新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

カタカナ語排斥会の会報より

2023-04-14 07:45:29 | コラム
カタカナ語排斥会会長として言うが:

野球中継で「リクエストを要求」と言うアナウンサーがいた。普通に聞けば言葉が重複している奇妙な表現である。だが、これは近年あらゆる球技(競技でも良いか)が実行されるようになってきた「審判員の判定に対する異議かその申し立てて再審を求める」を意味する英語の”challenge“のことを言っているのだ。でなければ、「審判員の肉眼による判定ではなく、ヴィデオ等の機器を使った判定を要求、即ち”request”した」と解釈もできる。

回りくどい言い方になってしまったが、要点は「挑戦」という意味だと広く認識されている”challenge"という単語には、ジーニアス英和によれば「(名詞として)妥当性、資格への挑戦、疑念、説明、要求(to)、異議、拒否」が挑戦の次に出ている。Oxfordには矢張り3番手に”a statement or action that shows that 誰かが refuses to accept ~ and questions whether it is right, legal, etc."と載っている。

これだけでは未だ解りにくいだろうと思うので、フットボールの例を挙げておこう。この競技ではヘッドコーチ(監督に相当する)が何色だったか失念したがマーカーを持っていて、判定に異議を申し立てるとき、即ちチャレンジするときに、このマーカーをフィールド内に投じるのである。言い換えれば「判定を機器を使って再判定することを要求している」のである。

もっと理屈を言えば「要求することの目的が異議申し立ててであり再審議」なのである。であるから、アナウンサーさんたちが言う「リクエスト」でも日本語の感覚では意味は通じるが、何を求めているかがハッキリしていない」のである。カタカナ語排斥会長としては、何も原語の”challenge“を使うことなく「判定に異議を申請しました」と言えば良いじゃないか」となる。第一、彼らは「チャレンジ」が何かの説明をしていないのはおかしい。

また、うるさいことも言うが、「リクエストを要求」とか「リクエストしました」と放送する言葉遣いの感覚はおかしいし、おかしいと思わない英語力が情けないのだ。視聴者の誰もが解りやすいように、例えば「塁審のアウトの判定に異議を申し立てるようです」のように伝えて欲しい。野球では監督が手で「四角」を作って見せて「異議申し立て」に代えている。

サッカーではVARとやら称して”video assistant referee“がいるし、ラグビーではTMC(television match official)に主審と線審が相談している。ヴァレーゴールやテニスでは「アウト」か「イン」化の判定に異議を申し立てて、ヴィデオで審議している。私には肉眼と一瞬の判断で判定を下している審判員受難の時代が来たと思えるのだ。それにしても、テレビ局は何で英語の単語をそのまま使いたがって、キチンと解説をしないのだろうか。

ところで、今や「挑戦」か「~に挑む」という場合には「チャレンジ」しか使われないほどカタカナ語が一般的になりましたが、challengeに「異議申し立て」のような使い方もあると、貴殿は単語帳に記載しておられましたか。