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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

「イワンと仔馬」 ①

2009-12-09 16:11:44 | BALLET
ふぅ~。
なんとか間に合いました(笑)「眠り」。

今日はこれからラトマンスキーの新作、「イワンと仔馬」を観に行きます。
昨年、ボリショイの来日公演で彼の評価を定めて名作「明るい小川」を観て、今回も楽しみにしておりました。

ロシアの作曲家、シチェドリンが名プリマ、マイヤ・プリセツカヤに恋をして彼女に捧げた曲。
(そして今はおしどり夫婦
作曲当時の振付を、ゲルギエフの依頼で、改めて才能溢れるラトマンスキーが振付けた改訂版の新作。
ユーモアをたたえたストーリー展開、ダンスの楽しさ、豊かさで心満たす振り付けが特色のラトマンスキー演出に期待が高まります。

2009年12月9日(水) 19:00~21:20
東京文化会館

「イ ワ ン と 仔 馬」 全2幕
音楽 : ロジオン・シチェドリン
振付 : アレクセイ・ラトマンスキー (2009年)
台本 : マクシム・イサーエフ
音楽監督 : ワレリー・ゲルギエフ
装置・衣裳 : マクシム・イサーエフ
照明 : ダミール・イスマギロフ
指揮 : アレクセイ・レプニコフ
管弦楽 : マリインスキー歌劇場管弦楽団

≪出演≫
姫君 : ヴィクトリア・テリョーシキナ
イワン / 皇子 : ミハイル・ロブーヒン
仔馬 : イリヤ・ペトロフ
侍従 : イスロム・バイムラードフ
皇帝 : アンドレイ・イワーノフ
父親 : ロマン・スクリプキン
雌馬 / 海の女王 : エカテリーナ・コンダウーロワ
大きな馬たち : アンドレイ・エルマコフ/ カミーリ・ヤングラゾフ
ダニーロ : ソスラン・クラーエフ
ガヴリーロ : マクシム・ジュージン
娘たち : ヤナ・セーリナ/エカテリーナ・イワンニコワ/クセーニャ・ロマショワ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/エリザヴェータ・チェプラソワ/オリガ・ミーニナ
ジプシーたち : ラファエル・ムーシン/フョードル・ムラショーフ/カレン・ヨアンニシアン/エレーナ・バジェーノワ/アナスタシア・ペトゥシコーワ/ポリーナ・ラッサーディナ/リュー・チヨン/アリサ・ソコロワ


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【上演時間】 約2時間20分    【終演予定】 21:20
第1幕 50分 - 休憩 25分 - 第2幕 55分


ヴィシニョーワ&コールプの「眠れる森の美女」 ⑤

2009-12-09 15:00:57 | BALLET
第3幕。

眠りから醒め、姫の婚礼を寿ぐ来客が次々と登場する宮廷。
実際に踊る人のほかにも、色々と物語の登場人物たちが現れます。
青髭公と7人の妻、シンデレラまではわかりましたが、
その他のムチムチしたカップルとかピンクの髪の二人とか
出自不明の賓客も大勢・・・の混沌がロシアらしい鷹揚な豪華さに溢れていて
以前見たことのある「完全復刻版」での”ジャックと豆の木”とか”パンくずの精”とか訳のわからないディベルティスマンが延々と続いた気の遠くなるような祝宴を一瞬思い出しました(笑)
やっぱりこういうグランド・バレエはロシアに限りますね!

さて、主役の登場。真っ白の衣装に着替えた輝く二人。
オーロラは長いドレスを着ています。
大人ですね~。迫力満点マダムなオーロラ。

まずはチュチュ姿に戻ったコンダウーロワのリラのソロで祝宴の幕開けです。



一際長身、スーパーモデルのような美貌の彼女、リラらしいリーダーシップと優雅さをも持ち合わせていて、ヴィシニョーワとコールプを導く・・・という並のソリストには荷が重過ぎるお役目をそつなく美しくこなしていて適任。
連続フェッテの高度な技もきれいにこなしていて、すっかりファンになりました。

そして宝石たちの踊り。
ダイヤモンドのソロ、サファイヤ、金、銀の精のトロワ、そしてまたダイヤモンドのソロ。

リンリンリンとトライアングル?の鳴る音楽とぴったり合った煌く指先からは星の飛び散る様が見えるかのよう・・・。ダイヤモンドのマルトゥイニュクは容姿は地味目で、え?このひとがダイヤモンドのソリスト?と一瞬思わせるのですが、踊りの小気味よさと音楽性で納得・・・。
3人の宝石たちもすばやい動きと正確なパッセがきれいに決まって爽快。
まさにキラキラな踊りでした!

次は白い猫と長靴を履いた猫。
コケティッシュな役どころの白い猫は当日役変更があって、いつもフル回転の活躍を見せてくれる
頼れるソリスト、ヤナ・セーリナ。
キュッと詰まったハッキリした顔立ちがCuteな猫にピッタリ。
踊りも猫仕様に丸めた手先をカーテンコール時まで崩さず、猫チャンになりきっていました・・・。
脚線美に絡む長靴猫をピシャッとはねつけてからすぐに二人でじゃれあったり、の演技もバッチリ。
長靴を履いた猫、そういえば、登場時に何か持っているな~と良く観たら、ネズミを3匹ぶら下げていたんです。キャー。こういう無駄な?リアル感追求もロシアならでは、の楽しみ?ですね。
フョードル・ムラショーフ、跳躍も高かったです。

そして、待ってました!
フロリナ王女と青い鳥。
アレクセイ・チモフェーエフの青い鳥、しなやかでバネも効いていて良かったです。
良かったのですが、この場をさらったのはフロリナのオブラスツォーワ!!
あの鳥の声を聞くポーズを取った瞬間、可憐な容姿、繊細な陶器細工のような手首、憧れに満ちた夢見るような表情に会場全体が恋に落ちましたね。



本当に可憐で・・・良かったです。
オブラスツォーワは琵琶湖ホールでオーロラを踊ったのですよね。
彼女のオーロラも観たかった・・。東京公演での主役がなくて残念です。

赤頭巾ちゃんとオオカミは、フロリナの余韻に浸っていてあまり注視していなかったのですが、
二人ともとても芸達者さんで、赤頭巾ちゃんは美人でした(笑)

そして、本日のメーンイベント、王女と王子とグラン・パ・ド・ドゥ。
王様がここで小芝居を。
ロングドレスからお色直しで白いチュチュに変えたオーロラと王子が中央に進み出るのを見て、
王妃を見つめて何か話して手をとってその手にキスをするんです。
「20年前の私たちを思い出すね。君はあの頃から変わらない美しさだけれど・・」とか言ってそうなのですもの。
そんな満足げなご両親を始め、満場の注目を浴びて、一層輝くヴィシ・オーロラ。



この画像、王子はコールプではありませんが(ゼレンスキー?)衣装はほぼこのままでした。
白とシルバーのコンビのチュチュ、センターに散りばめられたルビー色のラインストーンが彼女に似合っています。

最初のアダージョでもう、会場拍手喝采。
オーロラは2度呼ばれて拍手に答えていました。
そして王子のソロ。
コールプの踊りは本当にきれいで観ていて気持ちが良い。
オーロラのソロ。
古典の高度な技術を凝縮したような振付をものともせず、堂々とした品格のある踊りで
終始観客を惹きつけました。
その華やかな強さを持つヴィシニョーワを一歩下がって立てながらも埋没することなくしっかりと存在感を見せるコールプ、この二人の相性はとても良いですね。

古典を踊りきる知性とテクニックを持ちながら、どこかにパッションを滲ませる芸風で
このグラン・クラシックに血を通わせてくれた力技に感嘆するとともに、かといってやり過ぎ、と感じさせることもないマリインスキーの品格を改めて感じた舞台でした。






ヴィシニョーワ&コールプの「眠れる森の美女」 ④

2009-12-09 14:28:11 | BALLET
第2幕。

秋の森が深い黄金色、朱色の木の葉の重なり合う背景で現されています。
本当に色彩が美しい・・・。
狩りを楽しむ貴族の一行。
ちょっと目立つ伯爵夫人はマリインスキー版ではそれほど強調されておらず、
コールプ王子は皆とダーツを楽しみつつ休憩を取り、終始落ち着いてノーブルな振る舞いを崩しません。

休憩も終わり、森の先へ進む一行に、自分は暫しここに残ると先に行かせる王子。

・・と現れたのは衣装を変えたコンダウーロワのリラ。
王子はいつしか妖精たちに囲まれています。
山吹色の背景に薄紫が艶やかです。



すっかりリラに魅了された風情のコールプ王子。あらあら??
なんだか一目ぼれしている模様では・・・(笑)
エーと、正しいお相手はこちらの姫君です。
と、アイボリーの艶やかな衣装でオーロラが現れます。



ときに淡いピンクのコールドがその姿を隠してしまうこともありますが、
リラも積極的に間を裂いてじらすことなく、幻影のオーロラ姫への愛は静かに王子の胸の中で
高まっていくのでした。。。


とても美しいチェロの伴奏で、二人のPDD。
最高にロマンチックでうっとりするシーンです。
複雑なリフトが展開し、オーロラは去り、王子のソロ。
ジュテ、マネージュ、ピルエット、いずれも大変にノーブルでラインも美しく、王子そのものなのですが、
なぜかそれだけでは説明のつかないオーラを発散しているのがコールプなのですよね。

ゴンドラのような船がいつの間にか用意されており、リラの先導で小さな旅。

第2場。
ここへの道のり、しばし、ヴァイオリンの間奏曲をたっぷりと聞かせます。



お城に到着。
さぁ、ここにあの姫君がおいでなのですよ、とリラに促されて船を降り、
お城の中に入ります。
ここで戦い。王子の活躍。幕が落ちて、そこここで眠る人々が見え、
その中央には寝所のオーロラの姿も・・。
近づいてキスをします。

目覚めるオーロラ。下手に控える王子には気がつきません。
誰か・・誰かがキスをしたの・・この唇に・・・と唇にふれる仕草の色っぽさとは裏腹に、
まずは目覚めた両親のところに行って挨拶をし、喜び合い、そして・・・
控えめにそのときを待っていたコールプ王子と目があって、手を取り合う二人。
こうなると行動派の王子、即、ご両親である国王夫妻に挨拶をして結婚の許しを得るのでした(笑)



ヴィシニョーワ&コールプの「眠れる森の美女」 ③

2009-12-09 13:42:24 | BALLET
マリインスキーの「眠り」ちょっと放置していたらもう、「イワンと仔馬」の当日に!
ここで書かなくては一生放置しそうなので、急いで記します。
勘違い記憶違いがあるかもしれませんがご容赦を!

第一幕。
先程の姫の誕生とそれにまつわる妖精たちの攻防はプロローグ。
運命の16歳の誕生日、
それが第一幕の始まりです。



花のワルツ・・・
きれいな若草色を基調とした衣装の男女コールドの見せ場。
男性は手に花のアーチを、女性は花篭を掲げ、巧みに組み合わせてフォーメーションを展開します。
子供たちもたくさん参加。
マッチする衣装の日本の子供たちはバレエ教室の生徒さんでしょうが、
ひとりも間違うことなく、きっちりと踊りこなしていました。
よほど先生が指導されて練習を積んだのでしょうね。

4人の王子たちが登場します。
大きな帽子に髭とおかっぱの鬘でダレがダレだか判別できませんが・・。

オーロラ登場。
さすがヴィシニョーワ、砂糖菓子のようなピンクの衣装が白雪姫のような白肌黒髪、マッカな唇に映えて
主役オーラ全開。
活き活きとした動きのひとつひとつに16歳の躍動感が伝わります。
彼女が登場するや否や、王子たちがさりげなく角突き合い、互いに牽制し始めるのが演劇的でいいですね。

恐ろしく貫禄のある姫、になるのでは・・・との懸念は、王妃(美形母娘でピッタリ)のもとに駆け寄る仕草の愛らしさ、王子たちから捧げられた花を受け取り、愛しそうに香りを吸い込み、王妃に手渡す流れの姫らしさなど、
細部に至るまで丁寧に演じる姿に消えて行き、2度目に捧げられた花を両親の方を向いて、
祝福を分け合うように華やかに手からパラパラと落としたときには、すっかりと安心感に取って代わっておりました。
(実は、この花あしらいが、雑で投げ捨てるようにするオーロラって苦手なのですよねxxヴィシはさすがでした)
確かに彼女はオズオズと恥ずかしそうに社交界にデビューする初々しさ、というものは弱冠希薄かもしれませんが、それ以上に、若い娘、の放つ生命力の香気のようなものを存分に発散していて、
堂々たるプリマである、現在のディアナ・ヴィシニョーワとしてムリのない、
彼女ならではの”16歳のオーロラ姫”を創り出していてそれはそれで大変に説得力がありました。

ローズ・アダージョのバランスもしっかりすぎず(王子の手を全く必要としない、というのもなんだか・・・なので笑)、でもキチンと見せ場を押さえて華やかに踊りきり、素晴らしかったです。



祝宴たけなわの頃、下手に変装したカラボスが・・・
捧げられたバラの花束を手に嬉しそうに踊るオーロラがハッとします。
手に何かが刺さったわ、痛いわ・・・取り落としたバラから糸つむぎの針が。
ここで気を失いそうになりながら、心配する人々の間をぐるりと笑顔で回ってゆき、みんな心配いらないわ、だってわたくしこんなに元気よ、と踊りつつ、フッと意識が遠のく表情が妙に色っぽいのがヴィシらしいです。
眠るオーロラ。
勝ち誇るカラボス。
リラの精の登場でカラボスが退却したあと、王子たちがオーロラを寝所に運びます。
王宮は眠りに閉ざされ、100年を経ることになるのです。

唐草模様の門が、その王宮の時間を閉じ込めます・・・