昨日(27日)は久しぶりに静岡県立美術館に行ってきました。この4月、副館長に就任された坂田芳乃さんにお会いするためです。県庁の女性幹部職員の中でも、いつもスマートで物腰が柔らかで、ご本人はお酒がまったく飲めない方なんですが、私の地酒支援活動を長いこと見守ってくださり、『吟醸王国しずおか』のパイロット版試写会にもわざわざ来てくださるなど、とっても頼りになる憧れの“お姉さま”です。
坂田副館長をお訪ねする前に、せっかくだからと、開催中の『静岡県立美術館開館25周年コレクション~百花繚乱展』を鑑賞しました。開館してもう四半世紀経つんですね・・・。
今だから話せますが、一応、大学で博物館学芸員の資格を取ってあったので、開館時、臨時職員に応募して落とされたんですよね、私。ちょうど進路に悩んでいた時期で、履歴書に貼る証明写真もどこか暗くて、当時存命だった祖母が「こんな写真じゃ落とされる、ちゃんと写真館で撮ってもらいなさい」と心配してくれたんです。もちろん、顔写真のせいで落とされたわけじゃないと思いますが(苦笑)、「開館25周年」という看板を見て、ふと、あのときのおばあちゃんの心遣いを思い出し、ほっこりしました。
『百花繚乱展』は、県美のコレクションを同館史上最大の出品点数で見せるもので、伊藤若冲の『樹花鳥獣図屏風』、佐伯祐三の『ラ・クロッシュ』などビッグネームの代表作から、県美自慢の西洋風景画コレクション、初展示の現代アートなど、ジャンルを問わずさまざまな作品がいっぺんに揃った“松花堂弁当”みたいな楽しい展覧会でした。
自粛ムードで美術館や博物館の客入りがどこも低調だと言われる中、平日で、お天気も悪いとあって、館内はとても静かでした。が、それだけに一つ一つの作品とじっくり向き合うことができ、作品によっては至近距離で凝視できる展示もあり、時間の経つのを忘れて見入ってしまいました。
今まで県美のコレクションにあったとは気付かず、今回初めて見たのが『水上の蛍』。個室に入ると、真っ暗な箱の中で無数のカラー電球がぶらさがり、四方の壁はミラー、床には水が敷き詰められていました。・・・想像できると思いますが、カラー電球が宇宙のような空間を創り出しているのです。外からドアを閉めてもらい、中に数分、一人でたたずんでいると、座禅で無の境地になるような錯覚を覚えます。
なお期間中は以下のような企画もあります。これからGWのお出かけ場所を探すという方、県美でのんびり感性を磨いてみませんか?
●4月29日まで・・・ちょこっとだけ〈ドット若冲〉=若冲の画を一人ひとマス描く体験イベント。10時30分~12時30分・13時30分~15時30分。自由参加。
●学芸員のフロアレクチャー・・・4月30日、5月1日、3~5日、7日。14時~(各回40分程度)。
●ボランティアガイドのギャラリーツアー・・・5月8日。11時~、14時~、15時~(各回30分程度)。