何年ぶりかで大都会に行ってきた:
昨8日は「御釈迦様」の誕生日で「花祭り」の日だったが、私事ではあるが4月10日が結婚60年記念日、4月11日が亡母の祥月命日なので、両方を勝手に繰り上げて桜が散ってしまった後の染井墓地で墓参りの後で、前回夫婦でこの界隈に来たのが何年前だったかの記憶もないような、有楽町駅前から銀座中央通りまで恐ろしいような人出の中を歩いてきた。
偶には京橋の理髪店まで来るので、ある程度は心得ていたが、インバウンドまでを含めた群衆の中を歩くのには恐怖感すら味わっていた。というのも、ここ新宿区に住んでいると本当の都心に無数に林立する高層建築がないので、巣鴨から大手町を経て有楽町に近づいても、見慣れない建物ばかりで何処を走っているのかが皆目見当が付かないのだ。生憎と雨に降られたので、有楽町駅前から銀座松屋まで歩いた地下道も全く様変わりで、愚息の先導がなかったら確実に迷っていただろうと思わせられた。
車を停めた新有楽町ビルも後100数十日で取り壊されると掲示されていたが、何処に行っても再開発と旧式の耐震構造ではなかったビルが建て替えられているので、この界隈には30年前までは昼夜を問わずに毎日のように出入りしていたのが夢ではなかったのかと思ったほどの様変わり。ただただ圧倒されていた。言いたくはないが、往事はブランドもののスーツにネクタイに靴に時計にと着飾って、肩で風を切って動いていたのは「泡沫」と疑いたくなった。
それに加えるに中央通りの歩行者天国に殺到している新宿の田舎から来た者の目には「豪華に着飾った」と見える群衆+インバウンドであるからは、懐かしさを感じる前に「恐怖感」に苛まれていた。みんな金持ちなのかなと思わせられていた。目立った現象は「インバウンド勢」は先ずマスクをしていないことだった。勿論、我が方はマスク着用だった。だって、第8波は既に下げ止まり傾向を示しているではないか。
新宿区では殆ど見かけることがない「ホワイト外人」(副社長の造語で、白人とアジア系を区別する表現)を数多く見かけて、岸田内閣の目玉政策である「インバウンドの推進」は無事に軌道に乗っていたようで結構なことかと思った。しかしながら、英語を話している人たちは希で、一組だけ英語で語り合いながら我々を追い越していった集団は顔見ればアジア系だった。だが、何れにせよ、我が国の人気は高いようだし、円安も期待通りに後押ししているのかと感じていた。
長年、東京の盛り場を歩いて感じてきたことだが「これほど多くの人が出歩き、海外の有名ブランド店が数多く建ち並んでいても、我が国は個人消費が進まず不況なのか」なのである。何年も初任給が据え置かれ、平均給与が上がらないのは真実なのかと疑いたくなるのだ。銀座松屋にも何十年ぶり(?)に入ってみたが、往年は「田舎デパート」と蔑視していた店内の豪華さに目を奪われていたのも情けなかった。これほど賑やかでも、景気が低迷したままなのは何が原因なのかと考えながら歩いていた。
数多くすれ違った「インバウンド」を分析してみると「アジア系」の人たちが多いのだ。だが、中国からの爆買い集団が未だ入ってきていないという点から考えると、彼らは台湾、香港、シンガポール等の中国系なのかなと考えている。都心にはここ新宿区百人町とは大いに違う現象が認められた。それは「イスラム教徒」を殆ど見かけないことだった。思うに、彼らは銀座や有楽町や大手町に出向いても、ハラルフードは買えないと承知しているのだろう。
結果として、夫婦共に5,000歩以上も歩いて、良い運動になった半日だった。