評価
再読(前回2017年11月25日)。
城所安男40歳。経営していた不動産会社が倒産、妻子とは別居中で仕送りもままならぬ最悪の状態で母親が重度の病で入院。母の病は主治医も匙を投げた。兄姉は安男に母親の面倒を任せる。安男は遠く離れた名医の許へオンボロ車に母を乗せて向かうのだった。優しさが胸に迫る浅田次郎節炸裂!
サン・マルコ病院の天才心臓外科医の執刀で母は一命をとりとめるが、物語はここでは終わらない。安男の生活を支えたホステス・マリが影の主役で、2年に及ぶ安男の妻子への仕送りを支えたマリの健気さに泣ける。
安男はマリのとりなしと子どもたちの希望もあり妻子との生活に戻ることを選択しつつ、まだ、マリの一途な優しさに未練を感じつつマンションを訪れるのだがマリは忽然と姿を消していたのだった。
溢れる母子の愛情、再生される父子の愛情との対比でマリの無償の愛があまりにも哀しすぎる。
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