勝負の怖さと面白さを味あわせて貰った:
オリックスと阪神の実力をあの一試合だけで比較すると「オリックスの方が少しだけだが上である」と思う程度の差しかなかった。その差は何かと言えば「リーグ戦三連覇」と「昨年度の日本シリーズを制覇したこと」であり、この二つの経験で「勝ち方を知っていた事」が昨日の勝敗を分けたと思っている。
オリックスには三割打者が頓宮だけ、阪神には不在で、その差はたった1人の違い。だが、その違いが頓宮のホームランになって現れて、試合の流れを殆ど決めてしまった。この試合はどちらが有利か全く閃いてこなかったが、あの頓宮の打席では「ここでホームランが出ると・・・」という予感が来ていた。
投手力では山本由伸を潰されてしまったオリックスの方が多少不利かと見えたが、宮城大弥が阪神をアッサリと捻ってしまった。昨夜の阪神の先発の伊藤将司は綺麗に纏まった投手だが、球に力がないのでオリックス相手で「何処まで保つか」という問題だと見ていたが、頓宮が答えを出して見せた。
オリックスの東は良く知らなかった投手だが、藤川球児が褒めるのを聞いて良く見れば「重心が下がって安定したフォームであり、何よりも凄いなと見たのは「全部の球種のリリースポイントが同じ」に見えたことだった。藤川の言う通りで、阪神の打者は東を崩せなかった。投げた後の守備に備える姿勢も良く出来ていた。
怖いなと痛感したのが、宗のあの試合を決定してしまった感が濃厚だった右中間の二塁打。アナウンサーが「ここまで宗が8打数ヒット無し」などと言った途端にあの当たり。世の中はこういう風になるものだ。そもそも、宗は軽んじてはならない勝負強さがあることは、過去の日本シリーズで立証されている。言うのだったら「もう、この辺りで一本でても良いのでは」ではなかったかであり、余計なことを言うなである。
岡田監督には4点取られた後の投手起用を誤ったのが痛かったと思う。Brewer(ブルワーと言っているが、ブルーワーだと思う)でアッサリと1点を与えてしまった。あの場では「これ以上の失点を防ごう」と石井か桐敷を先に出すべきであると、後から言えた。その1点で負けた形になってしまったではないか。
9回の裏の攻撃も「一寸の差」が悲しいほど露呈されていた。平野が明らかにスピードも上がらず、制球も整っていなかったにも拘わらず、近本は3-1のカウントで藤川が「二つもアウトが取れるのか」と危ぶんだのに、打ちに行って凡ゴロ。幸いに走者は二塁に進めたが、結果論では「あの場面はもう一球待って、平野を苦しめた方が」と思った。
もっと弱さが出たのが最後の打者になった大山。確か3-2と平野を追い込んだのだ。あの場面では(2死走者1・2塁)平野がストライクからボールになるフォークボールで来るのは見え見えだった。しかも、インサイドのボールのコースに来たのに、「振る」と固く決意していたのだろう大山は空振り。この辺りが「未だ勝ち方を覚えきっていない阪神の弱さが出た」と思った。
阪神は「世の中は上手く行かないもの」の例で、駄目だと決めつけてあった森下が2点のRBIベースヒットを含めて2本のヒットを打ったかと思えば、最も当たっていたはずの中野は沈黙。これでは木浪の好調さが活かされない。オリックスは宗が打ってしまうと言う具合。
今夜の第4戦は阪神が「何処まで弱さを隠した野球が出来るか」にかかってくるだろう。才木が何処までオリックスの打線を抑えきれるかにかが、勝敗を分けるのではないか。
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