先週、30分の長さに編集した『吟醸王国しずおか』予告パイロット版のコピーを家に持ち帰り、目下、全シーンを香盤表に書き出して、テロップ原稿と表示のタイミング、音響や音楽の指示などを書き加える作業をしています。
シーンを分解する作業ばかり続けていると、全体の流れを見失うことになり、全体の流ればかりにとらわれていると、細かい部分が雑になりがちです。動画に文字(テロップ)を加える、真っ黒な画面に文字だけの説明を入れるときは、言葉をよくよく吟味し、数秒間で読ませて理解させるよう、簡潔で核心を突いた文章にしなければなりません。言葉を操る作業は、コピーライターの経験が多少は役立ちますが、動画の流れの中で活字がどれほどの効果を示せるのか、すべてを入れ込んだ映像を通しで見ないことにはピンときません。
映像の編集というのは、未開の地を手探りで歩いて、ときには行ったり戻ったりして、真っ白な地図に新しい道を書き込む・・・そんな作業なんだとつくづく実感します。
対象物をどう撮るかはカメラマンにまかせっきりだったので、編集段階で初めて、「このシーンの、この人の表情、もう少し静止したままで使いたいのに、カメラが移動してしまった」「ブリッジ(つなぎ)に使えるようなイメージ画(酒造道具、柱、屋根瓦、井戸水の流れ、空、雲、鳥、樹木など)が欲しいなぁ」といった欲も出てきます。ちゃんとした監督さんならば、撮影中にカメラマンにちゃんと指示できるんでしょうね・・・。
私のようなど素人にこき使われる成岡さんも気の毒。彼も彼なりにいろいろ考えて、さまざまな角度や色調で撮ってくれているんですが、それでも、編集する時点で初めて気づく撮りこぼしってあるんです。
撮影を始めてちょうど半年。この段階で、いったん、編集作業を体験してみるというのは、映像制作の経験がほとんどゼロの自分にとって、映画学校で勉強したり編集マニュアル本を読むよりも有益で、まさに生きた勉強!です。秋から始まる今期の酒造りでは、撮り方についていろいろ実験してみたいと思っています。