新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

カタカナ語の氾濫に思う事

2021-06-15 10:05:37 | コラム
何故カタカナ語にするのだろう:

有識者や所謂専門家の方々の中にはカタカナ語と言うべきか、英語の単語をそのまま使われる方が多いことと、テレビに登場する無知蒙昧なるタレントや芸人たちがこれ見よがしにカタカナ語を使っているのを何時も苦々しい思いで聞いて(見て?)いる。最近カタカナ語の話題を採り上げることが多くなったが、今回もその線で押していこうと思う。何時も「カタカナ語にする必然性がない」と批判するが、その心は「何でチャンと日本語で表現すべき事を、無批判におかしなカタカナ語で代用しようとするのか」と怒り狂っているのだ。

*イメージ・アップ:
「イメージ」=imageは昨日も採り上げたが、「レベル・アップ」も同類だ。プログレッシブ和英辞典には”to improve the image“という句の例文まで出してくれいる。そして「イメージ・ダウン」の例文として”harm/damage/lower the image”を挙げてくれている。チャンとした日本語にしたら「~についての見方、観念、概念を改善する」となり、「イメージ・ダウン」であれば「傷付ける、低下させる」とでもすれば良いか。

ここにはもう一つも問題点があって「カタカナ語では前置詞か副詞であるupとdownをまるで『上がる』と『下がる』の動詞のように使っていること」なのだ。どうしてこうなったかの歴史的考察など出来ないが、どうも単語として覚えさせる教育の好ましくない成果だと疑っている。

*オーナー(オナー):
広辞苑には「ゴルフでテイーショットを先に打つ権利またはそれを持つ人」とある、英語ではhonorとなっている単語のことである。これはローマ字読みしている弊害の例として採り上げた。如何なる辞書を見ても、英語の世界にいて聞いた限りでも「オーナー」でも「オナー」でもなく「アーナー」なのだ。一歩譲っても「アナー」だ。面白いことは電子辞書のOxfordではhonorは出てこないで、honourと掲載されていること。現にこの「ワード」ではhonourには赤線が引かれてしまった。

余談だが、厚生労働省の英語表記では”Labour”となっているのだ。こんな所にも我が国でQueen’s Englishに過剰としか思えない敬意を払っていることが出ている。勿論、「ワード」は赤線を引いてくれている。アメリカの英語ではlaborだ。

*キャンパスライフ:
これが果たして英語であるかどうか最後まで迷ったので、検索に頼った。英語として通用するという見解が多かったが、あるアメリカ人の英語教師は「”universityかcollege life”とすべきだが、college lifeの方が普通だ」としていた。私は何の意識もなく”one of my college friends was ~.”などと言っていた。そのうちにアメリカ人に問い合わせてみようと思う。だが、最近は獲得形質に過ぎない英語で文章を書いて「何て下手くそなんだ」と自己嫌悪に陥るのが嫌で、なるべく英文を書くことから遠ざかるようになった。情けない!

*クライアント:
誤ったカタカナ表記だ。この過ちを犯すのは、ある程度以上の学識経験者であるのが悲しい。と言うのは、客先乃至は取引先とのことを語るのは専門家が多いという意味。如何なる辞書を見ても「クライアント」となる発音記号の記載などない。また、私は滅多にこのような堅苦しい言葉を聞いたことがなかったが、native speakerの発音でも「クライアント」と聞こえたことなどなかった。単純に製造業者の失敗作だったか。

チームメイト:
“teammate”のことだが、これも「本当の英語か」と迷っている。即ち「後でアメリカに照会してみよう」という一つだ。訳語には「テイームの仲間」というのがあったが、混合の合成語だ。そこで、生まれて初めてteamを引いてみると「チーム、選手団、組」とあった。どうやら”hotel“と同様にそのままカタカナ表記してしまったようだ。

パーテーション:
一太郎では「パーティションの誤り」といきなり訂正が出てきた。私の嘆きは「partitionが何で『パーテーション』のような珍奇な発音やカタカナ表記になってしまうのか」の一点である。我が国の英語教育では躊躇わずにtwoを「ツー」と発音し表記するので、それに従って”ti“をまともに発音するか表記することを避けたのかと思っている。私は英語教育の欠陥だと思っている。

*リピーター:
これも酷い造語で悲しくなる。新しいカタカナ語を創造する能力には敬意を表したくなるときもある。だが、広範な単語の知識を活かして英語ではない言葉を創り出してそれを広めてしまうのには、呆れ且つ嘆いている。”repeat“には「繰り返して言う、同じ事を繰り返す、用いる、再放送する」等の意味はあるが、「再度訪問する」か「繰り返して訪れる」のような意味はない。でも、何でも語尾に”er”さえ付ければ「~する人」になるのも知っていたらしく「リピーター」を創り上げたのだろう。何と言って批評したら良いか解らない。

恐らく「常連客になる」という日本語が最も近いと思う。それならば”regular customer“が適切かと思う。私は在職中に、今はDeltaになってしまったノースウエストの常連客だったが、ボーデイングパス」には”frequent flyer (traveler?)”と表示されていた。これの応用編にはfrequenterというのがあるし、フランス語系にclienteleというのがあって、これには「常連」の意味があるようだ。

なお、ジーニアス英和によれば、repeaterには「常習犯」との意味もあれば、アメリカでは「落第生」をも意味するとある。新しいカタカナ語を創造する前には辞書くらいは見て貰いたいものだ。