評価
作者が、その風土性に一様性が濃く、傾斜が強く、その傾斜が日本歴史に突き刺さり、なんらかの影響を歴史の背景に与えたところの土地を選んで歴訪し、司馬史観を駆使して語る歴史紀行。司馬さんに選ばれた12か所。高知、会津若松、滋賀、佐賀、金沢、京都、鹿児島、岡山、盛岡、三河、萩、大阪。なんと、盛岡が選ばれている!いや~感激!!!
盛岡のくだりを紹介。
「戦前のたしか米内内閣のときだったかに、総理大臣をふくめて旧制盛岡中学出身の大臣が四人もいた記憶があり、明治風にいえば、あたかも南部藩閥が現出したようであった。が、南部人というもののおもしろさは、かれらはつねに個々にふるまい、かつての薩長人のように郷党という利益保護団体をつくらないことであった。」
その町の人間性をなす元となった歴史的背景を丁寧に掘り下げていて、こんなに面白くためになる紀行文を読んだことがありません。いやはや名文です!さすがシバリョー!
ああ、石塔寺、石山本願寺、高月院、萩等々、行ってみたい所が増えてしまった(笑)。