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迷走する帝国(上)ー塩野七生

2022年06月02日 | 読書
評価4

再読(前回2020年8月29日)。
セヴェルスの後を継いだ息子のカラカラが発令した帝国の住人全てをローマ市民権所有者とする「アントニヌス勅令」は国民の気概や向上心を損なう結果を招く。以後、マクリヌス、ヘラガバルス、アレクサンデルと続き、マクシミヌス将軍が皇帝に就任してから50年に渡る軍人皇帝の時代へと突入する。

カラカラの「アントニヌス勅令」の影響は下記の通り。
①従来の市民権所有者から「帝国の柱は自分だ」という気概を失わせた
②旧属州民の向上心や競争心を失わせた
③社会の流動性が失われた(社会の硬直化)
④上層市民、下層市民の2分化

アレクサンデル・セヴェルス(在位222年~235年)が制定した「司法上の最終決定権を各属州の総督に移譲するとした法律」は、その20年後から目立つようになったキリスト教徒への弾圧を容易にしてしまったのだった。尚、この頃、パルティアが滅亡し、ササン朝ペルシアが興っている。

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