今日(5日)付けの静岡新聞朝刊の5面(農林水産面)、ちょっと雰囲気違うって感じた方も多いと思います。
この紙面は、静岡新聞編集局整理部の平野斗紀子さんが作ったもの。平野さんといえば、静岡新聞出版局の名物エディターとして活躍され、私もライター稼業を始めた20ウン年前からおつきあいさせてもらっています。96年のしずおか地酒研究会設立時にも陰で何かとサポートしてくれて、現在、編集中の映画『吟醸王国しずおか』で使った当時の写真を凝視しては、「蔵元サンたちはみんな歳取っているのに、平野さんだけ変わらないなぁ」と懐かしんだり、当時、平野さんが手がけていた県農林水産部協賛の情報誌『旬平くん』の制作時のことを思い出し、「この頃から平野さん、農業について深い思い入れがあったんだなぁ」としみじみ感じています。
比較的フランクな雰囲気の出版局とは違い、新聞の整理部に異動してからは、窮屈な思いの連続だったそうです。担当を任された農林水産面も、情報提供者(JAや行政など)目線になっている編集方針を読者目線に変えたい!と何度も上に掛け合い、3年目にしてようやく実現のはこびに。
先日、一緒に京都旅行をしたとき、京極蛸薬師の小料理屋でさんざっぱら呑みながら「8月からやっと変わるのよ~」と嬉しそうに語っていました。
新しくなった農林水産面。食の安全、表示偽装、穀物価格の高騰といったハードなニュースは社会面にまかせ、ここでは日頃、食に付いて身近に考え、行動する消費者(とくに子育て世代や健康長寿に関心の高いシニア世代)に、生産者の言動を伝えるメッセージ性の高い紙面づくりを心がけたようです。コーナータイトルのデザインやアイキャッチなども、平野さんの雑誌づくりのキャリアが生かされていて、ふだんこの紙面を見過ごしていた読者の眼もキャッチできるのでは、と期待しています。
さて、ゆうべ、映画の編集作業をしていたら、活き生きネットワークの事務局から写真が届きました。2日(土)に静岡県男女共同参画センターあざれあで開かれた『活き生きネットワーク法人化10周年記念夏祭りバザー&コンサート』でのひとコマです。私は生爪ワレの右足親指をひきずりながら、丸一日、コンサートの司会役を務めたのです。
コンサートは、静岡英和学院大学の学生バンド・コンソメWパンチ、車椅子のシンガーソングライター森圭一郎さん、そして爆音戦隊スンプレンジャーの出演でした。
スンプレンジャーって最近地方でよく見かけるローカル戦隊ヒーローショーをやる人たちかと思っていたら、大間違い! 本格的なロックバンドで、しかもアマとは思えない腕前。ツェッペリンやディープパープルをコピーしてるところを見ると、世代的には私と同じかそれより上ぐらい? とにかく演奏はプロはだしで、見かけにごまかされてはイケナイ・・・!と反省しました。子どもたちは見事に見かけにごまかされ、それはそれで狙い通りでしたけど。
メンバーは子どもたちとの記念撮影に快く応じ(もちろん私も司会役の特権を押し通して楽屋裏で一枚)、一人一人に「みんなとなかよくしようね」「あいさつをしようね」と書かれたメッセージカードを配っています。こういうパフォーマンスを地域の学校や施設やイベント等で披露し、06年には地域の子育て支援活動として評価され、男女共同参画に関する静岡県知事賞を受賞しています。見かけがおもしろい、カッコイイで終わるのではなく、彼らが何を伝えようとしているかを、親子がそれなりにキャッチしてくれるといいですね。
森圭一郎さんは、昨年の活き生きネットワーク七夕コンサートでもお会いした、プロのシンガーソングライターです。16歳のときに交通事故に遭って車椅子生活となり、21歳頃から音楽活動を始め、25歳のときギター1本で日本縦断の旅へ。引きこもりやニート、障害者、障害者といった社会的弱者への生活支援や雇用支援を行う活き生きネットワークのゲストとして最適任者の一人といえるかもしれませんが、私自身は、森さんの明るいキャラや爽やかなイケメンぶり、そして音楽性を含めたアーティストとしての魅力を素直に実感し、CDも2枚購入しました。
ヘビメタスタイルのスンプレンジャーと、アコースティックギター1本の森圭一郎さんのステージを同時に観られる機会なんて、この日限りだったかもしれません。一見、特異に見えるスタイルでも、伝えたいメッセージが確かにあって、確かな演奏テクニックでしっかり伝えることのできる、彼らは、その意味でプロに違いありません。
伝えたいことがあっても表現方法が未熟だったり、伝えたいものがないのに見かけだけはプロ仕様という作品が、世の中には多々あります。
少なくとも今の自分には、伝えたいことが確かにあると自信を持っていえるのですが、未知の読者や視聴者にアクセスしてもらえる場がどれだけ用意できるか、作品自体の吸引力がいかほどなのか、ここは一番、踏ん張りどころ・・・ですね。