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賢帝の世紀(中)ー塩野七生

2022年05月18日 | 読書
評価5

再読(前回2020年8月3日)。
トライアヌスを引き継いだのは同じヒスパニア・イタリカ出身のハドリアヌス。ユダヤ問題や周辺民族の反乱等諸問題が山積する中での船出だったが、21年の治世中13年もの間、帝国内の視察の旅を続け、その防衛体制を盤石なものにしたのだった。

山積する問題とは・・・
①ユダヤ問題②ブリタニア原住民の反乱③マウリタニア属州の反乱④ドナウ河北岸のサルマティア族のローマ領侵入⑤トライアヌスが始めたパルティア戦役を帝国の名誉を傷つけることなくどのように終結させるか

視察巡行はライン河防衛全線の視察から始まり、ブリタニアでのハドリアヌス防壁建造、ヒスパニア、地中海、オリエント、アテネ、北アフリカへと続くが、そんな中でも、紀元前15年前後にアグリッパが建立したパンテオンを土台から造り直したり、ローマ法の集大成ともいえるローマ大全の構想を練るなど、精力的な動きはとどまるところを知らない皇帝だった。

そんな「糞マジメ」ともいえるハドリアヌスだが、若かりし頃、皇帝の意見を元老院で読み上げる係をしていて、ラテン語が訛っていることを笑われてしまったことが口惜しくて猛勉強で訛を克服したとういうエピソードが微笑ましい。

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