杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

講演会「はやぶさを継ぐもの」お知らせ

2012-02-07 09:02:54 | ニュービジネス協議会

 昨日(6日)は東京で、富士山世界遺産登録の取材。東京大学名誉教授の岩槻邦男先生にお会いし、「富士山学」を自然と人間の共生についての統合的な研究に・・・という非常に奥深いお話をうかがいました。

 また夕方からは日中国交正常化40周年・静岡県と浙江省友好提携30周年関連の取材。国と国との関係はもとより、地方と地方のダイレクトな互恵・互助の関係性が重要になってくると実感しました。

 

 いずれもスケールの大きなテーマで、限られた紙面でどこにポイントをおいて書くか、ライターの腕の見せ所です。

 

 

 

 

 

 

 

 スケールが大きいといえば、これほどデカいプロジェクトはめったにないでしょう。ご存知、「はやぶさ」のお話。ニュースで話題になり、映画も立て続けに作られています。

 

 

 私がお世話になっている静岡県ニュービジネス協議会の西部部会で、はやぶさプロジェクトのメンバーによる興味深いセミナーが開催されます。

 

 はやぶさが帰還した頃、新たな宇宙の旅に船出した「あかつき」「イカロス」のことは、あまり報道されていませんが、はやぶさは、当然、「帰還してよかった」で終わるプロジェクトじゃありません。太陽系探査衛星の次なる目標について、現場のエンジニアに直接聴ける貴重な機会です。興味のある方はぜひご参加ください!

 

 

 

 

 

 

 

(社)静岡県ニュービジネス協議会西部部会トップセミナー

 <講演会>
太陽系大航海時代の幕開け ~「はやぶさ」を継ぐもの~
 

 

■日時 2012年2月21() 18:30~

 

 

■会場 アクトコングレスセンター21会議室(JR浜松駅前)

 

 

■講師 日本電気航空宇宙システム㈱シニアエキスパート  小笠原 雅弘氏

 

 

 

 

■申込 西部部会事務局(島津) m.shimazu@sakae-jp.com

 

 

 

 

 

 

 2010613日。7年、60kmにも及ぶ旅をして「はやぶさ」が地球に還ってきた。同じ頃「あかつき」「イカロス」が新たな旅に出た。これからの10年、「はやぶさ」を継ぐものたちが、月へ、水星/金星/火星へ、そして新たな未知の小惑星へ、太陽系の様々な天体へ旅立とうとしている。かつて航海者たちが未知の大海原へ出港して行った「大航海時代」のように・・・。

 

 

 

 

 今回はNECのチーム「はやぶさ」メンバーであり、航法誘導系、特にイトカワへの着陸に使われたターゲットマーカやフラッシュランプを手がけ、軌道姿勢系部門の長としてチームのまとめ役をつとめた小笠原雅弘氏をお迎えします。

 

 

 

 

 氏は1985年にはじめてハレー彗星へ旅した「さきがけ」をはじめ、スイングバイ技術を修得した「ひてん」、月のハイビジョン映像を地球に送り届けた「かぐや」など日本の太陽系探査衛星にずっと携わってきたエンジニア。新春にふさわしいビッグな宇宙プロジェクトのお話です。

 

 

 

 


ふじのくに食と農健康づくりフェア2012

2012-02-04 10:40:18 | しずおか地酒研究会

 2月2日(木)はグランシップで開催された『ふじのくに食と農健康づくりフェア2012』に行ってきました。

 

 川勝知事が“農芸品(芸術的な農産物・加工品)”と銘打つ県産品の生産者・加工業者・流通業者・研究者等が一堂に会する総合食品展。健康福祉部マターの「健康づくりフォImgp5557
ーラム」と経済産業部マターの「6次産業化フォーラム」「大学・研究機関の開発事例発表」など、従来の縦割り行政では融合し得なかった部局が、「食と農」というキーワードで一緒になったというのも画期的です。

 1月28日のしずおか地酒サロンに来てくださった東急ホテル関係者や、私が敬愛する編集者・里見美香さん(プレジデント社・dancyu plus編集長)も東京からわざわざ駆けつけてくれました。

 

 

 10時から17時までグランシップ大ホールで開かれた「総合食品開発展」は、大ホール目一杯に200以上のブースが並びました。日頃お世Imgp5550
話になっているJA静岡経済連、ふじのくに新商品セレクション2011年度入賞作品ブースなど見どころ盛り沢山で、フォーラムも聴きたいし、ブースも見たいし試食したいしで、丸一日、あっという間でした!

 

 

 

 

 午前中は地酒研の草創期メンバーでもある石戸安伸さん(県農林技術研究所所長)と一緒に知り合いのブースを回り、県研究機関の開発事例報告「フーズサイエンスヒルズプロジェクト発表」を聴講しました。

 

 

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地酒研メンバーの扇子家(牧之原市)・高橋克壽さん(こちらこちらを参照)が出品し、ふじのくに新商品セレクション金賞に選ばれた『お蜜柑DEロール』。風味満点の優しい味わいと、冷やしてアイスケーキにできる点が評価されたようですが、石戸さんは、落果等で出荷できない早生蜜柑の皮と果汁を有効活用している点を大いに評価されてました。皮を使うということで、生産者に農薬含有量の情報をディスクローズしてほしい高橋さんですが、三ケ日のような一大産地でしか対応し切れない部分もあるようで、石戸さんといろいろ話し合っておられました。

 

 「ボクのような個人経営のImgp5552小さな菓子屋がこんな大きな展示会に参加しても、商談に応じられるわけでもないし、本来、場違いなところかもしれないけど、自分で創ったものについて、いろんな人の意見を聞きたくて・・・」と誠実に語る高橋さん。こういう真摯さと積極性が、大きなチャンスを引きよせるんだろうと思います。

 

 

 昨年、大井川商工会さんでネーミングを頼まれた冷や奴用の生姜しImgp5555
ょうゆ、『やっこ自慢』も堂々並んでいました。KOマートで買える戸塚豆腐店の手作り寄せ豆腐(こちらを参照)に添付されています。

 

 大井川商工会のみなさん、お世話になりました。焼津と合併しても「大井川」の名前にこだわって頑張る商工会、名水&志太杜氏のふるさととして今後も何らかの形でImgp5556応援していけたら、と思います。

 

 

 

 

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 フーズサイエンスヒルズプロジェクト発表会では、県茶業研究センターの「新製法の粉末緑茶開発」、県中小家畜研究センターの「新銘柄地鶏フジ小軍鶏の開発」、県水産技術研究所の「高品質のカツオすり身製法と加工食品化」、県工業技術研究所の「イズシカ(伊豆のシカ肉)製品開発」、県環境衛生科学研究所の「富士山の地下水と湧水の保全利用」を聴講しました。どれも、ごっつぅ面白かった!

 ここでそれぞれ紹介し出したらキリがないので、また改めて詳しく書くとして、やっぱりゼロから、あるいはマイナスからモノを生み出す技術者の、オタッキーな話って好きだなあ。中には聴講者の理解度を無視してどんどんオタクな話をし出す人もいて、「この人、ここの開発に苦労して、クリアできた自分を褒めてあげたかったんだろうなあ」なんて想像しながら聴いてました(笑)。

 

 

 

 

 

 午後は、里見さんと一緒に、6次産業化フォーラムの基調講演「顧客視点で売り上げを6倍にする方法」を聴講しました。

 講師は、静岡県のリーディングアドバイザーを務めるJMR生活総合研究所の松田久一さん(リーディングアドバイザーというのは、川勝知事の知的ブレーンみたいな存在で、先の記事で紹介した岡本行夫さんや小川和久さんもそうです)。

 

 

 自動車や家電メーカーが軒並み業績悪化する中、2次産業の依存度が高い静岡県では、いち早く農業の6次産業化を進めるべき、というお話。世帯数でみればシングル世帯(若年層、高齢層)が一番多くなって、若い世代は車を買わなくなった。若者・高齢者が生活で何を大切にしているかと言えば「食」。20代で炊飯器を持っているのは男子の方が女子より多く、“弁当男子”も着実に増えている。裕福な高齢層が喜ぶミシュラン店のようなハイスペックな飲食店も増えている。となると、流通業者にとっては、一般消費者もプロの料理人も満足させる生鮮3品の品ぞろえがカギになってくる・・・さすがマーケティングの専門家らしい切り口で、わかりやすく解説してくれました。

 

 

 このフェア、一日では収納しきれない情報量で、業界関係者だけの平日一日だけの開催で終わっちゃうのはモッタイナイ気もしました。東京から駆けつけてくれる人もいるのですから、ぜひ日本を代表するような食の一大展示会として発展・定例化してもらいたいと思います。県は、6次産業化をアナウンスするではなく、まず自らの組織で、「やれるんだ」ということを証明してほしいですね。

 


県総合情報誌ふじのくにWeb公開中

2012-02-01 10:52:48 | 本と雑誌

 2月になりました。北陸地方の豪雪ニュースを見るにつけ、「富士山が雪化粧した~」と喜んでいられる静岡県民は恵まれているなあとつくづく思います。雪による死者が50人を超えるって、とんでもない自然災害です。台風や集中豪雨のニュースならもっと大きく伝えられるのに・・・。

 

 

 自然災害のリスクが高いといわれる静岡県ですが、これまでの他の地域で起きた災害の犠牲者から何を学ぶのか、試されるときに来ていると思います。

 

 

 静岡県で年4回、季刊発行する総合情報誌「ふじのくに」では、6号(11年10月発行)、7号(2012年1月発行)で災害対策特集を組みました。川勝知事の対談コーナーでは、6号で外交評論家の岡本行夫さん、7号で軍事評論家の小川和久さんと、防災における国際連携について貴重な提言をされています。

 

 テレビでも鋭い論客として知られるお2人と知事のトークバトルは、とても誌面では収まりきれず、書き起こして編集するのは至難の業。私ごときが大事な対談内容を勝手に編集しちゃっていいのか、いつも苦労するんですが、ご本人の添削もちゃんと入り、すっきり面白くまとまっています。

 

 

 

 岡本さんは、2010年8月にチリで起きた鉱山落盤事故について、「チリの鉱山技術は世界トップクラスだが、事故が起きた時、大統領は真っ先に全世界に向かって“支援してくれ”と言った。そうして各国からトップクラスの技術が集結し、3つのチームが競争するように立て坑を掘り、チリとアメリカの合同チームが一番乗りで救出した。そこにはNASAの技術や日本の通信技術も投入された。あの救出は世界中の先端技術をオープンに集結した結果だ」と紹介しました。原発事故の際、日本政府と東京電力が、アメリカやフランスから早い段階で支援の申し出があったのに、原子炉データが盗まれる云々の理由で拒否したのとは対照的です。

 

 

 

 また小川さんは、「巧遅拙速」という孫子の兵法の教えを紹介してくれました。どんなにきれいに仕上げた試験の答案でも、〆きりに間に合わなければ合格点はもらえない。多少雑でも、必要なことを適切なタイミングで出来なければ意味がないということです。平時の際は「拙速はよくない」というのが定説でしょうが、非常事態や危機管理が必要なときには「拙速」が重要な心得になるんですね。

 とかく組織が大きくなると、何につけても手順通りにやらなければ動けない、上のハンコが必要だ・・・なんて話になりがちですが、人の命がかかっているときは現場で何を優先すべきか、即断即決しなければならないでしょう。

 

 

 お2人の指摘は、危機管理における「情報開示」「現場判断」の基本を改めて認識させてくれました。対談時には、リーダーたる川勝知事に対する助言のつもりでおっしゃったと思いますが、われわれ庶民も、非常時に臨機応変に対応する、素直に助けを求める、開示された情報を正しく読み取る訓練を、ふだんの生活の中で何らかの形で努めて行わなければ・・・と思います。

 

 

 県総合情報誌ふじのくには、県広報課(電話054‐221-2231)へ申し込めば、本誌を送ってくれますが、現在、電子書籍化が進展中で、岡本さんの対談が掲載されている6号までこちらで読めます。私が執筆を担当したのは、P3~8までの知事対談&県政特集。県政特集の「オペレーショントモダチからの提言~ロバート・D・エルドリッヂ氏(在日米海兵隊基地外交政策部次長)特別講演より」も大変書き応えがありました!

 小川さんが掲載された7号も間もなく電子公開されると思いますので、ぜひご一読を。