アメリカのご婦人は“Oh my goodness!”と言った:
先ほど取り上げた「偶には英語の話もしよう」で書き損なっていた“Oh my goodness.”の実例があったので、追加しておこうと思う。それは、昨26日夜のテレビ東京の「日本に行きたい人 応援団」なる番組での事だった。
京都に日本人形制作の繊細にして巧緻な課程を勉強しようとして来ていた、かなり高齢と見たアメリカのご婦人が、顔を作る有名な職人の仕事場を訪れた時のことだった。彼女は一歩中に踏み込んだ途端に“Oh my goodness.”と“Gosh.”と感嘆の声を上げたのだが、私はその音声が聞き取れたのだった。彼女はチャンと品格を保ったので、“Oh my God.”などとは言わなかったのだ。Godを使わなかった事で知識階級にある人だと知らしめたのだと受け止めた。
以前から指摘してきたことで、こういう言葉遣いの問題点を知らずにアメリカ人の社会に入って行くと、この“Oh my God.”のような表現を頻繁に聞いてしまい、それが品位を欠く言葉遣いであると知らなければ、何となく格好良く聞こえて「じゃー。今度機会があれば自分でも使って英語が堪能であるところを見せようか」などという誤解と誤認識が生じやすいのだ。彼等が使っていたからと知っても、真似はしないことだ。Godが宜しくないのだ。
困ったことに、トランプ前大統領の支持層には低層の人たちが多いので、彼は意図的だと思って聞いているが、アメリカ大統領であるにも拘わらず、平気でswearwordを使っておられた。それを聞いてswearwordが何であるかを知らないと、つい真似したくなってしまう危険性が潜んでいるだろう。現に、そういう人たちの会話を聞いていれば、この種の言葉が「これでもか」と言わんばかりに多用されているのだ。
私が何度も取り上げてきた実例に「沢尻エリカの“Oh, shit.”」がある。これは、評判が悪くなってアメリカに語学研修と称して出て行った彼女が帰国した際のこと。成田空港で記者団に追い回されハンドバッグを落としてしまって“Oh, shit.”と叫んだのだった。
この“shit”が駄目なのだ。これは言わば汚い言葉の手っ取り早い代表格で、日本語にすれば「こん畜生」や「何と言う事か」や「くそったれ」というような意味の罵る言葉に使われている。これとその他のswearword即ち「汚い言葉」を使うことは「知識階級ではない」と自ら名乗ったのと同じ事なってしまうのだ。
繰り返して指摘しておくと「“Oh my God.”もswearword(例えばshitやGod damn it.やhell等)はnative speakerたちが使ったからと言って、無闇に真似をしてはならないのだと、十分に承知していてほしい」のである。
なお、swearwordではないが、会話の中に“you know”を挟み込むのも禁物である。このような話し方をするnative speakerは非常に多いので困る。この”you know”には「私は非知識階級です」と告白しているのと同じ効果があるのだから。英語には意外な落とし穴が待っていると知っていて欲しいのだ。