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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚星組 「オーシャンズ11」

2012-02-13 04:41:09 | TAKARAZUKA
千秋楽から一週間たち、すでに次の花組公演が始まっているこのタイミングで何ですが、
今更のように「オーシャンズ11」語りです



制作発表の頃には、え、2番手は涼サン?紅くん?
ともみんがハッキリ抜かされたってこと?真風は?と
路線男役の番手と役付に話題が集中。

ハリウッド映画原作なれど、宝塚仕様にするための変更点多数を小池先生が盛り込み、
またその承諾がすぐには出ず・・ということで、かなりぎりぎりな状況で大劇場の幕が上がったらしいのですが、
東京でも初日近くで観たMy初日から、前楽までの4回の観劇で、回を重ねるごとに進化する舞台が実に楽しかった!です。


ダニー・オーシャンと10人の仲間たち・・・
ということで、元妻(離婚は成立していない)テスの婚約者として名乗りを上げているラスベガスのホテル王、テリー・ベネディクトの金庫から一晩のカジノの売り上げをくすねることでひと泡吹かせ、あわよくばテスの心も脱会しようというスケールが大きいのだか小さいのだかわからない(笑)大作戦。

詐欺師のダニーは刑務所から出所して、親友ラスティーと再会。
一石二鳥のたくらみを果たすべく、必要な人材=仲間を手分けして探しだし、チームを作る、というところまでが
第一幕。

映画では、ジョージ・クルーニーがブラッド・ピットと組んで、アンディ・ガルシアにひと泡吹かせて美術館長である知的なジュリア・ロバーツとよりを戻す・・・という、シンプルなコン・ゲームを楽しむ風情でしたが、この宝塚版、小池修一郎演出バージョンでは、設定がいくつかプラスされ、舞台映えする作りに変更されています。

1) テスの職業は歌手

ダニ―と知り合ったときにはクラブ歌手のバイト中のエコロジーに関心を持つ女子大生。
今は、彼女の歓心を惹くために、新規OPENのホテル「エデン」のコンセプトを環境に優しいホテルと設定し、そのプロモーションで彼女をメジャーデビューさせるという御膳立てで彼女の心をつかもうとするテリー。

また、彼女の”エコ・プリンセス”としてのお披露目=新ホテルのプレゼンテーション・ショーで、脇を務めさせられるこのホテルのショー・スター”クイーン・ダイアナ”がライバルとして鼻息荒く絡みます。
このレトロなマジックショーのクイーン、ダイアナを娘役2番手、変幻自在の演技派女優、テス役のねねちゃんとは同期にあたる白華れみちゃんがケレン味たっぷりに演じます。

れみちゃんと言えば・・・
2年前には、「リラの壁の囚人たち」で当時の星組2番手スター、凰稀かなめさんの相手役として、花組から異動してきた当初は薄幸の美女がハマる楚々とした路線娘役だったのですが・・・。
今は、金庫まで押しかけて、テスのプロモ―ション用セットが豪華なのに嫉妬して、自分のショーのバ-ジョンアップのための予算をテリーに直訴して現金で希望額を出させる押しの強い女に・・・^^;
わたしの出番、これっぽっちなんですか?!とのれみちゃんのプレッシャーに負けてセッセとダイアナ登場シーンを書き足す小池先生の姿がダブります・・・(妄想)


2) エル・チョクロ

この作品の2番手はだれなんでしょう?
凰稀さんが宙の2番手になって後、「ノバ・ボサノバ」では夢乃聖夏、紅ゆずる、真風涼帆の3人のスターが役替りでそのポジを分け合っていましたが、長かったノバボサ公演を経て、初めてのお芝居。

夢乃聖夏ちゃんは紅ゆずるくんに抜かれましたね。
ダニーに敵対するテリーが役どころとしては2番手。
このベネディクト役は紅くんがク―ルに熱く、悪い男として、用心棒2人プラス1.そして事務方3人のチームを率いて、しっかりと作ってきました。
ク-ルな黒スーツ系用心棒は麻央侑希くんと芹香斗亜ちゃんの長身新公主演ペア。プラス1の肉体系用心棒は、一部に熱心なファンを持つ(?)汐月しゅうくん。しゅうくんは結構大事な役どころで美味しいところを担当していて、嬉しかったです。きれいどころではないのですが、味のある悪役顔で、ロミジュリのモンタギュー・BOYSの中で、ロン毛の金髪をポニーテールにして目立っていたのと、「メイちゃんの執事」での神崎役があまりにマンガの原作そのままのVISUALで皆を驚かせたのが記憶に新しいところ。長身のダンサーです。
事務方はカワイイお顔立ちながら味のある演技派の碧海りまちゃんと大輝真琴ちゃん。そして優香りこちゃん。

テスへの絡み方が、ちょっとガツガツしていて、悪い男はエレガントであってほしいというわたくしの好みからは外れていましたが、のし上がってきた彼のバックグラウンドを考えると役作りとしては正しいのですよね。

2番手としての歌を担当するシーンが多く、あまり歌手と言う印象のない人だったのでどうかしら?と思っていましたが、豊かな声量で堂々と歌い上げられ、急速なポジションUPに応えてしっかりと準備をしている人なのだなと頼もしく思いました。


で、エル・チョクロ。
ラスティー・ライアン=主人公の親友。ブラピがやった役。これまた2番手どころ???なラスティー(涼紫央)には恋人がいる設定で、その彼女の実家が母と祖父が仕切る小さなショー・バ―。赤毛、という意味らしく、ショーでは赤毛ボブの女の子たちが色っぽく踊って歌います。
場末のバーで経営難、銀行からの取り立てに苦しむ(テリ―の地上げ戦略のせい)割にたくさんの女の子を雇ってますが(星組の若手カワイ子ちゃんはここに集合)^^;
その赤毛ちゃんの中で一番可愛いのがラスティーの彼女、ポーラ(音波みのり)。
ラブラブ設定で、「浮気しないでね」とか^^;。
別格スターでありながら御本人は路線スターの自覚を持つ、タカラヅカ愛に溢れた方。主役の近くで親友役をしたいと熱烈に公言される、貸切公演のスポンサーでもある涼さんに対する配慮の象徴といえる設定ですね。
フィナーレの階段降りの順番も、優劣をぼかすために(?)、涼さんがエトワールで先に降りてくる・・・という苦肉の策も含めて、色々と困難を乗り越えた小池先生の今回の御苦労が忍ばれます。


*ここまでを3月5日に更新・続きます*