評価
時は江戸末期、武家の社会制度は徳川260年の間に形骸化し、ある意味滑稽さを見せ始めていた。そんな時代に人間らしく生きること、自由に生きることを選択した人々の物語6編。
①お腹召しませ
婿養子が遊女と駆け落ちして、家を守るために家人から「腹を切れ、腹を切れ」と催促されるが、それを取り止めた武士の話。
②大手三之御門御与力様失踪事件之顛末
密室状態のお城を抜け出し決死の覚悟で女の最期に立ち会った武士の話。
③安藝守様御難事
賄賂の受け渡しをパターン化した所作にまで高めてしまった出来事。
④江戸残念考
何事も「残念」で済ませてはならぬという心意気を持つ武士の話。
⑤女敵討 ⑥御鷹狩
どの話も面白い。このような筋立ての話を6本も作れる作者の頭の中を覗いて見たい!さすが浅田次郎!