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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

第13回世界バレエフェスティバル Bプロ 最終日

2012-08-15 05:40:27 | BALLET
Bプロ2回目にして千秋楽です。(まだSpecial GALAがありますが^^)

第13回世界バレエフェスティバル  <プログラムB> 
8月14日(火)18:00開演  会場:東京文化会館

平日の18時始まりなのにもかかわらず、「大入」札が出ていました。
このところ、バレエ公演で「大入」が出るのは日曜日くらいで、連日NBS公演ならではの「大入」札を
エントランスで観ると気分が上がります^^

前回とAプロは今にして思うと、やはり悪夢の客席だったのかも・・・。
なぜか幕間まで待てず、おしゃべりに興じる人々、フェッテでの手拍子など、どこの素人かと思う感じで(いや、素人なんですけど^^;)、パフォーマンスに対する拍手も、コンテに冷たく、華やかなテクニックを披露する古典に篤いという・・・
バレエを真剣に愛する目の肥えた日本人ファン、の評判(らしい)を覆す反応に正直とまどいを覚えておりましたが、
今日は!バヤデ―ルの日もそうでしたが、やっぱり平日夜に敢えて駆けつけるファンこそが真のバレエファンなのでしょうか?いつものバレエ会場でした。

しんと静まり返った客席で、ダンサーも演技に集中しやすかったのでは?
あと、4日連続の最終日ということで、慣れてきたということもあったのか、押し並べて、実力をいかんなく発揮できていたと思います。
ですので、今、改めて日曜日の自分の感想を観てみると、これは気の毒なことを書いてしまった・・・と反省する部分も。
ダンサーのパフォーマンスの向上、客席の正当な評価の相乗効果で、
コンテ系にも拍手が多く、明らかにカーテンコールでのダンサーの表情が晴れやかで、ホッとしました。



《第1部》 18:00~18:55

◆「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル

2人ともとても良くなっていました!
リフトから降ろす時にちょっと目測を誤った感もあったフォーゲル君のサポートがグッと安定。
もともと個々のパフォーマンスが良かったところに加えて、2人の息が合ってきて、本当に爽やかで若々しい2人による、軽快で伸びやかな演技を心行くまで楽しみました。

◆「パルジファル」  
振付:モーリス・ベジャール/音楽:リヒャルト・ワーグナー
カテリーナ・シャルキナ オスカー・シャコン

安定の演技。影絵のように背景に大きな影を映し出す演出ですし、ワーグナーの荘厳な音楽でドラマチックなシーンなので、お昼の明るいうちに観るよりも、夜の公演の方が、違和感なく見えますね。素敵でした。


◆「タイス」(「マ・パヴロワ」より)
振付:ローラン・プティ/音楽:ジュール・マスネ
上野水香 マシュー・ゴールディング

今回も音楽と踊りの融合を楽しみました。
上野さんはやはりプティ作品が似合いますね。
クラシックはあの「白鳥」全幕のトラウマがあるせいかあまり気が乗りませんが^^;ネオ・クラシックでもちょっときつい・・・
コンテンポラリーが合う人材なのだと思います。

◆「エフィ」
振付:マルコ・ゲッケ/音楽:ジョニー・キャッシュ
マライン・ラドメーカー

今回は、ジョニー・キャッシュの歌声を、音だけでなく、歌詞を交えて意識して観るようにしてみたら・・・
面白かったです。
マラインは、常に全力でこの作品に取り組んでおり、チャーミングなパフォーマンスでした。
なぜ、あんなに退屈に感じたのでしょう?(無責任^^;)
ただ、バレエというのは言葉の解釈なしに、世界中の共通言語である音と動きだけで全てを理解させることが出来るというグローバルな芸術である、という前提を考えると、こういう歌詞に味のある曲選びがまずもって反則?
試みとしてはありですが、観る側に、ちょっと事前に心構えが必要だったかも、と思いました。


◆ 「ライモンダ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー

素晴らしかった!
この2人のパフォーマンスの精度もさることながら、ともにクール・ビューティを意識した、表情の作り方にゾクゾクしました。
・・・衣装が似合わないって大したことじゃないんだな、と思いました(小声)


<休憩15分>


《第2部》 19:10~20:05

◆「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

アリーナのロミオを見つけるまでの表情の変化がとにかく素晴らしいですね。
いえ、見つけてから・・・のPDDも良いのですけど。
ただ、息のぴったりあった2人のはずで、実際の視線の絡ませ方などはさすが、なのですが、アリーナの音取り(いつも早め)とコボーのそれ(やや遅め)のズレのせいか、流れるような振りつけのはずが、時折アリーナが待っているように感じられる部分があり・・・それが、圧倒的な感動(お手本はフェリ)とまではならない理由なのかしら・・・と、
感動の涙を流しながらも分析してしまいました^^;

◆「ウィズアウト・ワーズ」
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:フランツ・シューベルト
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ

やはり、良い作品でした。
春の陽だまりの中、双葉をつけた植物の芽がすくすくと成長しているような・・・
サラファーノフは勿論、ノヴィコワも、古典の基礎がしっかりしているだけに、大技もなめらかで、しかも細部まで行き届いた演技がとても自然で美しかったです。


◆「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
アニエス・ルテステュ ステファン・ビュリョン

今日の方が数倍良かったです。
特にアニエスが自然で入り込んでいて物語の世界が広がりました。
これで、パリ・オペラ座来日公演が楽しみになってきました^^
あ、ビュリョンくん美肌説は、初来日のときの印象から来る刷り込みで、実際に今回間近で見ると、それほどではなかったかも(爆)

◆「ラ・シルフィード」第2幕より
振付:ピエール・ラコット/音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ
東京バレエ団

24人のシルフィード・・・とは、オブラスツォーワを入れて・・・のカウントで、コールド20人、ソリスト3人、そしてシルフ、です。
マチューの踊りが空間を大きく使った演技で、なおかつ、細かい足技も丁寧にしていて感心感心・・・と観惚れていたら、同じように感じた方?からの拍手が入りましたが、そこで、力尽きたか、ちょっと雑・・ではないのですが、省略形になってしまったのがマチューらしいといえばらしいかも^^;
そしてオブラスツォーワの・・・軽やかな踊りもさりげなくクォリティは高いとはいえ、あの観客の圧倒的な支持を得ているのは誰しもが、今、自分に向かって微笑み掛けた!と思いこむ、直接ハ―トに届くあの天真爛漫な笑顔ですよね。・・・武器だと思います。
超絶技巧なくしても、とても美しい男の子ととても可愛らしい女の子のペアは幸福感を届けてくれますね。


<休憩15分>


《第3部》 20:20~21:20

◆「マーラー交響曲第5番」より"アダージェット" 
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:グスタフ・マーラー
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン

改めて、作品としても美しく、堪能しました。
ともに淡くグレイを帯びた白いシンプルな衣装。ボァディンはタイツに、上はサイドが開いて首元が詰まった、ゼッケンを大きくしたような?貫頭衣のようなもの、ブシェは短いスカートに真っすぐな胸元のシンプルなドレス。
ブシェの脚はやはり雄弁ですね。
NBSでハンブルグバレエを呼んでくれないかしら?
前回の来日全幕は民音・・でしたっけ?馴染みのあるプロモーターではないので出遅れているうちに終わってしまい^^;
今更のように後悔しています・・・。

◆「シェエラザード」 
振付:ミハイル・フォーキン/音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ
ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー

ポリーナちゃんのシェエラザードは若々しいゾベイダで、今まで観たベテランの妖艶だったり神秘的だったりする役作りとは違っていましたが、わたくしには許容範囲でした。
それよりも、ゼレンスキーの重厚な存在感にはやはり圧倒されますね。
二つのバレエ団の芸監を兼任されつつもこのパフォーマンスが出来る肉体を維持しているというだけでも素晴らしいのに、表現力に深みを増してる分観ごたえがありました。

◆「アザー・ダンス」
振付:ジェローム・ロビンズ/音楽:フレデリック・ショパン
オレリー・デュポン ジョシュア・オファルト

これからのオレリーはジョシュアと組むのかしら。
端正な踊りをする彼は、自在で艶やかな演技のオレリーをしっかりと支えてくれるでしょうし、彼女のパフォーマンスに良い影響を受けて、彼自身、懐の広い表現力がついてくると良いなぁと、楽しみに思いました。
長いけれども、退屈させない、ショパンの音楽とたわむれるように踊るオレリーが魅力的で・・・
あ、ピアノの高橋氏も、この日はコンディションを整えていらしたみたいで、気持ち良く観賞できました^^


◆「海賊」
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ

ワシ―リエフの力一杯の演技が凄い・・・。
もう、最初から手抜き一切なし!
ひとつひとつのパを自分の限界に挑戦!とばかりにMAXまで出してきました。
オシポワもメドゥーラの姫らしさを意識しつつも、技巧を強調するアレンジを入れてきて・・・
とはいえ、「海賊」は音楽的にあまり内容をいじることのできない演目ですから、ガラでの「ドンキホーテ」で
どこまで彼らが見せ場を作ってくるか・・・楽しみにしたいと思います。


<休憩15分>


《第4部》 21:35~22:30

◆「ル・パルク」
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ/音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
ディアナ・ヴィシニョーワ  ウラジーミル・マラーホフ

ヴィシニョ―ワの、自分の中の深いところからの「女」を出し切った演技と、そんな彼女を愛しく思い、共感しつつ歩むマラーホフ・・・というパートナーシップが、響き合う演技。
モーツァルトの音楽の表層的でない部分をこのクライマックスに持ってきたプレルジョカ―ジュはすごい、と改めて。
2人の関係性、ダンサーの持っている資質が如実に現れるシーンで、この2人の互いへの揺るぎない信頼を改めて感じる作品でした。


◆「コール・ペルドゥート」  
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:マリア・デル・マール・ボネット
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ

衣装のプリントはペーズリーでなく、ベージュと煉瓦色の細かいムラ染めのような感じでした^^;
この重厚な第4部にあって、この作品選びはどうだったのか?と検証。
これぞ、ザハロワ、これぞボリショイ、という演目ではありませんでしたが、息をも付かせず、恵まれた美しいラインの脚を大きく蹴り上げ長い手脚を素早く回転させ、流れる水のようにとどまり淀むことのない、素晴らしくスピーディでキレのあるザハロワと、それとがっぷり組んで動ずることのないメルクリエフの安定したパートナーシップが生みだした奇跡のような時間ではありました。
それを敢えて、人間臭い音楽で緩和するあたりがドゥアトの味かと。
第2部や第3部ではこの演目もあり、かもしれませんが、ここでは、所謂大作系で真っ向勝負してくださってもよかったかも?です。

◆「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ウリヤーナ・ロパートキナ マルセロ・ゴメス

観ていて震えがきますね。
ロパートキナの、クラシック・バレエを、形からではなく、高い精神性の発露として磨き抜いた作品が、彼女のバレエなのだとしたら、この抽象的な「ダイヤモンド」という作品は、まさに、彼女のバレエに対する姿勢と、音楽を踊りで表現するためにそぎ落としながらバランシンが作り上げたものとの運命的な融合ではないのか・・などとつらつら考えてしまいました。
ゴメスはこのロパートキナ神殿に仕える神官のように、彼女を仰ぎ見て、全身全霊で稀少な壊れやすい細工物を扱うようにデリケートなタッチで支えていました。
Aプロで自由自在なパフォーマンスで観客を大喜びさせたゴメスとは別人のようですが、彼の異なる2面を楽しみ、また、全幕プロのバヤデ―ルではその豊かな両面をともに味わうことができて、ファンとしては今回のフェスは大満足です^^
あ、もともと好きなダンサーでしたが、今回ファンになりました^^(宣言)

◆「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト マニュエル・ルグリ

手紙を読んで、心の動揺を隠せないタチアナ、何度かシルエットで走り出て行きつ戻りつ・・・そして、舞台中央、タチアナの前に姿を現すオネーギン=ルグリ。
観客の心をグッとつかんで引きこむ吸引力と場を作り出す力技がベテランの2人ならでは。
あとは怒涛の感情の爆発とぶつかりあい・・・愛情の相克。
嫌が応にもそのウィットネスとして、固唾をのんで見守るしか・・・。

ガラ演目の(この2人にとっては)定番ではありますが、これはやはり、全幕を通して何度も演じたことのあるダンサーだけが作り上げることのできる、凝縮された場面なのだなぁと。
比べるのも気の毒ですが、Aプロのフォーゲルくんが、これから、この域に達するまでの道程の長さをふと思ってしまいました。いや、フォーゲルくんは今やダンサーとしての全盛期に差し掛かっているので、未熟であるということは全くないのですが・・・。
それでも、まだ先に取っておいた方が良い、と思える、こんな作品があること自体がダンサーにとっても、観客にとっても幸せなことなのかもしれない・・と思いました。



◆「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン

晴れやかで華やか、やっぱり〆のドンキはいいですね!



指揮:ワレリー・オブジャニコフ  
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 
 
ピアノ:髙橋 望 (「椿姫」「アザー・ダンス」「ル・パルク」)



第13回世界バレエフェスティバル Bプロ ②

2012-08-13 04:28:19 | BALLET
第13回世界バレエフェスティバル  <プログラムB> 
8月12日(日)15:00開演  会場:東京文化会館

Bプロに関しましては、14日の火曜日にも観る予定ですが、まずは初見の感想から個々に・・・


[第1部] 15:00~15:55

■「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル

この演目はバレフェスでは歴代錚々たるメンバーが踊っていますね。
2000年にはコホウトコヴァとボッレ、オーレリ・デュポンとルグリ、
2003年にはヴィシニョ―ワとマラーホフ、コジョカルとコレ―ラ、
2006年にはコジョカルとコボー、オリヴェイラとコンヴァリ―ナ、
2009年にはコチェトコワとシムキン、ヌニェスとソアレス

男性がブルー、女性がサーモンピンクの薄物の衣装で踊る、フレッシュな印象を与える演目。
なので、最初に踊られることが多いのですが、ルグリ先生の完成されたパフォーマンスが客席が温まっていない段階で演じられるのがとても勿体ない感じがしたのを覚えています。

さて、この2人、良かったです!特にフォーゲルくんは、Aプロでオネーギンには「挑戦」という感じがありましたが、これはまさに柄に合っていて、テクニックも伸びやかでステキ。
ポーリーナは薄物衣装の時にはちょっと気をつけた方がいい・・と余計なことを思ってしまいました(以前、踊り目当てではないヘンな男性ファンが付いて心配したことがアリ^^;)。あと、手足を細やかにスピーディに振りさばく振りのところは四肢の長さが邪魔して、もたついて見えたのがちょっと残念。
フォーゲルくんのサポートはもう少し丁寧にしてほしい・・などと、過去の名演が多いだけに注文が多いですが、爽やかな若い2人の魅力が全開で、とても気持ちの良いピースでした。

■「パルジファル」  
振付:モーリス・ベジャール/音楽:リヒャルト・ワーグナー
カテリーナ・シャルキナ オスカー・シャコン

ベジャールワールドは、大好きですが、フェスではちょっと浮きますね^^;
肌色のショートパンツのシャコンと黒のビスチェに透けるレギンスのシャルキナが重厚なワーグナーの音楽を背景に絡み合い、その影が背後に大きく映し出される場面。
2人の踊りの完成度そのものは高く、健闘していましたが、この作品の一部だけを切り取ってGALA演目にする…ということ自体がすでに難しいのだと思いました。

■「タイス」(「マ・パヴロワ」より)
振付:ローラン・プティ/音楽:ジュール・マスネ
上野水香 マシュー・ゴールディング

上野さんの脚の表情を活かすことのできるセミクラシック的な演目。
安心して、気持ち良く観られました。
オケも良かった!

■「エフィ」
振付:マルコ・ゲッケ/音楽:ジョニー・キャッシュ
マライン・ラドメーカー

Aプロの「モペイ」の振付家ですね。
出が痙攣したような動きで後ろ向きに平行移動でセンターに来る・・・という規視感がありすぎるもので、しかも、上半身をさらして黒パンツで下半身を覆う衣装も同じで。
「モペイ」はフリーデマンのオフビート感覚がなぜか妙に合っていて、それが作品を魅力的にみせているのですが、素直なラドメイカ―の芸風ですと、やや2番煎じに見えてしまって、ちょっと気の毒でした。
途中叫んだり、口笛を吹いたり、実験的な試みのある作品。
ジョニー・キャッシュの音楽にインスパイアされたことは良く分かります。
長く感じてしまいました^^;(実際長かった!)

■ 「ライモンダ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー

「ライモンダ」のエキゾチシズムを敢えて排除した、正統派フォーマルのカップル・・・のような衣装。
ロイヤルブルーのチュチュがお似合いのタマラは良いのですが、蝶ネクタイのタキシードのような上半身に足先までのピッタリタイツで、更に下半身が細く、小柄なので、バランス的に頭が大きく見えて損では?と微妙なスティーブン。ポロネーズ的な振りがあるのに、不自然ですし、やっぱり「ライモンダ」は金と白、ゴージャスでエキゾチックな演目として扱ってほしいです。
という個人的な好みは別として、テクニカルな面では全くブレがなく、安定した2人が繰り出すフェッテやピルエットは圧巻。
マックレーのマネージュがオリジナルで、グランジュテのあと空中で脚を交差させて後ろ脚を後方に跳ねあげるというセットで回り切ったのは凄い。最後のピルエットをWでトゥール・ザンレ―ル、の斜め切り込み回転の高速っぷりに息を呑みました。彼のテクニックはこれ見よがしでなく端正な表情で正確に繰り出されるのが素晴らしい。
お衣装が似合わないことなどどこかに行ってしまいました(笑)
タマラの安定は、本当に揺るぎないですね。
聞いたところによると、彼女は午後の公演でも朝一番に楽屋入りして、丁寧に準備をされるのだとか。
努力のたまものなのですね。
今やフェッテと言えば・・・の存在ですが、さすがの彼女のラストのフェッテ、1-1-4を繰り返し、1-1-3に切り替えて終了。(多分)もう、数えられないくらいの高速回転でした!
こういうゴージャスでテクニックに酔える演目を待っていた!とばかりに客席が突如盛り上がる第一部の〆でした^^


<休憩15分>


[第2部] 16:10~17:05

■「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

やっぱり、ロミジュリはマクミランの振付でインプットされているので、素直に感情移入して感動に至る名場面だな、と。
期待通りの2人の演技を堪能しました。
アリーナの表情が絶品。憧れ、ロミオを認めたときの嬉しくて胸が張り裂けそうな泣きそうな感動、駆け寄り、恥じらい、歓喜し・・・の流れと華奢で愛らしい容姿と軽やかでしなやかな踊りがとても役に合っていました。
コボーのりりしく、誠実なロミオも、ジュリエットに対して真剣な愛が感じられて・・・相思相愛カップルなロミジュリで良かったです。観ている間に涙が一筋頬をつたいました・・・

■「ウィズアウト・ワーズ」
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:フランツ・シューベルト
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ

2人とも肌色レオタードで、「春の祭典」のよう。
シューベルトの「野薔薇」から始まるシューベルトメドレーの趣の可愛らしく美しい音楽に合わせて、二つの生命体が睦まじく寄り添い絡み合う・・・「春の祭典」と同じ、春の息吹を感じさせつつも、その荒々しさを抜いた感じ?
ナチョ・ドゥアトの振付でのコンテ。サラファーノフの、マリインスキーからドゥアト率いるミハイロフスキーバレエに移籍して、今は、こういうことをやっています・・・的な近況報告のような演目、でしょうか^^;
それにしても、クラシックダンサーの踊るコンテは、手の振り上げ方ひとつとっても美しくて、やはり良いですね。
サラファーノフなら、派手な衣装の見せ場の多い演目で盛りたてることもできるのに、ちょっとフェス演目としては勿体ない気がしないでもありませんでしたが・・・。
作品としては、とても良質なものでした。

■「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
アニエス・ルテステュ ステファン・ビュリョン

オペラ座ダンサーってこのノイマイヤー版の「椿姫」をフェスで踊るのが大好きですよね・・・。
で、一度も感心したことがないという・・・。
唯一、この演目のこの第3幕のPDDが素晴らしい!!と思ったのは2006年のバレフェスで、クランコお膝元のハンブルクバレエの2人、ジョエル・ブーローニュとアレクサンドル・リアブコの名演。
スカートで男性の顔が見えなくなることもない高々と掲げられたリフト、自らが十字架になったような、天を仰いで片膝を曲げて両腕を繰り返し振りおろす振りのメッセージ性、理性と情熱の相克・・・など、全てのパに意味がある、濃密な演目であることを熟知した2人による深い演技は今でも脳裏に刻まれています。

・・・で、今回ですが。美しく華やかなりし日々を送っていた、でも病を得てややその美貌に衰えが見える、という設定のマルグリットは今のアニエスにとって、まさに、演じたい役どころなのだろうな・・・というのはよくわかります。
黒のドレスで現れたとき、あぁ、アニエスの椿姫か・・・ゴージャスだわ、と思いましたが、しっかりとした体型の彼女は別段ガッチリしているわけではないのに、マルグリットの病にむしばまれた感がないのですよね・・・。
そして、大健闘のビュリョン。繊細な顔立ちととても美しいパウダリーな白肌を持つ彼は意外なほど力持ち(笑)で、大型バレリーナをしっかりとサポートし続けてのハードスケジュールにも耐え、いつぞや、故障者が続出したシーズンをカール・パケットくんとともに乗り切った影の功労者だった・・ということもあったっけ、などと、眼の前のことに集中できないわたくし^^;
で、今回ですが。激しい情熱を露わにすることもない、ある意味マルグリットにリードされている朴訥なアルマンっぷりが珍しく、(アルマンの情熱にマルグリットがほだされる・・方が多いので)、でも、本当のアルマンって純朴な青年が悪い女にだまされたのではないかと周囲を心配させるくらいだから、これは正解な解釈なのかも?と。
名演!とまではいきませんが、オペラ座基準では健闘。そういえば今度のオペラ座来日公演で、これが全幕になるんですよね。更に磨きをかけて持ってきていただきたいです(←上から目線^^;)

■「ラ・シルフィード」第2幕より
振付:ピエール・ラコット/音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ
東京バレエ団

破格の扱い。東バダンサーによる24人のシルフィードたちが舞台を彩ります。
背景もしっかりとしたセットで。
オブラスツォーワは、可憐で丸顔が愛らしく、いたずらっ子的な表情も魅力的。
丸みを帯びてウエストの細いシルエットで、ロマンティックチュチュがとても似合います。
緑の葉の目立つ白バラのヘッドドレスや真珠の首飾りやクジャク羽の入った妖精羽など、現代の衣装のトレンドからすると、ちょっと野暮ったいシルフィードですが、それがまた彼女の素朴な愛らしさとマッチしていて悪くなかった。
「バレリーナ」という言葉で思い浮かぶイメージを持つ、古典的な良さのあるダンサーですね。
対するシルフィードチーム、何気に吉川さんや乾さんらソリストクラスが勢ぞろいの東バシルフは美人揃いで優雅で・・。3人のリーディングシルフは、田中さん、高木さん、奈良さんの安定の東バ若手3人娘 でした。

マチューのジェームスは、まずあの赤いチェックに白い襟の衣装が本当に似合いますね!
これは、村娘の憧れの君でさぞやモテてモテて困っていたことであろうかと^^;
踊りも大きく、軽やかで、技巧を感じさせないところがマチューらしいです(え?)。
バレフェス的な盛り上がりや驚きには欠けますが、これを全幕でゆったりと見られたら心地よいだろうな・・と思いました。

<休憩15分>


[第3部] 17:20~18:20

■「マーラー交響曲第5番」より"アダージェット" 
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:グスタフ・マーラー
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン

マーラーとワーグナーは東フィルは演奏しないのでしょうか。
生オケではありませんでしたが、雰囲気のある2人。
公開レッスンの時にも思いましたがブシェの脚が素晴らしい。
とても長くて、膝下がとりわけ長く、膝からクッと入ってから伸びる感じがバレリーナそのもの。足の甲も高く、全体のバランスが申し分ありません。作り上げた部分もあるでしょうが、こんな脚を持っていたら、もう、バレエダンサーになるしかないですね!スター軍団フェスメンバーの中では地味な存在ですが、まぎれもない逸材です。

■「シェエラザード」 
振付:ミハイル・フォーキン/音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ
ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー

ちょ、ちょっとポーリーナちゃん!!?
いや~驚きました。華やかなゾベイダです。本当に。
ゴージャスな長い手足にほっそりとしたウエストラインを惜しげもなく見せたターコイズのハーレムパンツとビジューブラトップ。ヘアスタイルが絶品で、カールヘアを後方に盛って額を出してセンターにビジューぎっしりのヘアバンドで押さえた感じなのですが、彼女には珍しくアイラインきっちりのメイクも合わせて本当に美しく・・・
ヘアメイクさんが付いていたとしたら、その人を表彰したいくらい(笑)
その身体をくねらせる様も彼女特有の清潔感が妖艶さに加わって、うっとりさせられました。
そして金の奴隷のゼレンスキーはブロンズと金で、同じくハーレムパンツに上半身を覆わんばかりのゴージャスビジューで、王様??な風格ある奴隷。
でも、そんな堂々とした男がゾベイダに溺れてメロメロに尽くす・・・という、まさにアラビアンナイト、一夜の夢の世界にどっぷりつかって、これがガラの一演目で、この場面は全幕の抜粋なのですよ、ということがどこかに吹き飛んでしまいました。
いやいや、堪能致しました!
ゼレ氏も新境地ですね。こんな面を見せられるなんて聞いてませんでしたよ(って誰に向かって・・・^^;)

■「アザー・ダンス」
振付:ジェローム・ロビンズ/音楽:フレデリック・ショパン
オレリー・デュポン ジョシュア・オファルト

オレリーはこの作品を本当にショパンの音楽のメロディになったように踊りますね。
ストライプの地模様の紫がかったグレーのハイウエストのミディ丈のドレスに同じ素材のリボンで髪をまとめた姿のオレリーは艶やかでありながらしっとりとした詩的な雰囲気を漂わせていてステキ。
注目のオファルトは、時折、ルグリの後継者か!と思わせてくれる端正な踊りを見せてくれますが、最後のわざと崩した踊りで軽快に〆る・・という部分は、あれ、これってわざと?だよね??という釈然としない感を残すなど、舞台での表現力はまだ、これから磨く余地がありそうな・・・。
今回、音楽の方のソリストがレベルUPしたと喜んでいたら、ピアノの高橋望氏の指が途中動かなくなり、(というか、もつれた?音が乱れて濁りました。)オレリーの軽やかな踊りに心地よく入り込んでいたのに引きずり出された気分です。今日だけなら良いのですがxxx

■「海賊」
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ

来た!オシワシコンビ。究極の体育会系ペアが踊ります。衣装はオシポワはグレイッシュな渋い紫のグラデ、ワシ―リエフはターコイズのハーレムパンツで装飾は少なめ・・・。色の調和もゴージャスさも今一つですが、良いのです、この2人の価値はVISUALに非ず(って実はオシポワって相当な美形だと思います^^)
で、ワシ―リエフ、渾身の演技でした。
もう、ジャンプはどこまでも高く、音楽をはずさずに、どこまでテクニックを入れこめるか。。。という実験場のようなダイナミズムに溢れたアリ。オシポワが澄ました顔で、超絶技巧を入れてくるのがクールダウンになっているという。
恐ろしいペアだわ・・・。
ただ、この手の凄さは観る方がだんだんと慣れて麻痺してくるワルイクスリのようなところがあり・・・。
凄いけれど、彼らなら当然?、という眼で観てしまい、終演直後のワシ―リエフの荒い息遣いとなかなか収まらない肩の上下運動を観ていると、相当大変だったんだなぁと改めて。



<休憩15分>
さて、これからが本番(って・・・^^;)
超重量級の感動に耐えうる鋭敏な感覚とコンディションを持って、客席につかなくては・・・。


[第4部] 18:35~19:30

■「ル・パルク」
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ/音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
ディアナ・ヴィシニョーワ  ウラジーミル・マラーホフ

「解放」のPDD.
白いゆったりとした開いた襟元を小さなフリルで飾ったかぶりのシャツを寝巻にしたような衣装の2人。
ヴィシニョ―ワは、長い黒髪を降ろして、それ自体も衣装のよう。
マラーホフは、そのシャツの下にベージュの膝丈レギンス、貴族の恋愛ゲームの最終章なので、髪をカールさせて、うなじの始まるところにリボンをつけて、ロココ貴族風アレンジに。
それにしても、こんなに身体の線が出ない衣装なのにあんなに午前中サウナスーツを仕込んで絞っていたんだ・・・と思うとマラーホフのいじらしさ?にグッときます。

この作品自体は大好きで・・・。ローラン・イレール&イザベル・ゲランのフレンチな味わいがしっかりとインプットされているのですがそれと比べてどうというのも楽しめなくなるので、今回は同じ演目ながらも、全くの別物として味わいました。

ヴィシニョ―ワは、彼女の持ち味である、素の強い女性という生命体の持つ粘りや力や底しれない魅力などをじわじわと出して、磨き抜かれたダンサーとしての肉体と見事に合致させた名演だったと思います。
対するマラーホフは、そんな彼女をいつものようにガッチリと受け止めて・・・でも、スポイルされることなく、彼自身もこの濃密な時間を生きている感じがありました。
次回・・・多分、この二人での出演はないのかも、と思うと、最後の演目で、こういう演技が観られて良かったです。


■「コール・ペルドゥート」  
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:マリア・デル・マール・ボネット
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ

これもドゥアト。今回、ロシアン・ダンサーに人気ですね^^
音楽が、なんだかとても、トルコを旅行した時にあちこちで耳にしたトルコ演歌風だなぁと思ってプログラムで確認したら、カタロニア語で歌われたトルコ民謡にインスパイアされたもので、演奏はチュニジア伝統音楽のミュージシャンということで納得。
赤系のぺ―ズリー柄?のサテン素材の衣装は、カシュクールスタイルの長袖ロングドレス。
で、あるにもかかわらず、ザハロワの脚の運び、一つ一つの動作の精密な作り込みがはっきりと際立つ精妙な踊りのラインは明らかで。メルクリエフがそんなザハロワにぴったりと寄り添い、同じ精度でシンクロしていました。
今のザハロワの気分・・・なのかもしれませんが、、A・Bプロとも玄人好みの地味といってよいコンテでまとめてきましたが、どちらかは姫な彼女を見せてくれても良かったのでは?と思います。
でも、そこで妥協(?)しないのも、ザハロワらしいといえばらしいような気もしますが^^;


■「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ウリヤーナ・ロパートキナ マルセロ・ゴメス

ま、まばゆい・・・。
ロパートキナ様、再び降臨!
今度は、黒い極上のベルベットのようなラテン男の廷臣を従えて・・・ってそういう風に見えるんですよ~。
ゴメスの押し出しなら、どういうペアになるかと固唾を呑んで待っておりましたが、やはり女王とお仕えする騎士でした^^;
衣装はパリオペ組とあまり変わらず、ベージュのフィットするキャミにビジューが散りばめられたTOPに白いクラシックチュチュ、ビジューのヘッドドレス。男性は丸首の白い長袖のビジューたっぷりの上着に白タイツ。

パリオペ組は、くぐもった青空に小さな雲、が・・・で、2人でオーボエの感傷的な旋律に寄り添うようなノスタルジックでシックなダイヤモンドでしたが、
マリインスキーの女王はその高貴さと目映さで、深いブルーに煌めく星空の下、金剛石とはどの石よりも強く美しく輝く宝石であるとの定義を思い起こさせる存在感。

カーテンコールで、ゴメスがロパートキナの手にキスをするのも、「まぁ・・・」と驚きつつも、その無礼を優しく許す女王、という風情で、間違ってもラブラブカップルなどではありませんでした^^;

マリインスキーの来日公演も秋に控え、ロパートキナのインタビューが色々と紹介されているのを見るにつけ、
本当にバレエを芸術として極めている孤高の存在として1人輝きを放っているバレリーナなのだとの認識を新たに致しました。
まさに、バレエ界のダイヤモンドですね。

ちょっと貼っておきます。

http://ja-ballet.seesaa.net/article/285785165.html



■「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト マニュエル・ルグリ

何回も何回も観ているのに、観飽きることのない、最終幕、「手紙のPDD」
初恋の人都会から来たニヒルな青年に恋文を出して胸ときめかせた田舎の文学少女が、こっぴどく振られ、それから十数年・・・。
今や公爵夫人として艶やかな美貌と理知の輝きを放つタチアナ。あの少女が・・・!逃がした魚は・・とオネーギンが今度は恋文を送ります。
甘く苦い思い出。どんなに苦しんだか・・・。恋しい男の嘆願に心動かされながらも、理性をふるい起して、彼に手紙をを破って手に握らせる、という同じ仕打ちを。
走り去る彼、青春の光と影との決別に天を仰ぐタチアナ。

・・・という場面を、超絶技巧のリフトと、技巧を感じさせない感情の表出を求める、ダンサーにとっては、自分の全てを出さなくてはならない難役。
・・なだけに、それが2人して役に没頭しつつも華麗な技巧も披露してくれれば客席は感動の渦に巻き込まれるわけで。

ルグリがオペラ座の長く輝かしいキャリアの最後に臨んで、自ら望んで踊り、そして、踊り続けている演目。
程よく重ねた年齢が、役柄の過ぎた年月と重なり、今でも衰えを見せない踊りの質を保つ彼ならではのオネーギン。
そして、タチアナ役に定評のある、アイシュバルトの、細やかな修正や解釈の積み重ねとその見直しを怠らないことが一目でわかる緻密で濃密な演技が本当に素晴らしく、改めて、ダンサーの旬とはいつをさすのか・・・と考えてしまいました。


■「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン

と、重量級の感動が続いた後に、小さな可愛いペアが、豪奢な黒レースと金色のシャンデリアが下がる舞台の中央にラインストーンと金糸の装飾も程よい真っ赤な衣装が金髪に映えるサレンコと、刺繍の入った華やかな黒いベルベットのトレアドールジャケットにのぞかせた大きな白いイタリアンカラ―がフレッシュなシムキンくん。

小さくても、舞台経験は充分な見せ場を心得たペアの大トリは
540(ファイフブ・フォーティ・・・腰を起点に両脚を振り上げて回す大技)で構成されたマネージュ、
当たり前のようにこなす、高い位置での片手リフト、サポートなしでのアティテュードのバランスなど、技巧派ペアならでは。

ジャンプも只のジャンプはなかったのではないかしら、と思うほど、ひとつひとつ凝ったアレンジが^^;

最後のフェッテも、サレンコは 3回転を交えつつのダブルで、最後までシングルはなかったような・・・。凄い。
そしてシムキンくんは、ピルエットから床に降りることなく連続しての驚愕の9回転?ただただ回り続けていました・・・ように見えました!
どよめき。

決めてのドヤ顔も、ベイビーフェイスの彼だと愛嬌があって憎めませんね^^

FINALE

最後のフィナーレで、観た目ゴージャスな方々が次々に出てくると小柄なシムキンくんたちペアの感動はすぐに薄れ・・・るような気がするのがこのバレフェスの豪華さを逆に痛感させられる瞬間ですね・

できる限り観に行きたいと、今回のBプロは2回押さえたので、あともう一度ありますが、もう、それが最終回とは・・・。
あとはGALAも観ますが、終幕に近づいていると思うと寂しいデス。

それにしても、LONDON OLYMPICが終ったのに、まだまだ夏が終った気がしない・・・。
バレフェスYEARはやっぱりバレフェスの夏、ですね




第13回世界バレエフェスティバル Bプロ ①

2012-08-12 23:00:28 | BALLET
本日、
世界バレエフェスティバル Bプロに行って参りました。

パリオペ若手男子が参加して、オブラスツォーワはマチューの相手役として参加。

プログラム構成的に、後になるほど盛り上がる仕組み(?)に?

会場の熱狂度は
1) ダイヤモンド(これとオネーギンだけカーテンコールが2回)
2) オネーギン
3) ライモンダ
3) ドンキホ―テ

という感じでしょうか?

とはいえ、大物ダンサーにはそれなりに配慮のあるリスペクトもこめた拍手があり、
安心しました^^;

今回は幕が閉まる前に、舞台中央で観客の拍手をしばらく受けてから、幕が降り、幕の間から出てのカーテンコールは基本一度、というペースのようです。





第13回世界バレエフェスティバル  <プログラムB> 
8月12日(日)15:00開演  会場:東京文化会館


■第1部■ 15:00~15:55

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル

「パルジファル」  
振付:モーリス・ベジャール/音楽:リヒャルト・ワーグナー
カテリーナ・シャルキナ オスカー・シャコン

「タイス」(「マ・パヴロワ」より)
振付:ローラン・プティ/音楽:ジュール・マスネ
上野水香 マシュー・ゴールディング

「エフィ」
振付:マルコ・ゲッケ/音楽:ジョニー・キャッシュ
マライン・ラドメーカー

「ライモンダ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー

<休憩15分>


■第2部■ 16:10~17:05

「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

「ウィズアウト・ワーズ」
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:フランツ・シューベルト
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ

「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
アニエス・ルテステュ ステファン・ビュリョン

「ラ・シルフィード」第2幕より
振付:ピエール・ラコット/音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ
東京バレエ団


<休憩15分>


■第3部■ 17:20~18:20

「マーラー交響曲第5番」より"アダージェット" 
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:グスタフ・マーラー
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン

「シェエラザード」 
振付:ミハイル・フォーキン/音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ
ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー

「アザー・ダンス」
振付:ジェローム・ロビンズ/音楽:フレデリック・ショパン
オレリー・デュポン ジョシュア・オファルト

「海賊」
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ


<休憩15分>


■第4部■ 18:35~19:30

「ル・パルク」
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ/音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
ディアナ・ヴィシニョーワ  ウラジーミル・マラーホフ

「コール・ペルドゥート」  
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:マリア・デル・マール・ボネット
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ

「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ウリヤーナ・ロパートキナ マルセロ・ゴメス

「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト マニュエル・ルグリ

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン


指揮:ワレリー・オブジャニコフ  
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 
 
ピアノ:髙橋 望 (「椿姫」「アザー・ダンス」「ル・パルク」)


世界バレエフェスティバル クラスレッスン見学会

2012-08-12 13:20:30 | BALLET
2012年8月12日(日)
11:00~
一時間ほど、東京文化会館のステージで、22人のバレフェス参加ダンサーによる
公開クラスレッスンの見学に行って参りました。

NBS
「バレエの祭典」会員向けのサービスプログラムですが、
毎回とても楽しみにしています。

どんなお稽古着なのかしら、とか、勿論、これだけのレベルの国もバレエ団も超えたハイレベルのダンサーが
一同に会してレッスンを受けているの図・・・というだけでタメ息ものですが^^

ダンサー同士で言葉を交わしているのをみるだけでも、何を言っているのかしら~?と興味駸々。

さて、今日は、「ラ・バヤデ―ル」の指導のために来日されているオルガ・エヴレイノフ先生のリードのもと、
前半バーレッスン、後半フロアレッスンを観て参りました。

バーレッスン・・・
舞台に対して垂直に4本のバーが設置され、すでにダンサーたちが位置についています。

下手から①~④として、下手側、上手側、それぞれのサイドにいるダンサーの印象から・・・
(覚えているうちに!)


①の下手側
実力派ダンサーがぎっしり!
手前からアイシュバルト、オシポワ→ロホ、ヴィシニョ―ワ
一番奥は不明。
・アイシュバルト様
 身体を冷やさないように、厚着。
 ダウン入りのショートブーツ状のものを最初は履いていましたが、途中で脱いで。
(このショートブーツ、他のダンサーも結構愛用?足首を保護する意味もあり?)
大きめなスポーツ系のウインドブレーカーのようなパーカーを着こんでいらっしゃいました。
下はレギンス&スカートだったかな?
結構マイペースで自分の身体と対話しながら・・・という感じのUP。
・ オシポワ→ロホ
最初は不明ですが、途中からは黒長袖レオタード?の上に紺の短いコンビネゾン状のトレーニングウェアも。
可動域が広い彼女、同じ脚上げでも、1人180度以上あげて更にストレッチしたり、皆がペースを落とす後半でもガンガンセンターゾーンで踊っていてタフな方だと再認識。
・ヴィシニョ―ワ
センターパーツの黒髪を後ろで一つに縛り、ボートネックドルマン7分袖のピンクT、黒のレギンスで正統派バレリーナのストレッチ。動きも終始優雅なヴィシでした。

①のトイ面、上手側
手前マラーホフ、後ろスティーブンの2人。
・マラーホフ
お洒落で、自分ブランドのチャコットのレッスンウェアの監修もしている彼らしく、まずはブラウン系のアニマル柄のハイネックシャツ。その間にウエスト部分だけサウナウェアを仕込んで、その上にVネック長袖のTOPSの白地に深緑と焦げ茶の横ストライプの上下スウェット?を。
他のダンサーがどんどん薄着になっていく中で、彼は最後までこのスタイル。
そうですよね~。最後まであきらめずに美意識を高めてこそのマラーホフ!日本語で挨拶したり、バーを持ちあげたり、間の小休憩で、デカビタC?を片手に、ピアニストの方の椅子に半分腰かけたり、いちいちチャーミングな彼。
次回のバレフェスにはきっともう出演はないだろうな・・・と思うととても寂しいデス;;
・スティーブン
彼は、ヘンリーネックの長袖Tとパンツの黒のすっきりした上下でお着替えなし。
手を抜くことなく常に美しく指定された振りを踊ってました。振り覚えも速そうで、フロアレッスンで、オルガ先生の説明後の第一集団によく入っていました^^
いつものキリッとあげた赤みの金髪が、最後、前髪が落ちてダウンスタイルになっていたのが可愛かったです。

②の下手側男子2人がわからず・・・。

②の上手側、ここもちょっと見どころ!
手前から、ゴメス、アニエス、オレリー、ステファン。
この辺オペラ座ゾーンです^^

・ゴメス
バーレッスンの時はチャコールのスウェット?にライトグレーのジップアップを襟元まであげて。
途中ハラハラと黒髪が額にかかるのがSEXYでしたが、本人にとっては邪魔だったみたいで、フロアレッスンの前に手ぬぐい?のようなバンダナで覆って額を出し、上も、短い袖の白Tシャツにチェンジ。
彼も積極的に第一グループに参加、割とセンターを取ってました。

・アニエス
金髪をラフな夜会巻き風UPに。黒の半袖Tに長いパンツと上下黒でバレエシューズですが、首元にターコイズ?かしら一粒石のチョ―カーをつけていたのがアニエスらしい。

・オーレリー
髪を茶色の幅広のヘアバンド?であげて、黒の上下。
後半は、トウシューズをつけての参加。前が長身男女なので、彼女の様子はあまりわからなかったです。

・ステファン
もとより控え目な彼、お顔で識別は出来ましたが、前の3人が華やか過ぎて観てあげられなくてごめんなさい^^;

③の下手側
奥がフォーゲル君、前がマチュー・・・うーん、この並びを観ているだけで1時間が過ぎてしまいそう・・・

・マチュー
なんだかもう、登場からやたらニコニコしていて、この子は変わらないわ・・・と。
初来日の「ルグリ・ガラ」で男の子総踊りのときには目立っていたけど、エトワールに抜擢された直後で踊った眠りの王子はまだ経験が浅かったせいか着地が安定しなかったりで期待外れ。
でも、ゆうぽうとから駅に向かう道すがら、やたらと「マチュー」「マチュー」と声をかけられるとそれぞれの声に向かって無防備にニコニコ微笑みかけて・・・その悪びれない素直な男の子がそのまま舞台の上にいました。
悪い人に連れて行かれないようにね・・・と思ったことまで思い出しました^^;
最初フードつきパーカーを着ていて、フードが顔にかかったりしてましたが、途中から脱いだらクマのぬいぐるみが自分の首をはずして持ち上げているブラックなカワイイ黒Tシャツに。

・フォーゲルくん
本当にきれいな筋肉にシルエット!
紫のハチマキ?を額に仕込んで、黒っぽいTシャツとチャコールのパンツ。
マチューとの並びは本当に華がありましたが、フォーゲルくんの方がマジメに踊っていました。(笑)

③の上手側、
手前サレンコ、上手水香ちゃん。

④の下手側
奥がボアディン?手前が?

④の上手側
手前からブシェ、ラドメイカ―、ポーリーナちゃん。

ポーリーナちゃんは、最初はローズ色のキャミチラ見せのパーカーにスカートにレギンス・・・でしたが、
フロアレッスンで、上をTOKYO BALLETのオリジナル黒半そでTシャツ(ややオーバーサイズ)に変えてきました。
イイ人だ・・・。

フロアレッスンの最後、ドンキのキトリのコーダを
オシポワ→ロホが!
センターで回る回る、それもシングルシングルトリプル、シングル、シングル、6回転。。。?
もう、わかりません(笑)
その後、ゴメスがすかさず同じパートを永遠に回り続けるフェッテで対抗(?)

マラーホフがその後、アティテュードで後ろに片脚ケンケン状態でディアゴナルに下がっていく
ジゼルの振りで続くか・・・と見せかけて笑いをとってしめてくれましたv

あぁ、もう行かなくては!Bプロです!


世界バレエフェスティバル 全幕特別プロ 「ラ・バヤデ―ル」

2012-08-08 06:49:48 | BALLET
ヴィシニョ―ワ、ゴメスの日に行って参りました。

・・・素晴らしいの一言。
もしかすると、生涯でのMy Best「バヤデ―ル」を観たのかもしれない・・・とすら思いました。

少なくとも、ヴィシニョ―ワの舞台として、今回のニキヤはBESTなものと感じられました。

2幕の「影の王国」、有名な24人のコールド・バレエによるニキヤの幻影、東京バレエ団の実力が発揮され、水を打ったように静まる会場を幽玄のバレエ・ブランの世界が広がりました。


第13回世界バレエフェスティバル 全幕特別プロ 
「ラ・バヤデール」

2012年8月7日(火)18:30~ 東京文化会館にて


振付・演出:ナタリア・マカロワ(マリウス・プティパ版による)
振付指導:オルガ・エヴレイノフ
装置:ピエール・ルイジ・サマリターニ
衣裳:ヨランダ・ソナベント


◆主な配役◆

ニキヤ(神殿の舞姫):ディアナ・ヴィシニョーワ
ソロル(戦士):マルセロ・ゴメス
ガムザッティ(ラジャの娘): 奈良春夏
ハイ・ブラーミン(大僧正): 後藤晴雄
ラジャ(国王):木村和夫
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):高橋竜太
アヤ(ガムザッティの召使):崔美実
ソロルの友人:柄本弾
ブロンズ像:ダニール・シムキン


【第1幕】

侍女たちの踊り(ジャンベの踊り):矢島まい、川島麻実子
パ・ダクシオン:
高村順子、佐伯知香、岸本夏未、阪井麻美
西村真由美、乾友子、高木綾、渡辺理恵
森川茉央、松野乃知


【第2幕】

影の王国(ヴァリエーション1):田中結子
影の王国(ヴァリエーション2):佐伯知香
影の王国(ヴァリエーション3):高木綾


指揮: ワレリー・オブジャニコフ
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団

◆上演時間◆

【第1幕】 18:30 ― 19:35
休憩 20分
【第2幕】 19:55 ― 20:35
休憩 20分
【第3幕】 20:55 ― 21:15