2012年2月4日(土) 14:00
東京文化会館にて
ボリショイ・バレエ団の日本公演グリゴロ―ヴィチ版
「白鳥の湖」を観て参りました
The Bolshoi Ballet & The Bolshoi Orchestra
プティパ・イワノフ版初演: 1895年1月15日、ペテルブルグ帝室マリインスキー劇場
グリゴローヴィチ新改訂版初演: 2001年3月2日、モスクワ・ボリショイ劇場
2012年2月4日(土) 14:00~16:35
「白 鳥 の 湖」
全 2 幕 4 場
台本:ユーリー・グリゴローヴィチ
(ウラジーミル・ベーギチェフとワシーリー・ゲーリツェルの原台本に基づく)
音楽: ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
演出: ユーリー・グリゴローヴィチ
振付: マリウス・プティパ,レフ・イワノフ
アレクサンドル・ゴールスキー、ユーリー・グリゴローヴィチ
美術: シモン・ヴィルサラーゼ
音楽監督・共同制作: パーヴェル・ソローキン
照明: ミハイル・ソコロフ
指揮: パーヴェル・ソローキン
管弦楽: ボリショイ劇場管弦楽団
オデット/オディール: マリーヤ・アレクサンドロワ
ジークフリート王子: ルスラン・スクヴォルツォフ
王妃 (王子の母) : エカテリーナ・バリキナ
悪魔ロットバルト: ウラディスラフ・ラントラートフ
王子の家庭教師: アレクセイ・ロパレーヴィチ
道化: デニス・メドヴェージェフ
王子の友人たち: ダリーヤ・コフロワ、チナーラ・アリザーデ
儀典長: アレクサンドル・ファジェーチェフ
ハンガリーの王女: ヤニーナ・パリエンコ
ロシアの王女: アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ
スペインの王女: チナーラ・アリザーデ
ナポリの王女: マリーヤ・ヴィノグラードワ
ポーランドの王女: アンナ・オークネワ
3羽の白鳥: アンジェリーナ・ヴラシネツ、オルガ・マルチェンコワ、
ユリア・グレベンシコーワ
4羽の白鳥: スヴェトラーナ・パヴロワ、ユリア・ルンキナ、
ダリーヤ・コフロワ、マルガリータ・シュライネル
ワルツ: アンナ・レベツカヤ、アンナ・オークネワ、
マリーヤ・ヴィノグラードワ、ヤニーナ・パリエンコ、
カリム・アブドゥーリン、デニス・ロヂキン、
アルテミー・ベリャコフ、ミハイル・クリュチコフ
【上演時間】 約2時間35分 【終演予定】 16:35
第1幕 (第1場・第2場) 60分- 休憩 25分 - 第2幕 (第1場・第2場) 60分
満員御礼。
オケに興味をお持ちの方も多く、開演前や休憩時間にオーケストラピットを覗き込む観客の方が
たくさんいらっしゃいました。
わたくしも、先日のハチャトリアンの「スパルタクス」での重厚で迫力のある金管の響き、独得のドライブ感に
すっかり魅了されてしまっていましたので、この日のチャイコフスキーはさぞかし・・・と期待していましたら
前奏曲で???という・・・
昼公演で温まっていなかったのでしょうか?全体やや端折り気味?
2幕のハープは素敵でしたが^^;
前奏曲で出鼻をくじかれたとはいえ、幕があいたらそこはボリショイワールド
荒々しく古美のかかったゴールド、黒、赤で舞台装置と衣装が統一されていかにもロシア的豪奢と粗野と洗練が
絶妙にMIXした世界観とトランプのジャックのような鬘が違和感なく似合う宮廷人たちの姿にいきなり魂を持っていかれました^^;
その中で一際映える白い衣装の王子、ジークフリート。
グリゴロ―ヴィチ版だけあって登場から踊りまくる王子ですが、スクヴォルツォフ、ほっそりとノーブルな佇まいながらそつなく端正に踊ります。
この版は全体にコンパクトで、パ・ド・トロワも王子がセンターで女性2人との踊りに。
ところどころで赤黒に金を効かせたスパイシーな存在感の道化が技巧的な踊りをみせますが、衣装も含めて
ファンシーに転びすぎないいい意味での辛さがあるのが特色。
白肌赤毛の美しい母王妃からの誕生日の贈り物を受け、場面は宮廷から王子の夢想の世界に・・・。
ブルーの暗い照明の中に白鳥たちが浮かび上がり、白鳥の群舞の中にオデット姫が登場。
アレクサンドロワのオデットは、視線を客席にも王子にも向けず、夢幻世界の存在として王子の心を惹きつけます。
彼女ならではの弾性のある動きと白鳥らしい細やかで繊細な造形が相まって、ヴィシニョ―ワほど強くも地上的でもなく、ロパートキナほど天上の存在でもなく、夢の世界にありながらリアルに息づく悩める白鳥・・・といった面持ち。
2幕の花嫁選びは一転して強くしなやかなオディール。
ロットバルトのラントラートフの姿と踊りは大変シャープで美しいのですが、オディールを支配し、ジークフリートを翻弄する黒幕としてのおどろおどろしさはなく、あっさりとした感じ。
オディールがそのしなやかな生命感で宮廷を圧倒する、という雰囲気の2幕でした。
オディールの代名詞のようなフェッテも流れの中で時々腕をアンオ―にあげながら力強くこなし、アレクサンドロワのニンにあっていて素晴らしいオディールだったと思います。
母の承諾も得、結婚を申し込んだ瞬間、背後にオデットの苦しむ姿が浮かび、一瞬にして、オディールも宮廷そのものも全てが消えうせてしまいます。
花嫁選びのディベルティスマン、ハンガリー、ロシア、スペイン、ナポリと各国の姫とお付きの踊りは
シンプルに形式化され、きれいでした。
姫は全てそれぞれの民族色を出したデザインなれど、色は白ベースで黒と金でアクセントをつけたドレス。
お付きは黒と金、黒と青などで姫が引立つ配色に。
終幕、王子の裏切りを仲間の白鳥に報告するオデット。
王子が駆けつけるも、ロットバルトに阻まれて、オデットに近づくことさえできません。
ここ、6名?の黒鳥がフォーメーションを変えつつ、オデットへの障壁を形成しているのが視覚的にわかりやすくキレイです。
全てを失い、1人膝をつく王子・・・。
これまでのことはもしかすると王子の精神世界の中での出来事だったのではないか・・・
ちょっとジゼルのアルブレヒトを想起させる幕切れでした。
終演後、主役二人によるサイン会があり、チャーミングなお二人の素顔に接することができました
この日の夕方、一行は明日の名古屋での「スパルタクス」の公演のために一度、文化会館前に大集合。
機材はトラックですが、ヒトは電車で・・・というわけで、JRの駅前にボリショイスターが勢ぞろい(オケの方も)。
先日、スパルタクスで観たロパートヴィチ、ワシ―リエフ、ルンキナ、ニク―リナ、チュージン、、、とそこここにスターが
一瞬、どこの空港に紛れ込んだのか、という状況に^^;
連日の公演で移動もあり・・・。ツアーはやはりハードですね!
寒さには慣れていらっしゃるでしょうけれども、皆さまどうぞお体を大切に、と心で祈ったことでした
東京文化会館にて
ボリショイ・バレエ団の日本公演グリゴロ―ヴィチ版
「白鳥の湖」を観て参りました
The Bolshoi Ballet & The Bolshoi Orchestra
プティパ・イワノフ版初演: 1895年1月15日、ペテルブルグ帝室マリインスキー劇場
グリゴローヴィチ新改訂版初演: 2001年3月2日、モスクワ・ボリショイ劇場
2012年2月4日(土) 14:00~16:35
「白 鳥 の 湖」
全 2 幕 4 場
台本:ユーリー・グリゴローヴィチ
(ウラジーミル・ベーギチェフとワシーリー・ゲーリツェルの原台本に基づく)
音楽: ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
演出: ユーリー・グリゴローヴィチ
振付: マリウス・プティパ,レフ・イワノフ
アレクサンドル・ゴールスキー、ユーリー・グリゴローヴィチ
美術: シモン・ヴィルサラーゼ
音楽監督・共同制作: パーヴェル・ソローキン
照明: ミハイル・ソコロフ
指揮: パーヴェル・ソローキン
管弦楽: ボリショイ劇場管弦楽団
オデット/オディール: マリーヤ・アレクサンドロワ
ジークフリート王子: ルスラン・スクヴォルツォフ
王妃 (王子の母) : エカテリーナ・バリキナ
悪魔ロットバルト: ウラディスラフ・ラントラートフ
王子の家庭教師: アレクセイ・ロパレーヴィチ
道化: デニス・メドヴェージェフ
王子の友人たち: ダリーヤ・コフロワ、チナーラ・アリザーデ
儀典長: アレクサンドル・ファジェーチェフ
ハンガリーの王女: ヤニーナ・パリエンコ
ロシアの王女: アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ
スペインの王女: チナーラ・アリザーデ
ナポリの王女: マリーヤ・ヴィノグラードワ
ポーランドの王女: アンナ・オークネワ
3羽の白鳥: アンジェリーナ・ヴラシネツ、オルガ・マルチェンコワ、
ユリア・グレベンシコーワ
4羽の白鳥: スヴェトラーナ・パヴロワ、ユリア・ルンキナ、
ダリーヤ・コフロワ、マルガリータ・シュライネル
ワルツ: アンナ・レベツカヤ、アンナ・オークネワ、
マリーヤ・ヴィノグラードワ、ヤニーナ・パリエンコ、
カリム・アブドゥーリン、デニス・ロヂキン、
アルテミー・ベリャコフ、ミハイル・クリュチコフ
【上演時間】 約2時間35分 【終演予定】 16:35
第1幕 (第1場・第2場) 60分- 休憩 25分 - 第2幕 (第1場・第2場) 60分
満員御礼。
オケに興味をお持ちの方も多く、開演前や休憩時間にオーケストラピットを覗き込む観客の方が
たくさんいらっしゃいました。
わたくしも、先日のハチャトリアンの「スパルタクス」での重厚で迫力のある金管の響き、独得のドライブ感に
すっかり魅了されてしまっていましたので、この日のチャイコフスキーはさぞかし・・・と期待していましたら
前奏曲で???という・・・
昼公演で温まっていなかったのでしょうか?全体やや端折り気味?
2幕のハープは素敵でしたが^^;
前奏曲で出鼻をくじかれたとはいえ、幕があいたらそこはボリショイワールド
荒々しく古美のかかったゴールド、黒、赤で舞台装置と衣装が統一されていかにもロシア的豪奢と粗野と洗練が
絶妙にMIXした世界観とトランプのジャックのような鬘が違和感なく似合う宮廷人たちの姿にいきなり魂を持っていかれました^^;
その中で一際映える白い衣装の王子、ジークフリート。
グリゴロ―ヴィチ版だけあって登場から踊りまくる王子ですが、スクヴォルツォフ、ほっそりとノーブルな佇まいながらそつなく端正に踊ります。
この版は全体にコンパクトで、パ・ド・トロワも王子がセンターで女性2人との踊りに。
ところどころで赤黒に金を効かせたスパイシーな存在感の道化が技巧的な踊りをみせますが、衣装も含めて
ファンシーに転びすぎないいい意味での辛さがあるのが特色。
白肌赤毛の美しい母王妃からの誕生日の贈り物を受け、場面は宮廷から王子の夢想の世界に・・・。
ブルーの暗い照明の中に白鳥たちが浮かび上がり、白鳥の群舞の中にオデット姫が登場。
アレクサンドロワのオデットは、視線を客席にも王子にも向けず、夢幻世界の存在として王子の心を惹きつけます。
彼女ならではの弾性のある動きと白鳥らしい細やかで繊細な造形が相まって、ヴィシニョ―ワほど強くも地上的でもなく、ロパートキナほど天上の存在でもなく、夢の世界にありながらリアルに息づく悩める白鳥・・・といった面持ち。
2幕の花嫁選びは一転して強くしなやかなオディール。
ロットバルトのラントラートフの姿と踊りは大変シャープで美しいのですが、オディールを支配し、ジークフリートを翻弄する黒幕としてのおどろおどろしさはなく、あっさりとした感じ。
オディールがそのしなやかな生命感で宮廷を圧倒する、という雰囲気の2幕でした。
オディールの代名詞のようなフェッテも流れの中で時々腕をアンオ―にあげながら力強くこなし、アレクサンドロワのニンにあっていて素晴らしいオディールだったと思います。
母の承諾も得、結婚を申し込んだ瞬間、背後にオデットの苦しむ姿が浮かび、一瞬にして、オディールも宮廷そのものも全てが消えうせてしまいます。
花嫁選びのディベルティスマン、ハンガリー、ロシア、スペイン、ナポリと各国の姫とお付きの踊りは
シンプルに形式化され、きれいでした。
姫は全てそれぞれの民族色を出したデザインなれど、色は白ベースで黒と金でアクセントをつけたドレス。
お付きは黒と金、黒と青などで姫が引立つ配色に。
終幕、王子の裏切りを仲間の白鳥に報告するオデット。
王子が駆けつけるも、ロットバルトに阻まれて、オデットに近づくことさえできません。
ここ、6名?の黒鳥がフォーメーションを変えつつ、オデットへの障壁を形成しているのが視覚的にわかりやすくキレイです。
全てを失い、1人膝をつく王子・・・。
これまでのことはもしかすると王子の精神世界の中での出来事だったのではないか・・・
ちょっとジゼルのアルブレヒトを想起させる幕切れでした。
終演後、主役二人によるサイン会があり、チャーミングなお二人の素顔に接することができました
この日の夕方、一行は明日の名古屋での「スパルタクス」の公演のために一度、文化会館前に大集合。
機材はトラックですが、ヒトは電車で・・・というわけで、JRの駅前にボリショイスターが勢ぞろい(オケの方も)。
先日、スパルタクスで観たロパートヴィチ、ワシ―リエフ、ルンキナ、ニク―リナ、チュージン、、、とそこここにスターが
一瞬、どこの空港に紛れ込んだのか、という状況に^^;
連日の公演で移動もあり・・・。ツアーはやはりハードですね!
寒さには慣れていらっしゃるでしょうけれども、皆さまどうぞお体を大切に、と心で祈ったことでした