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コソボの独立問題をめぐるロシアの立場

2007-07-26 | ラジオ
ロシアのプーチン大統領は6月24日、セルビア及びアルバニアの両大統領と、
それぞれ会談を行った。
セルビア・コソボ自治州の地域問題が中心テーマとなった両会談の中で、プー
チン大統領はロシアは全ての当時諸国の利益を考慮したうえで、バルカン地
域の安定の為に行動していくと明言した。
コソボ問題と、この問題をめぐるロシアの立場に関して、ロシアの声の評論委
員は、次のようにコメントしている。
ロシア、アルバニア両大統領の会談の詳細に付いては、何も明らかにされて
いない。
しかしロシアはセルビア及びコソボの、あらゆる民族グループの見解を踏まえ
る事無く、コソボの独立を認めることは容認できないとの立場であり、ロシアが
そう考える根拠が、会談で示されたと推測される。
そしてこのことがアルバニアにとっては紛れも無く有益なことだ。

プーチン大統領は先日のドイツでのサミットで、この問題に関するロシアの立場
に付いて次のように述べた。
「現在この紛争の当事者、この場合はセルビア側だが、この当事者の然るべき
合意を得る事無く、問題を解決しようと試みる動きがある。ロシアはこうした行動
は道徳的基準にも法的基準にも一致しないと考えている」
忍耐力を発揮しコソボのアルバニア系市民の立場も、セルビア系市民の立場も
共に考慮する必要がある。必要なのは現行の国際法の諸原則を守り、自らの意
思を他の国々や民族に押し付けないこと。他の民族を辱めないことだ」
プーチン大統領はコソボ問題をめぐるロシアの立場に付いてこの様に述べている。

セルビアはコソボに独立した地位を与えるという試みを、まさに自らに対する侮辱
として捉えている。コソボが独立すればセルビアの領土の、15%が分離されること
になる。
セルビアの首相は6月はじめ、セルビアの基本的立場としてコソボはセルビアの一
部であり、コソボのセルビア系市民はセルビア市民であり続けるとする声明を表わ
している。

セルビアのボリス・タディッチ大統領はプーチン大統領との会談の中で、様々な形
での対話を規定した、妥協を達成する用意があることを示した。
タディッチ大統領は特にセルビアの構成員としての、コソボのために最大の自治権
を認めると述べている。
国連安保理でコソボに関する新たな決議案が作成される中で、プーチン大統領は
セルビア及びアルバニア大統領との会談を行ったことは注目に値する。
決議案ではセルビアとコソボに120日間の交渉期間を与え、その期間の終了後、コ
ソボ地方に自動的に独立した地位を与える内容が盛り込まれている。

ロシアはこの決議案の内容に、不支持を表明しており、決議案の作成作業に参加
していない。
同時にロシアは自らが拒否権を行使することに重点を置いているのではなく、ロシ
アがすでに国連安保理に、自らの決議案を提出していることに注意を向けている。
ロシアの決議案ではセルビアとコソボに、安全保障のあらゆる批准を確保すること。
コソボの地位を規定する期限を設ける無く、両者を話し合いのテーブルに引き戻す
ことの2点が柱となっている。
しかもセルビアはコソボとの新たな話し合いに向けた、具体的妥協案を準備し、本
格的に話し合いに臨む用意を整えている。

ユーゴスラヴィア現代史
柴 宜弘
岩波書店

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6月26日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル