maria-pon

お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

ローラン・プティの世界

2006-11-12 23:04:49 | BALLET
急に木枯らしが吹いてぐっと冷えこんでまいりました。
風邪をひいたわたくし、今日はすべての予定をCancelして家にこもります。

シアターTVで、振付家ローラン・プティの代表作を午後一杯放映していたので、以前から見てみたかった、プティのミューズ、ジジ・ジャンメールのレビューを見たところすっかり嵌って、「ブルーエンジェル」「プティ版:眠れる森の美女」「アルルの女」と続けて観てしまいました。



「ジジ・ジャンメール・アット・ゼニット」

このとき(1995年)すでに70歳を超えていたといわれるジジは、伝説の美脚を見せ付ける黒のミニワンピに黒ストッキング。プティ配下のマルセイユ国立バレエ団の10人のイケメンダンサーを従えて、歌に踊りでパリの観客を魅了します。
それにしても、自分の魅力を熟知していること!
何度も御召替えをするのですが、いずれも膝下の美しさを強調する5部丈パンツにピッタリしたセンターに銀ラメのすっと入った黒のノースリーブだったり、黒の超ミニワンピもVネックあり、背中の開いたボートネックありですが、いずれもやりすぎず、手首や肩甲骨の美しいパーツ、そして彼女の青く光るベリーショートの黒髪と黒い睫に縁取られた表情豊かな眼、を強調するもの。
演目に応じて、4メートルはあろうかと思われるシルバーフォックスのストール、ピンクのダチョウの羽飾りなどの小物を駆使して華やかに舞台を盛り上げる手法は、日常のファッションにも使えるヒントが満載!
セルジュ・ゲーンズブールのナンバーも粋な彼女に似合っていました。

他に印象的だったのは「嘆きの天使」のタイトルでマレーネ・ディートリッヒ主演の映画にもなった「ブルー・エンジェル」。1985年の収録。


お堅い教授がレビューの踊り子に恋心を抱いたことから破滅に向かう・・・。
原作はトーマス・マンの兄ハインリヒ・マンの小説「ウンラート教授」。
踊り子は当時プティのミューズだったドミニク・カルフー二。頬骨に挿す影、彫りの深い蟲惑的な目元、シャープな輪郭。ほっそりとした姿態にデカダンスを漂わせてはまり役。
ちなみに彼女のご子息は今、パリ・OPERA座で人気の若手エトワール、マチュー・ガニオ。恋人は年上のダンサー、透き通るように色白で妖艶なイザベラ・シアラヴォラ。この母上の息子ならではの女性の好みであることよ、と納得。
教授役は、振付のプティ自らが演じてこれまた見事でした。

最後にParisOpera座バレエ団による
「アルルの女」


主役を演じるのは、今やOPERA座バレエ団の帝王、オシも押されぬマニュエル・ルグリ先生の若さ溢れる絶頂期(彼の場合、それはこの1997年かもしれないし、今かもしれない)、そして今はOPERA座の定年のため引退してしまったのが惜しまれる、シルヴィ・ギエムの同期、ヌレエフ世代を代表するダンサーの一人、イザベル・ゲラン。
アルフォンス・ドーデの「風車小屋だより」にビゼーが曲をつけたもので、アルルの女を知った若者が死を選ぶ、というテーマ。
抽象的な作品に血肉を通わせる稀有の才能を持ったゲランが素晴らしい。
母性を感じさせる慈愛と、漂う一抹の悲しみ。。。
男女10人ずつのコール・ド・バレエのシンメトリカルな動きがギリシャ悲劇を思わせるとともにフォークロア色もだしていて効果的。コールドの一人に今、準主役級で活躍のカール・パケット君を発見したのも個人的には小さな喜び