新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

U-24代表候補対ジャマイカ代表のサッカーを見て

2021-06-13 11:15:09 | コラム
火事場の何とか力と言われるが:

この一戦はさしたる関心もなく見ていた。ところが、この試合は間もなく始まってしまうオリンピックの代表テイームの15名(オーバーエージだとかの3名を引くからだそうで)を決める資料(材料?)となる最後に試合だったそうだ。なるほど、先日のフル代表との練習試合で見せたような何かに遠慮でもしたような生温い試合振りではなく、直向きにサッカーをやっている姿勢を見せていたのだった。「やれば出来るじゃないか」や「火事場の何とか」ではなく、何故あの場以外でもで全力で行かなかったのかと、寧ろ情けないことだと感じさせられた。追い込まれないと真剣になれないとは・・・。

ジャマイカはFIFAのランクでは我が国よりも遙かに下位にあるようだから、U-24代表でも圧倒的に勝っても不思議はないと思う。第一に先日のセルビア代表のようにAとBテイームの混成軍ではないのかと疑った程、何らの内容もないサッカーをやっていた。私には協会の選択がおかしいのか、森保一監督があのような格下の対戦相手を求めたのか知らないが、あれではどれほど参考になったか解らないのではないかなと考えながら見ていた。アナウンサーも解説者も「金メダルを取る」と騒いでいたが、南アメリカやヨーロッパにはもっと手強い國がいるのではないのか。

一寸見ていた限りでは、U-24の代表候補たちがあれだけ出来るのだったら、あのままA代表に格上げしたらどうだろうかと思ってしまった程良いサッカーを見せてくれたし「セットプレー」ではなく、流れの中で息が合ったパスとシュートを見せてくれたのは大変結構だった。特に、アナウンサー推薦の三苫が綺麗なドリブルから上田に通したスルーパス(我々の時代には「裏を取った」と言ったが)から見事にフンワリと上げて、GKの頭上を越した芸術的なシュートなどは大満足だった。

アナウンサーも解説者も今朝の各テレビ局も、久保建英が先取点で決めた3人だったか4人だったかの股の間を抜いたシュートを絶賛していた。だが、私には瞬間には何処を通ったか見えなかった。昨日から今朝まで何度もあの場面を見せられたが、久保君が横にドリブルしながらあそこを狙って蹴った慧眼と上手さを称えるべきか、偶然にそうなったかは未だに解らない。しかし、彼があの代表候補選手たちの中で抜群かも知れない上手さがあるのかどうかも、未だ見えてこない。不思議なことは、彼はどの代表に呼ばれても、一試合中の全部の時間を通して出して貰えたことがない点だ。

彼の上手さはスペインで子供の頃から鍛えられたので、常人にはその上手さが把握できていないのではないかなと、私は思わせられている。その球扱いの上手さ、パス出しの巧みさ、戦術眼は我が国にサッカー界の水準にあっては一級品なのだろう。だが、私が思うには「あの上手さは監督さんの好みというか、思い描かれているサッカーにはピタリと嵌まらないのではないのかという気がするのだ。例えてみれば、上手さは一流だと思わせてくれた香川真司は、どの外国人監督にも嫌われて、遂にはヨーロッパとUKに出ていくしかなかった。その香川に似ている気がしてならない。

昨日も、最早私には現代のサッカーは理解不能な程、旧時代の概念から外れてしまったので、昨日見せて貰えた多くの若手から誰が残るかなどは予測も出来ない。だが、懸念することは「久保建英は残るだろうが、それは森保監督が最善の補欠選手としての選択ではないか」という点だ。昨日も痛感したことは「旧時代のような豪快にシュートを決めるような強力な選手が前にいて、全員が彼のためにお膳立てをする蹴球の時代は、遠い昔の事になった」という「時代は変わった」という点だった。