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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

東京バレエ団 「ラ・バヤデール」 ②

2009-09-27 23:52:16 | BALLET
東バの45周年記念公演としての、新作古典全幕。
マリウス・プティパが1877年に振付けた古典の名作を伝説のバレリーナ
ナタリア・マカロワが改訂した「マカロワ版 ラ・バヤデール」

マカロワはマリインスキーのプリマとして活躍したロシアの亡命ダンサーで華のある美しい人。



キーロフ(現・マリインスキー)バレエのプリマとして来日したのが1969年。
その後亡命先のアメリカで、ABTの指導に当りマリウス・プティパ版の
第3幕「幻影の場(影の王国)」を1974年に上演し、80年には全幕を上演。
その際、オリジナルの4幕ものを3幕にコンパクトにまとめつつ、大掛かりなスペクタクルゆえに
省略されがちな第4幕の寺院崩壊シーンを復活させたのがポイント。
今回、指導のために40年ぶりに来日。
直接コリオグラファーから指導を受けられるのは貴重ですね。

マカロワ版はロイヤルバレエでも上演され、1990年の舞台は映像として今でも入手可能。
わたくしも、熊川哲也が日本で知られるようになる前に、NY在住、ロンドンに定期的に
バレエを観に訪れていた友人から進められて、彼のブロンズアイドルをチェックすべく
VIDEOを買いましたが、今思うと信じられないほどのオールスターキャスト!
主役のニキヤはアルティナイ・アスィルムラートワ、ソロルがイレク・ムハメドク、
ガムザッティがダーシー・バッセルで大僧正がなんとアンソニー・ダウエル。
大僧正、主役でした(笑)
恋情も嫉妬も苦悩も強烈でとても情熱的。でありながら大僧正としての風格も満点。
さすがダウエルさま!
そして黄金の仏像がTeddy熊川哲也、で、
影の王国のヴァリにヴィヴィアナ・デュランテがいたりするのがなんとも豪華。

そのイメージを持ちつつ、今回の上演にはスカラ座の舞台美術と衣装をそっくり
お借りしていてかなりゴージャス、と聞いていたのでとても楽しみにしておりました。

NBSはスカラ座のOPERA上演の際、オプションでこちらのセットと衣装も空輸したのでしょうか。
結果として、ヨランダ・ソナベントの美しい衣装と、風格のあるスカラ座のセットが
エキゾチックなストーリーをますます盛り立てて、お話がアジアのインドだからでしょうか、
東バのダンサーたちにも似合っていてとても良かったと思います。

3日間の上演でCASTは日替わり。
初日は主役二人は高岸、上野ペアでガムザッティが奈良春夏。
2日目の土曜日が、わたくしの観た木村、吉岡ペアに田中結子のガムザッティ。
3日目の日曜日は、後藤、斉藤ペア(このお二人、ともにベテランですが組むのは初めてだとか)で
高木綾のガムザッティ。

それぞれ個性の違いが楽しめる配役ですが、わたくしとしてはニキヤには
はかなさとたおやかさと芯の強さが欲しいので、吉岡さんしか考えられず(笑)
結果として吉岡さんのニキヤは本当に素晴らしかったので満足です。

ガムザッティは、今、東バで売り出し中のソリスト3人娘、ですね。
役から言うと、本当は半休業中の井脇幸江さんが入ってくれるとグッと舞台が
しまったのでは・・とつい思ってしまうのですが。


東京バレエ団 「ラ・バヤデール」 ①

2009-09-27 04:56:36 | BALLET
9月26日(土)、東京バレエ団の45周年記念全幕、
ナタリア・マカロワ版の「ラ・バヤデール」を観て参りました

東京バレエ団創立45周年記念公演VII
東京バレエ団初演
マカロワ版「ラ・バヤデール」(全3幕)


振付・演出:ナタリア・マカロワ(マリウス・プティパ版による)
振付指導:オルガ・エヴレイノフ
装置:ピエール・ルイジ・サマリターニ
衣裳:ヨランダ・ソナベント


◆主な配役◆

ニキヤ(神殿の舞姫):吉岡美佳
ソロル(戦士):木村和夫
ガムザッティ(ラジャの娘): 田中結子
ハイ・ブラーミン(大僧正): 後藤晴雄
ラジャ(国王):高岸直樹
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):高橋竜太
アヤ(ガムザッティの召使):松浦真理絵
ソロルの友人:柄本弾
ブロンズ像: 松下裕次


【第1幕】

侍女たちの踊り(ジャンベの踊り):西村真由美、乾友子

パ・ダクシオン:
佐伯知香、森志織、福田ゆかり、村上美香
吉川留衣、矢島まい、川島麻実子、小川ふみ
平野玲、横内国広


【第2幕】
影の王国(ヴァリエーション1):岸本夏未 と会場にもNBSのHPにも出ていましたが、吉川留衣ちゃんだったような・・・?カーテンコールに奈良さん、乾さんとともに並んでいたのは留衣ちゃんでした。
影の王国(ヴァリエーション2):奈良春夏
影の王国(ヴァリエーション3):乾友子


指揮: ベンジャミン・ポープ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


◆上演時間◆

【第1幕】 15:00 ~ 16:05
休憩 20分
【第2幕】 16:25 ~ 17:05
休憩 20分
【第3幕】 17:25 ~ 17:45


ミラノ・スカラ座 「ドン・カルロ」 ④

2009-09-27 04:39:46 | OPERA
第2幕1場

マドリード。王妃の庭園。

王妃主催の舞踏会で、衣装を交換したエリザベッタとエボリ公女。
カルロに宛てた匿名の逢引の手紙はエボリから。
エリザベッタからだ!
夜、ヴェールに覆われたエボリを見て、エリザベッタと思い、愛を歌い上げるカルロ。
ヴェールをとったエボリを見てうろたえるカルロと状況を把握するエボリ。
傷つけられたプライドの腹いせに仕返しを決意するエボリに
ロドリーゴが登場して説得を試みるが効果なし。
意を決して剣を抜くも「気をつけよ、偽息子」と可愛さ余って・・・カルロへの憤怒を
露わにするエボリは恐れる風もない。
怒涛の3重唱。
堂々と去るエボリ。危険を予知したロドリーゴは密書を自分に預けるようにと。







ミラノスカラ座 「ドン・カルロ」 ③

2009-09-27 04:38:43 | OPERA
Milano Scala座来日公演「ドン・カルロ」初日(そしてBest Cast!)
第1幕2場

サン・ジュスト修道院の中庭の外。心地よい場所。

シンプルなセットに白い照明。
ここはスペインの夏の陽射しが降り注ぐ場所。
白に金の装飾が美しい宮廷服の貴婦人(合唱から選りすぐりの?美女ばかり!)が集い、
セットは簡素ながら、衣装が華やかなことこの上なく、とても美しい。
中でも一番の美貌を誇る(という設定・・・ザージック、失礼!)エボリ公女が歌うのは
アカペラでコロラトゥーラの超絶技巧をふんだんに織り込んだヴェールの歌
「美しいサラセン宮殿の庭で」
かわいいお小姓テバルドのマンドリンで、メゾ・ソプラノの艶のある声が嫣然と
ヴェールでパシャを誘惑するアラビアンナイトの世界のような歌を披露。
夏の昼下がりは日陰でゆったりと過ごしましょう・・・などと優雅にくつろぐ貴婦人たちのところに
王妃エリザベッタが現れます。
そこに欧州の旅から戻ったロドリーゴがフランスにいる母上からの手紙だと
エリザベッタに拝謁しますが、カルロからの手紙をも秘かに一緒に渡します。
カルロに会って力になってやって欲しいと頼む彼の歌を聴いて、
カルロの悩みは自分への恋慕であろうと思いこむエボリ。

エリザベッタと二人きりで会ったカルロは断ち切れぬ思いを打ち明けます。
幸福感のあまり倒れるカルロを膝枕するエリザベッタ。
しかしエリザべッタは自分を見失わず「父を殺してからわたくしを奪いなさい!」と
厳しい言葉で自分とカルロを守ります。
失意のカルロが去った後、ひとり貞操の危機を脱した感謝を神に捧げるエリザベッタ。

国王フィリッポが、ひとりきりでいるエリザベッタを見咎めて、お付の女官を職務怠慢と非難。
フランスからお輿入れのときから同行しているほっそりとした金髪のアレンベルク伯爵夫人に帰国を命じます。
あぁ、こんなことでは王妃の孤独はいやが上にも増すばかり。
愛情が生まれようにもこんな仕打ちではムリ。溝は深まるばかりです。
異国の宮廷で只一人、心を許せる昔なじみとの突然の別れにも、エリザベッタは抵抗せず、
優しい慈愛に満ちたアリア「泣かないで、友よ」を歌います。
フリットリは容姿と声が美しいだけでなく、エリザベッタの内から滲み出る品格と心の美しさ、そして
秘めた苦悩を表現する事が出来る人ですね。
流石の適役だと改めて感じ入りました。

女たちの愁嘆場に冷淡なフィリッポ。
そこに現れたロドリーゴ。女性たちが退出します。
スペインのハプスブルク家領土の欧州を歴訪、見て来たばかりのフランドルの惨状を訴えるロドリーゴ。
カトリックの力の強いスペインが制するこの地で新教徒が迫害されている、という状況を踏まえて、
の話ですね。
若さと誠実。臆せずに国王に進言をする彼に、フィリッポは信頼を深めます。
宗教裁判長には気をつけるように、と言い残し、王妃と王子の仲を疑い苦しむ心の内を
垣間見せるフィリッポ。
王に胸襟を開かせた!と驚喜するロドリーゴ。
この二人の場面は、緊迫感と心理のアヤが実に見事。
ヴィジュアル的(笑)にも見ごたえのあるシーンでした。