フランス農務省の一部門であるINAO(国立原産地名称研究所)が、2021年1月26日に、
フランス・ボルドー地方における赤ワイン用ブドウ4品種と、白ワイン用ブドウ2品種、合計6種の使用を正式に承認した、というニュースリリースが届きました。
新品種使用の承認の背景には、「気候変動」への対処があります。
地球温暖化はヨーロッパでも顕著です。その対策として、畑をより北部&標高の高い場所に移す、といっても、そう簡単にはいきません。
また、温暖化だけではなく、集中豪雨、洪水、雹、遅霜などなど、気候自体が激しくなり、深刻な病虫害も発生しています。
そうした中で、気候変動や病虫害などに強いブドウ品種の需要が高まってきたのは当然のことでしょう。
ボルドー地方では、10年間で52ブドウ品種以上を試行錯誤してきたそうで、
6品種が「気候変動への適応において注目すべき6新品種」と命名され、承認されました。
赤ワイン用品種:アリナルノア、カステ、マルスラン、トウリガ・ナショナル
白ワイン用品種:アルヴァリーニョ、リリオリラ
アリナルノア(Arinarnoa):Tannat x Cabernet Sauvignon
カステ(Castets):Gros Cabernet x Camaraou noir
マルスラン(Marselan):Cabernet Sauvignon x Grenache noir
トウリガ・ナショナル(Touriga Nacional):ポルトガルの代表赤品種のひとつ
アルヴァリーニョ(Alvarinho):スペインとポルトガルでよく使われる白品種
リリオリラ(Liliorila):Baroque x Chardonnay
トウリガ・ナショナルとアルヴァリーニョ以外は、フランス南西部周辺のブドウ品種です。
この中では「マルスラン」が比較的よく聞く品種で、スッドウエスト地方やラングドック地方などのワインに使われています。
以前紹介したコート・デュ・ローヌや、ブラジル、ウルグアイのワインなどにも使われていました。
上記6品種は、2021年から植栽が開始される予定です。
そうなると、近いうちに、ボルドー産のトウリガ・ナショナルの赤ワインやアルヴァリーニョの白ワインが登場するの?と期待してしまいましたが、新品種の植え付けは、地方全植栽面積の5%が上限だそうです。
さらには、赤白とも、最終ブレンドに占める新品種の割合は10%が上限となっています。
また、ボルドーワインのラベル上に、これら6品種の品種名が記載されることはありませんので、トウリガ・ナショナルと大々的に記載されたACボルドーなるワインは誕生しません (笑)
先月、ボルドーの主要赤ワイン3品種以外のブドウ品種のワインについて紹介しましたが(下記参照)、伝統ワイン産地も、時代に合わせてどんどん変化を見せています。
[参考]
ローカルブドウ品種のワインー仏ボルドーの例
https://blog.goo.ne.jp/may_w/e/5b35c55b5c901db2825e80d02351a5a2
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