ななきたのご隠居~野崎 幸治

千葉市美浜区で行政書士をしています。
地元では「ななきた(磯辺7丁目北自治会)のご隠居」と言われています。

奥の細道旅行譚(立石寺)

2015年10月31日 | 旅行

石巻から一度仙台に戻り今度は仙山線(仙台~羽前千歳)58.0kmに乗り立石寺(山寺)にやって来ました。

山寺にはE-721系電車に乗ってきました。

山寺駅です。左の櫓は展望台になっていて山寺全体が良く見渡せます。

かなりきつそうです。1000段以上の階段を昇ります。中央に香の岩が見えます。

この赤い橋を渡って右折してまずは本堂を目指します。

本堂(根本中堂)

まずは最後まで登れますようにと参拝。

山寺は正しくは宝珠山立石寺といい860年慈覚大師が開いた天台宗のお寺です。

中尊寺、毛越寺、瑞巌寺、山寺はいずれも慈覚大師が開き芭蕉も訪れています。四寺廻廊と言われています。

ついでに車に着けるステッカーを購入。

ご隠居の車の後ろのガラスには各地の神社仏閣のステッカーが貼ってあるので追突されません。

出羽国山寺総鎮守と書いてありました。

念仏堂

山門。ここで入場料を払います。

約一時間位みておけば大丈夫。5時までには下山してくださいとのことです。

あまり夕方ぎりぎりにいかない方がいいですよ。

芭蕉さん一行も尾花沢の清風さん宅を朝6時30分ごろ出発。

馬を用意してくれましたが道のり約27kmを経て3時に到着。

宿坊に荷物を預けその日のうちに1000段の階段を昇って見て回ったそうです。

健脚ですね。

 

それではしばし苦しい上り道です。

途中にせみ塚があって芭蕉翁の句をしたためた短冊をこの地に埋めて、石の塚を建てたといいます。

残念ながら何故かぶれていて見せるような写真になっていませんでした。

仁王門

金乗院

実は30年ぐらい昔山寺には来ていますがその時と景色はそんなに変化がありません。

変化があったのはご隠居の足のほうでした。この辺でガタガタ。さすがにへばって道端の石に腰掛けて下を向いていました。

五大堂から降りてきた老夫婦が隣で休んで「ここまで登ればもう少し頑張ってください」と励まされてやっと腰をあげました。

そうだ芭蕉さんだって3時から昇りはじめたんだから頑張ろうと思いました。

開山堂と納経堂

だいぶ陽が傾き始めました。

 

そしてやっと!五大堂に着きました。

登ってきてよかった!素晴らしい眺めです。あえて登るという字になりました。

人間あきらめてはだめです・・・などっとこのくらいのことでは偉そうに言えませんね。

この景色を眺めながらかなりの余韻を残して今回の旅は終了です。

山形駅19時3分「つばさ194号」で帰路に着きました。

 

奥の細道(立石寺)

山形領に立石寺と云山寺あり。慈覚大師の開基にして、殊に(ことに)清閑の地也。

山形領内に立石寺という寺があります。慈覚大師が開いて格別静かで清々場所です。

一見すべきよし、人々のすすむるに依て、尾花沢よりとって返し、その間七里ばかり也。

一度いってみるといいと進めるので尾花沢からは予定と逆方向だが七里ばかりをやってきました。

日いまだに暮ず。麓の坊に宿かり置きて、山上の堂にのぼる。

まだ日も暮れていなかったので宿坊に宿をとって山上の僧堂に登りました。

岩に巌を重ねて山とし、松栢年旧(しょうはくとしふり)、土石老いて苔滑らかに、岩上の院々扉を閉じて、物の音きこえず。

岩に巨岩を重ねて山としたような地形で、松や柏も年数が経ち土や石にも苔がなめらかに覆っています。岩上の多くの支院は扉を閉めて物音ひとつ聞こえない。

岸をめぐり、岩を這て、仏閣を拝し、佳景寂寞として心すみ行のみおぼゆ。

がけのふちをめぐり、岩の上を這ったりして仏閣を拝めば、周辺の景色はひっそり静まり返って、自分の心は澄みきって行くのが分かった。

 

「清風さんに勧められて予定外の山寺にやってきましたね。翁、かなり険しそうですよ」

「宿坊に今夜の予約してついでに荷物も預けよう」

「山門からいよいよ階段が始まります。1000段以上あるそうです」

「曾良さん、僕を負ぶって行ってくれませんか」

「翁!冗談は顔だけにしてくださいよ。アタシャねえロバじゃないんですから」

「曾良さんは俳句が下手だからロバかラクダのたぐいかと思っていましたよ」

「こんなに立派な顔をしたラクダなんかいませんよ」

「ミーン、ミン、ミン 蝉になって飛んでいきたいね」

「同じ飛ぶならトンボのほうがスイスイ楽そうですよ」

「トンボはすべてを超越しているようで人間を小ばかにしているね。嫌いだよ」

「そんなものですかね。コオロギでもカマキリでもいいと思うんですけど」

「一句できましたよ」

  閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声

(岩にしみいるようにセミがないている。この天地を占めているなんという宇宙の静かさろうか)

「うまい!山田君座布団一枚持ってきて」

「おいおい、僕と品のない小遊三なんかと一緒にしないでおくれ」

「翁はセミの話なんかしていましたがただのばかっ話ではなかったんですね。改めて見直しました」

「今後は朝起きたら一番に僕を拝んで賽銭でもください」

「夕方になってそこはかとなく寂しさが漂いますね。それにしても人が勧めることは素直に従った方がいい人生を過ごせそうですね。山寺に来てよかった!!!」

「話をはぐらかすのが上手ですね。曾良さん」

コメント
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