持っていたはずなのに、なぜか見つからない昔の絵本「てぶくろ」。
ウクライナ民話ということと、絵本の内容に共感し、いま人気だそうです。
もう1冊あってもかまわないと、先日、取り寄せました。
ウクライナ民話 てぶくろ
絵:エウゲーニー・M・ラチョフ 訳:うちだりさこ
福音館書店 1,000円+税
おじいさんが落とした手袋の中に、どんどん動物たちが入っていきますが、サイズ的に入らないでしょ?という大きな動物まで入ってしまうのがおかしいお話です。
動物たちの着ている服や装丁の絵などがウクライナらしいですが、よく見ると…
「ロシアの絵本」と書かれています
オリジナルは1951年に当時のソビエト連邦(1991年12月に解体)で出版されたからでしょうか。
日本では1965年11月に福音館書店から発行されています。
1951年のソ連といえば、まだスターリンの時代で、第二次瀬愛大戦からだんだんと復興してきた頃になります。
作画のエウゲーニー・M・ラチョフについて調べてみると、
1906年にシベリア西部のトムスク州に生まれ、1924年にクラスノダール市のクバン美術師範学校に入学します。
クラスノダールは、クリミア半島の東部、ソチの北部、という場所。
1928年にキエフ美術研究所に入ったのは、クラスノダールがらウクライナが近かったからでしょうか。
1930年にはキエフ(今はキーウ、ですね)の出版社に勤め始めます。
ちなみに、ラチョフさんの故郷トムスク州からクラスノダールまでの距離は4320kmもあり(日本列島の全長よりもかなり長いです)車で移動すると56時間かかると出てきました!
ラチョフさんはロシアで生まれ、1917年のロシア革命、1917ー1922年のロシア内戦、ソビエト連邦設立、という時期に少年期を過ごしています。
22歳から91歳で亡くなるまで(1997年没)はキーウ周辺にいらしたと思われますから、人生の大半を過ごしたウクライナには深い愛着があったことでしょう。
ラチョフさんは、1991年のソ連解体も見届けているんですね。
いま、もし、ラチョフさんが生きていらしたら、ふたつの故国ロシアとウクライナに対して何を思い、どんな絵を描かれるのでしょうか。
近所の菜の花 ウクライナカラー
子どもの頃に読んでいると、本当に懐かしく思う本ですよね。
昔と比べると、表紙の紙の質がツルツルになったなぁ、と思ってしまいました(笑)