新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

MBA等の実務経験者を起用されては如何か

2023-08-10 07:49:34 | コラム
学校と病院経営に実務経験があるMBAを:

この度の日本大学における問題の発生に伴う、林真理子理事長以下の記者会見を見て(聞いて?)我が友YM氏から聞いた話を思い出した。これは、何方か専門家が「日本大学程の多額な収入がある組織の理事会の中に、企業経営の専門家が入っていない」と指摘していたことにも関係した事柄だ。

何年前のことだったか、YM氏からアメリカのビジネススクールという組織と、そこでの授業(講座)の内容を聞いていた時に「ビジネススクールでは同じMBAでも大学や病院経営を専攻するコースもある」と聞いたのだった。彼の簡単な解説では「大教授が必ずしも大学という大組織の経営の専門家であるとは限らないし、同様に名医だからと言って大病院を運営する院長に任ずるのが良いのだろうかという考え方があるから」となっていた。「成る程」と思って聞いた。

我が国の企業の組織では(言い方は宜しくないかも知れないが)平社員の上に係長、課長代理、課長、部長代理、部長、事業部長、担当取締役、常務取締役、専務取締役、副社長、社長のように段階を踏んで構成されている。そして、この縦の流れの中に指揮・命令系統があるのだと見ている。即ち、私は大掴みにして、報告は実務を担当する社員から順に上がっていくのだが、各段階を経る事にそこでの見解や意見が加わっていくもだと理解している。

私はこのような指揮・命令系統と、報告の上部に向かっての流れは整然と確立されていなければならないと認識している。そして、上から下りてきた命令も全部が全部組織の下部まで流れていかない場合もあるのではとも見ている。同様に、報告も下から上に上げられていくのだが、その序列の上にいる役職者の重要度の認識と判断次第では、そこまでに留め置かれて上には上がっていかないこともあるだろう。

我が国の会社組織は「このような段階というか、序列に従って行動してきた組織人が構成している」のである。故に、組織の長になれば如何にして自分の組織を運営していくべきかを経験からも解っている。だが、名医や大教授は組織人だった経験はお持ちではないと思う。多くの人員を抱えた組織を動かしてきた経験者ではないと思う。大学や大病院内で会社組織のような指揮・命令系統や、報告を上げていく経路は整備されているのだろうか。

論旨は飛躍するかも知れないが、だからこそ教授たちには学術分野に専念できるようにして、組織としての大学の経営陣には会社経営の経営者などを加えるか、経営学を専攻してきたMBAも招聘するのが良いのではないかということ。病院経営にも同様な組織人を経営陣に加えては如何かと考えている。

そこで、参考までにアメリカの会社組織にも触れておこう。極端な表現になるかも知れないが「事業部長の下には横一線に何十名もの部員が並んでいて、部員の中には日本のような年齢や入社年次による年功序列はない」のである。それは、殆ど全員が「job型雇用」による中途入社であって、学歴も職歴もバラバラだし、実務経験年数も異なっているのだから。年俸も入社時に事業部長と話し合って決めているのだ。

建前では彼ら全員が事業部長に直結で報告することになっているが、大人数の場合はいくつかのグループに分けて、その中の1人が取り纏めて上げていく方式もある。要するに、日本式の段階を踏む組織にはなっていないのである。私は一担当者として日本の組織内にいた時には、課長に直接報告することなどなかったが、アメリカの組織では事業部長直結ということは、何時何を聞かれても完璧に答えられるように準備が出来ていなければならないので、神経を使っていた。

話が本論を離れてしまったかのようだが、確認しておくと「大学でも病院でも実務担当は専門の教授や医師に任せて、組織を運営する理事会には経営学を専攻してきた経営学修士や、現実に会社を運営しておられる経営者も加えたら如何かということ。

なお、MBAはビジネススクール入学の資格として「最低でも4年間の実務経験が必須」となっているので、実務も心得ている。現にYM氏はハーバードのビジネススクール入学前に日本とアメリカの会社に40歳を過ぎるまで勤務して経験を積んであった。