maria-pon

お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

バレフェスAプロ⑨

2006-08-08 04:28:27 | BALLET
★「TWO」 ロイヤルバレエのシルヴィ・ギエムのソロ。

いわずとしれた100年に一度のバレリーナ。PARIS OPERA座バレエ団出身、ルドルフ・ヌレエフによって至上最年少でエトワール昇進を果たした後、自由に活動が出来る環境を求めてロイヤルに移籍した話題を呼んだ、バレエ界を代表するスーパースター。

このところ、「椿姫」や「三人姉妹」といった真に深みのあるドラマのヒロインか、自分の眼で才能を確認した新進気鋭の才能あるコンテンポラリーの振付家とのコラボレーション作品に活動を集中させ、古典の姫は卒業、ベジャールの「ボレロ」すら、昨年封印したギエム。

その彼女が今回フェスで見せたのは、昨年のJapanツアーでお披露目した、ラッセル・マリファント振付の作品。

照明で区切られた2m四方の空間でダンサーは跳躍と回転を封じられ、その空間から踏み出ることはない。ダンサーの手足の動きが光の壁をかすめたとき手足、足先だけが一瞬きらめく、という特異な作品。これをバレエと言っていいのか。いや、舞踊の中でのバレエの地平を押し広げた存在とみなすべきかも。熟練したバレエダンサーだけにこなせる非バレエ的なムーブメント。

最小限の手足の動きが照明に照らし出されるとき、その内に向けられた抑制されたパワーが求心力となり、後半それがカンフーや太極拳をすら思わせる外に向けられた動きに転ずるとき、空間は切り裂かれ、空気は光の筋となる・・・。

圧倒的な印象を残したこの作品で、ギエムは4度のカーテンコ-ルに応えました。
通常2度、印象的な作品で3度の観客のラブコールですが、4度はこの作品一度きり。

赤みを帯びたベネチアンブロンドの髪を背に三つ編みにして長く垂らし、ホルターのシンプルなダークカーキのタンクトップにフリンジを重ねたような墨色のフレアパンツに裸足のギエムはミニマムながらとてもお洒落。
ルグリ・デュポン組とともに、玄人ウケ一番の作品。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (シーラカンチャン)
2006-08-10 12:30:02
終って、思わず「す、素晴らしい」と胸に手をあてて叫んでしまいました。閉鎖された空間だけにそのテクニックや表現力のすごさが、際立ちましたね。私は5日でしたが、やっぱり観客の反応はすごかったです。
返信する
Unknown (maria)
2006-08-11 02:19:38
この作品を初めてみたのは去年のギエムツアーのマリファント特集で。
マリファント作品を固めて見るときと異なり、古典の中にふと挿入されるときのほうが衝撃が強く面白みが増すかも知れません。
それにしても素晴らしかったですね!
返信する

コメントを投稿