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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

ミッシャ・マイスキー バッハ無伴奏全曲演奏

2007-11-02 04:26:05 | MUSIC
昨夜、11月1日、木曜日、19:00開演。
東京OPERA CITYコンサートホールにて、20世紀の3大チェリストの一人と言われる、ミッシャ・マイスキーの60歳記念プロジェクト、2夜完結の企画「バッハ無伴奏組曲 全曲演奏」の第一夜に行って参りました。



J.S.Bach
無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV1007
Suite for Solo Violoncello No.1 in G major,BWV1009
無伴奏チェロ組曲第4番 ホ長調 BWV1010
―intermission―
無伴奏チェロ組曲第5番 ハ短調BWV1011
 
アンコール曲
・無伴奏チェロ組曲第3番 ブーレ
・無伴奏チェロ組曲第2番 サラバンド

Mischa Maisky

ラトビア出身のユダヤ人、叙情的で深い人間の肉声をそのまま音色にしたような独特の演奏と雰囲気のある風貌、アルゲリッチとの競演でも知られる名チェリスト。
伝説のチェリスト、ロストロポーヴィチとピアティゴルスキーに師事した唯一のチェリストである彼自身、伝説のチェリストへの道をあゆんでいるとも言えましょう。

この日、19:00から、ということで余裕を持って到着できると思っていた初台のオペラシティ、帰り際に発生した仕事上のトラブル処理でやや余裕がなくなってきたところに都営新宿線の人身事故によるダイヤの乱れで、初台着が19:00!改札からオペラシティ3Fのコンサートホールまで文字通り駆け抜けてギリギリ着席とともにマイスキー登場・・・という綱渡りを演じて息も絶え絶えのわたくし。
第一音から、別世界に連れて行かれました。

チェロの音色そのものの響きがこんなにも美しいなんて・・。
深山の峡谷から立ち上る霧の彼方から吹く風のような香気を孕んだ音色は爽やかで陰影に富み、軽やかに歌うようでいて深いメランコリーも感じさせ、テンポも自在。

人間の肉声にもっとも近い楽器といわれるチェロを語るかのように奏でる姿は前半はアイボリーベージュの光沢のある細やかなプリーツの素材で作られたルパシカのようなチュニック、後半は身体につかず離れずのスキッパータイプの衿の墨黒のマットサテンのプルオーバー(ともにイッセイミヤケと思われる・・・)に豊かな白髪が映えるステージ姿も、1974年にファンから贈られ以降愛用の艶やかな1720年製のモンタニアーナのチェロに似合って眼福。

高い天井から空がオブジェの隙間から漏れ見える構造のコンサートホールと、舞台に置かれた金色のヴァイオリンをかたどった背もたれの椅子がリリカルな舞台そのものも、シンプルながら美しく、心地よい時空を堪能した夜でした。