ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

日本最優秀ソムリエコンクール決勝のポイントを考察

2023-09-14 23:58:01 | ワイン&酒

8月30日に開催された第10回日本最優秀ソムリエコンクールの結果は速報でリポートしていますが、決勝の内容とポイントをリポートします。


決勝に残ったのは4名。
今回はアジアの招待選手が8名いて、うちマレーシア代表のジャスティン・ホー選手が決勝の4名の中に入りました。
日本最優秀ソムリエコンクールの優勝者は日本人選手としていますので、決勝に進んだ3名の日本人選手で優勝を競います。

審査順はくじ引きで、中村僚我(ロオジエ)、森本美雪(コンラッド東京)、野坂昭彦(マンダリンオリエンタル東京)、ジャスティン・ホー(マレーシア)の順となりました。

海外大会に向け、審査はすべて英語。
決勝に残る選手は皆、英語の会話もスムーズでした。

審査は公開の舞台上で行なわれます。

課題1
3名の客へのアペリティフサービス
IPA、ペットナットを男性客2名に、オールドファッションを女性客に(3分)

 


IPAビールと発泡のペティアン・ナチュールを注ぎ、オールドファッションカクテルを3分でしたサービスするのは、時間的に厳しいものがあります。
そこで今回は、サービスアシスタントとしてワタルさん(岩田渉)が就きます。アシスタントはカクテルを作ることはできません。

アシスタントに適切な指示を出し、チームワークでうまく進めて行けるかどうかが、この決勝のポイントのひとつでした。
結果は、4選手とも時間内にサービスできず、タイムアップ。

アシスタントはこのあとのサービスにもスタンバイしています。



課題2
バイザグラスワインリストの間違い探し(2分)


課題3
6人テーブルのワインサービス
ボトルシャンパーニュのサービス
シャトー・メイネイ(ボルドー)1998年をデカンタージュサービス(10分)

先にシャンパーニュボトルを選んでもらい、その後に赤ワインのデカンタージュ。
サービスの途中で常連客らしい女性客二人が来店し、バブルをグラスで飲みたいとリクエスト。

 



時間に制限があるので、アシスタントをいかに使うかがポイント。
シャンパーニュサービスが始まってすぐに、シャンパーニュじゃなく白ワインをグラスで飲みたいという客のリクエストにも対応する。

 


各選手とも、赤ワインのデカンタージュの前後までは行くものの、タイムアウトで誰一人として完了できず。
グラスのセットやシャンパーニュの注ぎサービスをアシスタントに分担すると良かったかもしれません。


課題4
グラスワイン1杯のフルコメント(2分)

赤ワインで、キアンティ・クラシコグランツィオーネ、ボルドー右岸ポムロール、イタリア・トスカーナのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、ボルドーの複数品種ブレンド、といった回答が出ましたが、正解はフランスのローヌ。
ギガルのコート・ロティ ラ・トゥルク。ブドウ品種はシラーとヴィオニエのブレンド。

 


課題5
3つのグラスワインを比べながらテイスティングしてコメント(3分)

共通点はなにか?なに違いか?
カベルネ・ソーヴィニヨンで国と産地が違う、スペインのリオハが共通点で違いは標高、共通点はアメリカンオーク樽で、違いは国と品種、比較ポイントがわかりにくいが、チリのアメリカンオークのカベルネ・ソーヴィニヨン、ニューワールド系、ボルドーの飲み比べ?という回答が出ました。


正解は、ナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンで、違いは畑の標高でした

 

課題6
3つのワインをエレベーションで並べなさい(1分)

エレベーションは標高のこと。
野坂さんは勘違いをされたのか、飲み頃について回答。
ほか3選手は質問を理解して回答していました。

attitude?と、別のワードで聞き返す選手もあり、質問の意味はしっかり確認する必要がありましたね。

 

 


課題7
グラスワイン1杯をテイスティングして、合う料理などを店のシェフとディスカッションする(3分)

グラスの中はロゼワインに見えます。
大半がプロヴァンスロゼと判断しました。
が、実際はナパ・ヴァレーのロゼ。

 


シェフ役は、ナパ・ヴァレーヴィントナーズ日本代表の小枝さんで、ワインとフードペアリングのスペシャリスト。これに気付けば、ナパ・ヴァレーのロゼかも?と推察できたかもしれません。
このロゼワインですが、偶然にも私は同じ日の昼間の試飲会で飲んでいました。
ラベルオープンされてビックリ!
こんなこともあるんですねぇ〜



以上の審査で、
優勝が野坂さん、2位が森本さん、3位が中村さん、となりました。

決勝を観戦して、森本さんは自身が優勝できなかったことにだいぶショックを受けているように見えました。
森本さんは、コミュニケーション能力は素晴らしいですが、ブラインドやサービスの連携で取りこぼしがありました。

優勝した野坂さんも取りこぼしはあちこちありましたが、時間が限られた中でのアシスタントとのチームワークがスムーズでした。日頃からマンダリンオリエンタルのチームメンバーと共に鍛錬してきた成果が出たようです。

アシスタントが用意された意味を理解できたかが重要でした。

 

左より)Ho、野坂、森本、中村

 

野坂さんと森本さんの上位2名は、2025年9月にマレーシアで開催されるアジア&パシフィック大会に日本代表として出場できる予定です。

アジア&パシフィックで優勝すると、翌2026年3月にポルトガルのリスボンで開催される世界大会に自動的に進めます、

こちらも応援したいですね!

 


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