評価
ある地方都市に転校して来た小学4年生の女の子が殺された。その時、一緒に遊んでいた被害者を含む5人の女の子に声を掛けて来た男が犯人と思われたが事件は解決に至らず、被害者の母親から「あなたたちを絶対に許さない償いなさい」となじられた4人に悲劇が降りかかる。
被害者・エミリの母親からの容赦ない言葉に4人の人生は翻弄され、沙英は歪んだ性癖の夫を置き時計で殺害、教師となった真紀はプールに侵入してきた男を痛めつけ殺人に問われ、晶子は幼児虐待をしている兄を絞殺、子どもを宿した由佳は父親の男を突き落して殺害、と悲劇の連鎖が止まらない。しかし、悲劇の始まりはエミリの母親・麻子の若い頃にあったのだ。
5人それぞれの章から構成されている本作品、真紀の独白の章は湊さんの代表作「告白」を思わせるし、書簡の形をとっている沙英の章は「往復書簡」を彷彿とさせる。また都会と田舎のギャップを感じさせるのも湊さんならでは、と、いうことで、湊かなえのエキスがギュっと詰まった作品!
【追伸】
あいかわらずのイヤミスですが、終章でホッとした気持ちになることができました。