11月30日の金曜日、東京文化会館でマリインスキー(KIROV)バレエ公演、「ロパートキナのすべて」を観て参りました
華やかなボリショイ、典雅なキーロフ、と並び称されるロシアの2大バレエ団として、そして世界5大バレエ団の一つとしてその名をはせるマリインスキーバレエ団。
今年の来日公演では、お馴染み「白鳥の湖」」「海賊」の2つの全幕バレエに加え、看板スターを中心に据えた「ロパートキナ・ガラ」「ヴィシニョーワ・ガラ」そし総花的な「オールスターガラ」の3つの特別プログラムを持ってきました。
マリインスキーといえば、キャスト変更が直前まで相次ぐことで(悪)名高いバレエ団。
ロパートキナファンのわたくしにとって「白鳥の湖」を彼女の主演で、しかも良い席で観るためには、チケット取得のタイミングが悩ましいところ。
そんなわたくしにとって「ロパートキナ・ガラ」だなんて・・・正に

猫にまたたび!
ジャパン・アーツの会員優先予約で発表後真っ先に申し込み、なんとこの度、1列目でお姿を仰ぎ見ることに・・・
演目は1幕目、「パキータ」のグランパ。
2幕目「ライモンダ」の第3幕。
3幕目ジュエルズの「ダイヤモンド」。
プティパの古典2つにバランシンのセミ・クラシック。
「パキータ」ではスペインを舞台にした、ジプシーとして育てられたフランス貴族の娘が、フランス人伯爵の息子と愛し合い、その血筋がわかってめでたく結婚、というお話でジプシー娘の闊達さと、貴族の血を引くノーブルさの両面を見せる役どころ。結婚式のグランパなので、ロパートキナは白いチュチュで、ダイヤモンドのよう。
その分、色とりどりのベルベットの胴着とグラデーションになったチュチュが可愛い衣装で彩りを添える5人のソリストが、個性豊かなテクニシャンであらまほしきところ・・・目を惹かれたのはヴィクトリア・テリョーシキナただ一人。
彼女は、この夏のロンドン公演でもブレイクしている注目の若手。キレの良いテクニックで旬の勢いを感じさせるダンサーでした。
他は・・・キーロフってこんなに人材が不足していたかしら?TOPの充実に対してその下のソリストクラスに個性ある若手が不足している印象・・・。5月のボリショイ公演で、コールドからソリストに抜擢されたような無名の新人がオッと思わせるような見事な踊りを次々に繰り出していたのと比べるとちょっと淋しいような・・・?
実は、わたくし、山手線を乗り違えて1幕に間に合わず・・・。1列目の自分の席をはるかに望む1Fの左手後方の席でオペラグラスなしで鑑賞していたので、ちょっと集中力に欠けていたかもxxx
(と、そのせいにしておきましょう)
2幕目の「ライモンダ」は間近にせまる舞台の上、王と王妃が登場するところから、優雅な立ち居振る舞い、繊細な色彩感覚で作りこまれた美しい衣装など、皇帝(ツァ-)の庇護の下、優雅さと洗練をその持ち味として発展・存続してきたマリインスキー・バレエ団の豊かさに魅了され始め、うっとりモードのわたくし。
舞台はプロヴァンス地方。ハンガリー遠征中の十字軍の騎士ジャン・ド・ブリエンヌの婚約者ライモンダはサラセンの王アブデラマンに横恋慕されるが、帰郷したジャンがアブデラフマンを退けめでたく結婚式の祝宴が・・というシーン。
はい、こちらも結婚式のシーンゆえ、純白のチュチュでダイヤモンドの如く輝くロパートキナです。
小さなヘッドドレスが白い毛皮に縁取られ、白い羽がダイヤモンドでセンターに留められたものでちょっぴりエキゾチック。
プティパの振付自体は、憂愁を感じさせるメロディーにあわせたハンガリアン・ダンスのスピリットを取りいれたアームスの使い方など、ちょっと東欧風のエキゾチックな感覚を取り入れたものなのですが、ロパートキナの解釈は、チュチュのあたりで両手を打ちつけて音を出す特徴的な振りなども、とても繊細に手がかすかにこすれあうような控えめなもの。その分、ひとつひとつの動きが音楽をたっぷりと味わいながら呼応しているようななんともいえない典雅さを感じさせてこれはこれで見事なライモンダ、でした。