maria-pon

お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

マリインスキー・バレエ「オールスター・ガラ」1日目 ③

2009-12-17 02:56:25 | BALLET
第2部 パ・ド・ドゥ集

「ジゼル」 第2幕のパ・ド・ドゥ



始めの2つはちょっと意外性のあるCASTで・・というコンセプトなのでしょうか?
素朴なイワンがぴったりだったロブーヒンがワインカラーの衣装に身を包んでアルブレヒトとして
登場するも・・・
あ、テクニック的にはなにも心配がないのですが、貴公子として白百合をハラハラと落として黒いべルベットのマントで登場されたルグリ、マラーホフ、マチューの姿が瞼にチラついて・・・
どうも納得がいかないのですけど(^^;)
そんな観客の勝手なイメージの混沌はさておいてステージは淡々と展開します。
ソーモワも・・・前回の合同ガラの、スタイルと勢いだけのプリマ(あ、ごめんなさい)の先入観で勝手にハラハラしていたのですが案外と丁寧な踊りに一安心・・・上達したのね
ただ、ウィリとなったジゼルの浮遊感は充分、アームスの処理も丁寧ではあるのですが、
自分を裏切ったアルブレヒトを許す、贖罪の感覚、彼を守ろうとする母性・聖性といった静謐さの
中に滲む情感・・といった世界には未だ到達せず。
しかし、やや頭の大きなしっかりとした骨格のロブーヒンと9頭身かと見まごう小さな頭と長く細い手足がリカちゃん人形のようなソーモワとの並びはどうにも落ち着かない・・と思うのはわたくしだけ?


「グラン・パ・クラシック」



これはもう、典型的かつ堂々たるクラシックテクニックでキッチリと格調高く演じていただきたい演目。
バレフェスのルグリ様あたりがデフォルトですが。
このガラで勢ぞろいの錚々たるプリンシパルの中、抜擢で登場のマクシム・ジュージン、
白鳥のトロワ、眠りの求婚者、と次期王子のポジションにつけていることも納得のノーブルな佇まい、
きちんとしたテクニックの彼は、なかなか無難にまとめてくれましたが、
青い鳥のPDDで夢見るフロリナを演じたオブラスツォーワが撃沈xxx
テクニック系のダンサーではないな、とは薄々感じていたのですが、この日はかわいそうなくらい
グラグラでしたxxx
ピルエットの軸がどうも定まらないんですよね・・・
笑顔がとても可愛らしくて青の衣装もよくお似合いだっただけに残念です。
今回はお気の毒な事情で帰国しなくてはならなくなったコレゴワの代わりに急遽出番が増えた、という事情があり準備が万端ではなかったからかもしれませんが。
次回に期待です!あ、あと写真はリハです。


「シンデレラ」第2幕のパ・ド・ドゥ

ラトマンスキーがヴィシニョーワのために振付けた、というだけあって、ホントにピッタリ!!
舞踏会で雰囲気に馴染めず孤独なシンデレラに、同じく虚飾に満ちた社交界に飽いた王子が運命的な出会いを果たす、というシーン。
額に黒い羽を立て、濃い目のメーク、マーメイドラインに透ける裾の白いドレスでちょっと1920年代から40年代にかけてのスタイリッシュな雰囲気のヴィシニョーワ。
ワインカラーのドレスのレディと燕尾服の紳士たちが通り過ぎる間では、ちょっとそのエキセントリックな美しさが居所のない自由な鳥のように見える彼女です。
白い王子の衣装のコールプ、ふと通り過ぎてハッと振り向き同行の紳士淑女を離れてヴィシニョーワのもとに走りこむ素早さ!まさに運命の出会い!
お互いに魅入られたようにひきつけられあう孤独で孤高だった二つの感じやすい魂が今、時を得て、お互いの腕の中で自由に羽ばたいている・・・そんな可動域の広い全身を大きく使った踊りが、見事にコントロールされて展開します。
途中、そうだ、時間が・・・と腕時計を持つ紳士たちに慌てて時間を尋ね、そしてホッとするあたりがシンデレラ、ですが、見ているほうもあっという間に時間が経っていた・・・
そんな演目でした。
先の二つがあまりに意外性のあるCASTだったせいか(^^;)配役って大切ね、と改めて思ったわたくしでした。


「瀕死の白鳥」

珠玉の4分。
サン=サーンスの白鳥のチェロの調べに乗って、もう、見た目そのものが白鳥、なロパートキナが
パドブレで登場したのを見た瞬間、鳥肌がたちました。。。
弱りゆく身体を鼓舞して羽ばたいてみる白鳥が見るのは大空を舞う夢、自由への希求・・・
優美そのものの腕のラインがゆるやかにその力を失っていく様に涙を禁じえませんでした・・・


「タランテラ」

一転して明るいイタリアンワールド。
マリインカの誇る若きテクニシャン、テリョーシキナとサラファーノフが存分に
明るくメリハリのある強さを持って、踊ります。
振りがそのまま音楽とシンクロするバランシンの振り付けを的確に表現する
テリョーシキナの寸分の狂いもなくリズミカルに捌くその技量に感服。
最高ですね!!
サラファーノフも同じく軽やかに乗っていましたが、テリョーシキナの方が
一枚上手、だったかも?
最後、テリョーシキナの頬に大きな音をたててキスをするのも振りのうちですが
とても楽しい幕切れでした。

第3部

「海賊」 組曲
華やぎの国~メドーラのヴァリエーション~オダリスク~パ・ダクション~コーダ

うーん、なんともヘンテコなものを見てしまいました!
って言ってよいのかしら・・・^^;



コンラッドのイワンチェンコ、いつものピシッと決まったオールバックではなく、サラサラヘアーに額に青いヘアバンド・・。
なんだかコワイです・・・。
彼と恋人???というのが可憐な少女の風情なソーモワ。
仕える奴隷アリ、がすっかり美青年に成長したもと紅顔の美少年シクリャローフくん。
なんだか、少年少女をたぶらかしたワルイおじさんみたい。。。って偏見??



えーっと、まずは「生ける花園」と評判の高い、華やぎの国の群舞から。
「海賊」をガラで上演するときはほとんどアリとコンラッドとメドゥーラのパ・ド・トロワ、
もしくはその中のアリとメドゥーラのパ・ド・ドゥ、というのが定石ですので、
今回の3人のオダリスクのPDTとそれぞれのソロをたっぷり見せる群舞つきの趣向は目新しく
なかなかまとまりも良くて楽しめました。
ただ、群舞はとてもキレイなクリームとパウダーピンクのロココ調で花輪をもったクラシックチュチュなので、
「海賊」ってオリエンタルな物語じゃなかったっけ?と混乱を口にする観客の声も帰途でいくつか耳にしましたが・・・^^;
オダリスクのソロでは、公演通じて大活躍のヤナ・セーリナ(写真左)がやはりきびきびとした踊りで3人のソリストたちのなかでは目を惹きました。
シクリャローフ君が技巧とエキゾチシズムを湛えたアリのソロって・・・(両方とも持ち合わせていないはずxxx)と見ていてドキドキしましたが、指先まで神経を行き届かせた丁寧な踊り、気合の入ったジャンプ、回る前に顔が完全に変わっていた(気合を入れていた)ピルエットなど、全て順調にこなしてくれて見守る保護者(気分にさせられます)はホッと一息・・
3年前にはゲルギエフのお気に入りとかで抜擢されたものの、技量がついていかず、リフトもぐらぐらだったのに、なにやらここ数年、コンテストでの入賞も果たし、確実に実力も伴って来ている模様に安堵。
でも、技巧はなんとかクリアしたものの、エキゾチシズムは皆無ですね~。
コンラッドったら、こんな文明国の青年を連れてきて俘虜にしているとは悪党だわ・・・と思ってしまうのでした。。。

ソーモワはピンクの衣装もお似合いで可愛らしいのですが、時々アレッと思わせるあの突然脚を高く上げたりフェッテが雑になったりするクセは治らないのかしら・・・
とはいえ、最後のほうの超高速フェッテでは会場を沸かせてくれました。
残念だったのがラスト、コンラッドがメドゥーラを高々とリフトしてオダリスクと群舞を従え、アリが足元に滑り込む・・・という決めポーズを取っている最中になぜか早々と幕がしまってしまったこと・・・

オケがソーモワのフェッテに合わせて走っていたので釣られたのかしら・・・
しかし;;

うーん、なんとも微妙な味わいのGALA初日ではありました。
可能ならば、1部と3部の順序を入れ替えて、帰路に着く胸に、ロパートキナのゾベイダが
麗しくその香りを残してくれていたのなら、素晴らしかっただろうに・・・と思うのですが。
明日もあるので、ベテランダンサーは2部終了時にはお帰りになったいた模様デス。