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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

2010年 星組語り ⑤

2010-12-31 10:03:13 | TAKARAZUKA
追い込みです(笑)

もう、ここまで来たらFINISHするしか。

⑤ 「愛と青春の旅立ち」



リチャード・ギアがブレイクした80年代のアメリカ映画の初ミュージカル化。
ご存知ですか?この映画。
わたくしは世代的に知っていなくてはならない・・・のだそうですが(笑)、あまりにもオタクな映画少女だったがために
却って、商業的に成功しているアメリカ映画を無視する傾向にあり、所謂ミニシアターもの、ヨーロッパ映画、インディペンダント系、でなければヌーベルヴァーグの作家、ネオりアリスモのイタリア映画、ヴィスコンティ、小津、でなければカウリスマキ、ジャームッシュ、アルトマンといった系統に与していたので・・・。
なので映画を観ずして、観た宝塚版。
原作者の方が初日にご夫妻で観劇されて、大変満足なさっていましたが、士官学校の生徒たちの愛と青春のドラマ。
予科生が士官になるためのしごきに耐えて、りっぱな士官としての晴々しい卒業式を迎える・・・
これはまるで宝塚音楽学校の生徒のおはなしではないか!ということで、大変入り込みやすい設定ながら、脚本的にはちょっと偏りが。

スミレコード無視、のきわどい台詞、連発するギャグセンスに、一部に熱狂的なファンを持つも、多くの宝塚ファンが危惧する石田先生の脚本。

■まず良いところ: 鬼軍曹フォーリー(凰稀かなめ)の描き方については、見た目 映画の俳優とは真逆の 華奢で美形のジェンヌが演じることもあってか、ただマッチョで横暴な教官、というよりは、生徒のためを思って汚れ役を引き受ける、愛情溢れる知的で誠実な軍曹、という感じに。生徒に厳しく当たったあとは、それを観ていた校長先生(磯野千尋)とのしみじみとした会話でその心情が語られる、という手厚い脚本。

■疑問なところ: ザック(柚希礼音)の描き方。ポーラ(夢咲ねね)に対してひどすぎる台詞が多く、そんなザックをポーラが愛し続ける理由付けが希薄。愛に飢えたザックの寂しさを感じ取った母性的なポーラが、強い意志の力で彼を見捨てないと誓っている・・・というようにポーラも性格付けに脳内補完が必要。
そんなふうに、ポーラに対して非道な態度を取り続けていて、士官候補生仲間に対してもとりわけ馴染んだ風にも見えない段階でのフォーリーのしごきに対して、「わたしは祖国を愛してます!」などと改悛の情を見せるのがGAP。
ザックの成長が段階を追って脚本の中で描かれていないので、最後のフォーリーの台詞「ザックは成長したのであります」に至る彼の成長の過程が見えない。ほとんどの脚本のスカスカなところは各々が役作りを考えて埋めてきているので破綻はないし、それぞれの生徒の役作りにおける力量も見られて楽しいのだか、主役のザックまでここまでスカスカな脚本にしたら、いくら柚希さんが迫真の演技をしても唐突感はぬぐえない・・・。

■どうかと思うところ: 台詞に狙っているのか!?と思うほど古めかしい表現をてんこ盛り。
「河岸を変えましょう」「ちゃんちゃらおかしいわ」「勝手にほざけ」

とはいえ、素晴らしい公演でした!
まずメイン。
ザックの柚希さんが男前!
フィリピンで、女にだらしない父親(英真なおき)のもとで育てられ、人生を変えようと士官学校への入学を告げるシーンでの銀橋渡り。ナップザックを担いた革ジャン、ジーンズ姿がカッコイイ!

それに絡むフォーリー軍曹のかなめちゃん!
色白美形のお顔が黒塗り。帽子、口髭でおおわれているのが勿体ない事この上なし、ですが、それだけに時折帽子を取ったりサングラスを外したりするシーンがありがたく感じられます(笑)
身長が高いだけでなく超絶な脚の細さ長さも堪能できるシンプルな軍服スタイルもツボ。
優等生デラセラ(夢乃聖夏)をしごきでマットにしずめるシーン、親友シドの自殺の痛みをフォーリーにぶつけるザックとの決闘シーンでの本格的な立ち回りのカッコよさなど、今までにない(そしてこれからはこんな役は2度とまわってこないでしょう)姿を拝めるチャンス。
・・と、完全にファン目線でハートを飛ばしていたのですが、新人公演の映像で、至極真っ当なマッチョ軍曹を演じていた真風(涼帆)くんを見て、おっさんくさい。。。と萎えたときに、凰稀さんの作り上げた軍曹(声質、体型などからどうしてもリアルに演じるのは無理、と判断して、自分なりに出来ることを積み重ねて作り上げた、と本人談)がいかに宝塚の舞台における鬼軍曹として正しかったか、ということが図らずも証明されたように思いました。
以前、恵まれた資質をそのまま活かせる役が多かった時には気付かなかった(多分本人も)役作り能力=役者としての力が試されそして実感出来た、メモリアルな公演となったのではないでしょうか。

ここまでで、すでに充分に語っておりますが、後は3人3様の”女の生き方”を見せる、ポーラ、リネット(白華れみ)、シ―ガ―(音波みのり)について、そして士官候補生仲間についても語りたい・・・でもそろそろ筆を置かなくては。。。のお時間がやってまいりました。

続きは新年にまた。。。

皆さま、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ




2010年 星組語り ④

2010-12-31 06:22:53 | TAKARAZUKA
これを書き終えないと2010年が終わらない・・・
年賀状がまだ終わっていないのに連日星組を語る自分もどうかと思いますが^^;

しかもベジャールバレエ団、あんなに熱心に観ていたのにこちらでは完全スルー状態で、
オーストラリアバレエ団も予告のみという放置状態・・・^^;

え~と、ベジャールバレエ団は来年早々に東バでベジャールプロがあるので、そこに絡めて書きます!
オーストラリアの方は、場所だけ作ってあるので、いつかひっそりと埋めておきます・・・

と、言い訳をしつつ、この一カ月の心の支え、
宝塚星組東京公演
「宝塚花の踊り絵巻~秋の踊り」
「愛と青春の旅立ち」

いや、演目とCASTが発表された段階で、まさかここまで自分がハマるとは夢にも思っていませんでしたが・・・
わからないものですね!

11月26日の初日に始まり、12月26日の前楽まで、12月2日、9日、16日、24日を含め都合6回観劇。
宝塚は2回がMAXだったわたくしにとって、ひとつのターニングポイントに?
良く言われる、一度目全体、2度目贔屓中心、3度目若手チェック、という見方もあるかと思いますが、わたくしの場合ほぼ2番手メインで出ていないときにはTOP,というかなり偏った視線で^^;
ある程度固定された視野ではありましたが、だからこそ、徐々に舞台メイク、演技、全体の一体感などの高まって行くさまがもう、刻一刻と上昇気流に乗って天高く駆け昇っていくような高揚感がありました。
リピートできるかどうかは演目にもよるかと思いますが、今回は楽しい見どころが多く何度でも観たくなりました!
ただ、DVDは大劇場公演で収録されているので、完成度としては東京公演に及ばないかと・・・。
スカイステージで1年後に放映されるであろう東京公演千秋楽の映像を待ったほうが良さそうです。

ではまず、和モノのショーから・・

④ 「宝塚花の踊り絵巻~秋の踊り」



45分の日本もののショー。
チョンパ(真っ暗な中からパッと照明がMAXになり、銀橋にずらりとスターが並んでいる華やかな幕開け)から始まり、菊慈童、武士と遊女の追手をかわしながらの道行、麦や節、おけさ幻想、秋の月夜の男と女、雪、春の踊り(組み紐、毛槍、主題歌歌い継ぎ)という流れ。

初見では、道行の場面の流れが大衆演劇っぽくてちょっとなぁ~と思ったり、ラストの春の踊りのシーンも華やかというよりはパステル調の色を使いすぎて却ってゴチャゴチャと地味に見える・・・舞台全体の色彩設計に問題があるのではないか、などと素で客観的に舞台を観てしまっていたのですが、リピートするうちに、演者の熱気と美しさにだんだん細かいこと(?)が気にならなくなってくるではありませんか・・・(宝塚マジック??)

定番だと思っていた日本もののショーですが、実際には今は2年に一度くらいしかい上演されないみたいで、生徒さんによっては、というかほとんどの方がしゃべ化粧(白塗りのお化粧)が初めてで・・・と、きれいに見えるお化粧を完成させるのに苦労されていた模様。
いつも、初日から仕上げてくる柚希さんでさえ、大劇場中盤段階で、やっと化粧の初日を迎えた(ようやく納得のいく形に完成した)とトーク番組で語っていらしたくらいですから・・・。
和ものが得意というイメージのある雪組出身者の凰稀かなめさんでさえ、実は本格的なしゃべ化粧は初めてで、柚希さんに一から教えていただいた、とのこと。確かに大劇場のときもキレイではあるのですが、眼の周りに広くピンクのシャドーのように紅をぼかしているのがちょっと京劇風だったかも。
東京公演後半はアイラインと眉の黒に重ねるように紅色を挿してベースは赤みを押さえて白く仕上げているのがお似合いでとてもきれいでした。
遊女の夢咲ねねさんも最初はちょっと垂れ目風でピンクピンクしていましたが、最後はとても色っぽくなり・・・

専科の松本悠里さんが、日本舞踊のスペシャリストとして特別出演。
「菊慈童」と秋の男と女の2場面、そしてラストの組み紐の場面でメインを踊っていらっしゃいましたが、「菊慈童」は申し訳ないのですが、見所満載で力の入りっぱなしのこのショーの中ではお休みタイムに(笑)
涼紫央さんとのしっとりとした男と女の中秋の名月?の場面は、全体の完成度が低かった時点では、さすが、と思わせる情感溢れる美しい場面、だったのですが、他がレベルアップしてくるとどうも地味な場面に見えてきてしまい・・・^^;
でも、生徒さんたちが松本先生とお稽古したり、舞台でご一緒することで様々な所作や大切なことを教わったとおっしゃっているので、やはり大切な方なのでしょう。でも、主演場面はもしかすると一つでも良かったかも?

どんどん良くなっていったのは「驟雨」の場面。
柚希さんがまず遊郭を訪れるのですが、赤の格子が動いて3面を作りそこにハラハラと遊女が4~5人現れるところが美しい。女将と思われる副組長の万里柚美さんが上品な色気を醸し出していて目が釘付けに。
そこに現れる夢咲さんの遊女。薄物の羽織物を使って柚希さんと踊りますが場面は秋なのに紗?と一瞬思わないでもなかったのですが、秋口ということとヴィジュアル効果で良いのでしょう^^;
ワラワラと柚希さんを追う忍者登場。
ここでの立ち回り、長い棒をスピーディに操るのはバトンの名手、鶴美舞夕さん。投げられた刀をキャッチする見せ場もあり、男役としては小柄ながら、きびきびとしたダンサーである彼女に見せ場があるのは嬉しいです。
銀橋を上手から渡って逃げる柚希さんと下手からフラフラと小走りに駆けてくる夢咲さんが中央でぶつかり、瞬時構えるもあぁ、お前か・・・と気付いてホッとし、肩をやられたんだ・・・とくずおれる柚希さんが見どころ。
二人で沼地?に逃げると待ち構えていたのは紫のキモノの武士(紅ゆずる)。危ないから、と足手まといにならないように舞台奥の小舟に避難するねね姫。小舟から二人の立ち回りを見守るのですが、初日の頃は、さっさと逃げてちゃっかり待機、というふうに見えてしまっていたのが、楽近くでは、武士を倒した手負いの柚希さんと小舟で寄り添い落ちのびるラストまで(24日に初めてこの場面で泣けた)、柚希さんを常に気遣い、美しく眉を寄せた泣き顔も色っぽく、もとより姿はほっそりとした首と小さな頭がお人形のように可憐なので、とてもよかったと思います。
夢咲ねねさんについての評価は、どの日に観たかで全く分かれるかも^^;

そして「麦や節」
民謡歌手凰稀かなめって・・^^;と聞いた時には思ったのですが、清新な溌剌とした雰囲気と武士らしい風格があって、ベタな民謡風ではなかったのでホッ。
白鉢巻きに黒いキモノ、白黒縦縞の袴に手にすげ傘。左右に4人従えてセンターでこぶし回しも完璧に朗々と歌い上げる凰稀さん、いつの間にこんなに自在に歌えるようになったの・・・
うぅぅ・・・この調子だとそのうちTOPになっていただいても大丈夫だわ!とテンションあがります。
笠を使った振りが面白く、そしてとても難しそう。涼さんが取り落した瞬間を観てしまった回もありましたが^^;
歌いながら銀橋を渡り、キリッとした視線で前を見ながら、笠を下に向かってクックッと下げる振りがあるのですが、そこ、カッコよくてツボです(笑)

続いて「おけさ幻想」
これはとても星組らしい迫力のある演目ですね。柚希さんの「佐渡おけさ」。
声量も声の伸びも素晴らしく、そこに星組総出の群舞が風や波を表現しているとのことで、紺色の背景に青緑~紫の衣装でちょっと幻想的でエモ―ショナルな場面です。皆は青い布で頭を包んでいて、柚希さんが青天で夢咲さんが日本髪。
群舞が女性だけ、メイン4人だけ、全員、などとフォーメーションを変えながらそれこそ波のように柚希さんを囲むのが音楽の高まりと相まってとても見ていて気持ちが良いです。
どうしても出ている場面では凰稀さんを観てしまうのが、上品な身のこなしながらも、柚希さんを見つめながら音楽に乗ってキメを作ったり流れるようにターンするところのノリ具合がとても良く、とりわけ千秋楽近くなってからの入りこみ具合は表情にも現れて、とても華がありました。
ラスト、金銀の扇を持った群舞が中腰で扇を掲げるところが本当に波の煌めきのようで素敵。
この瞬間の会場からの拍手、回を追うごとに大きく長くなっているのが嬉しいです。

「雪」の場面。
おかっぱの娘役たち群舞で繋ぎ、主役二人を早変わりさせるための地味なシーンではあるのですが、個人的には舞台美術が美しくて好きな場面です。
白とキラキラする雪だけで、娘たちの白いキモノと溶け合ってとてもキレイ。
白い着物で登場した主役二人のまわりを娘たちが囲み、引き抜き(というか、白着物をとる作業)でパッと紫と赤の二人になり、春になる、という演出。

「花見の総踊り」のラスト。
華やかな桜舞う春爛漫のシーン。主役二人の踊りをセンターに、背後の階段センターに2番手凰稀さんが現れ、扇子を開いてキメて拍手、でテーマ曲の歌い継ぎの歌い出しを担当。
この後涼さん、夢乃さん、紅さんと続くのですが、だんだん音楽もクレシェンドしていく、ということもあり、最初がちょっと大人しめに聞こえてしまうのは致し方のないところでしょう。丁寧な歌唱で好感は持てます。
松本先生を挟んで、涼さんと3人で紅い組紐を肩に回して手元の房を回しながらの踊り、笑みを交わしながら、楽しそうに踊っているのが和みます。凰稀さんは身長が高いだけでなく腰の位置がとても高いので日本舞踊ってどうなの??と思っていたのですが、きれいに腰を落として流麗に舞っている姿は美しさでは断トツだったと思います。(贔屓目)

イメージとは違いながらも、高レベルのパフォーマンスを見せてくれたのは柚希さんも同じくで。
バレエがベースとなっている人なので、こういう踊りに馴染むのかなぁとか、洋モノのショーでバリバリ踊る柚希さんが観たかったのに・・・勿体ない、などという声も聞きましたが、指先まで神経の行きとどいた力の入った演技と踊り、伸びやかな歌唱で柚希さんならではの日本モノのショーを作り上げられていたと感じました。

いや、この45分のショーだけでもう満足!
でも、この後に見どころ(&突っ込みどころ)満載のお芝居が控えているんです。