 

ママは、そんな私を見て、困惑した表情で、

「うちね、そういうお店じゃないのよ、おかっぱちゃん。

なんでもやれって、そういう意味じゃないの。」

と呆れながらも、

「おかっぱちゃん、アレ見せて差し上げて。

ほら・・・鼻からスカシッペ。」と、無茶振りしてきた。

 

店で働く女達は、それぞれの武器を持って戦っていた。

永遠の35歳の美女、推定45歳。

子持ちの処女。

整形に等しいメイクの達人。

身持ちの固さが売りの、尻軽女。

他にも多くの女達が居たが、

本当の姿なんて、知る由もなかった。

その珍獣動物園のような店の中には、

少女のように可愛らしい、異国から来た女も居た。

 

この世界の事など、何も知らぬ無防備な私に、

こっそり教えてくれるのは、いつも異国の女だった。

「あの客は、危険。ついてっちゃダメ。」

「あの話には、乗ってはダメ。」と、

囁くために寄せてくる、彼女の横顔は、

うっとりするほど美しく、透き通った水の雫のようだった。

 

私は、異国の女の事を、もっと知りたいと思ったが、

ママも他の日本人の女達も口を揃えたように、

あの子に深入りするなと、釘を刺した。

何も知らぬ私でも、その頃には、どういう事かが、

おぼろげに理解できるようになっていた。

 

異国の女は、行きも帰りも迎えが来ていた。

それは、上等な扱いをされている意味ではなく、

自由を制限されているという意味だった。

私にも、個人的な事は一切話してなどくれないが、

寮の前に居る、野良ネコの事だけは、いつも聞かせてくれた。

「叱られるの、ご飯あげるのダメって。

どうして?腹が減るのは可哀そうよ。

腹が減るのは、すごく辛いね。だから、ご飯分けてやるよ。

腹いっぱいは、嬉しいでしょ?」と、微笑む彼女に、嘘偽りはなかった。

 

ある日も、仕事の合間を見て、異国の女に声を掛けようとしていた。

ネコちゃん、元気?とそれだけでもいいから、声を掛けようと。

私は、彼女の横顔を見つけたが、でも声は掛けられなかった。

あの水の雫のような透き通った肌は、薄暗く濁って見えた。

そして、次の日には、彼女は店から消えていた。

 

ふっと我に返ると、きくの額に水の雫が当たって消えた。

もう、かなり濡れているのに、

きくは、もっとやれと、せがむように私を見て、

今度こそは掴んでやると、身構えていた。

 

欲と闇に飲み込まれそうになりながら、

偽りで固めた女達は、みんな夢を掴もうと、手を伸ばしていた。

その夢は、明るい未来か。

それとも、大切な人の夢のためか。

金か、真実か、誠の愛か、今とは違う自分か。

いずれも、掴めば無くなる、水の雫に手を伸ばす、

このネコのように真っすぐで、

みな切なく美しく見えたのは、なぜなのだろうか。

そして、あの子は、透き通った雫を掴めただろうか。

 

きく「お前の掴もうとした雫は、何だったのだ?」

君と遊ぶ自分であり続ける事だったのかもしれないね。

 

きく「じゃ、掴んだんだな。」

掴んだのだろうか?

その鼻、スカシッペ出来る?

鼻でスカシッペって、どういうことだったのだろうか・・・