6月2日 NHK海外ネットワーク
去年国民の熱狂的な支持を受け17年ぶりに社会党の大統領となったオランド大統領。
(フランス オランド大統領)
「変化を求める動きは欧州各地で起きている。
あなたたちはその一員だ!」
ところがいまは“オランド大統領の公約ここに眠る”という墓標まで。
格差の是正を掲げる大統領がまず目指したのが富裕層に極めて重い負担を強いる税の導入だった。
しかし富裕層は強く反発し資産家や有名人がフランスを離れ国籍も変える事態となった。
支持基盤だったはずの労働組合からも反発の声が。
企業の大規模リストラを廃止するとしていた大統領は景気が回復しない中
一転 リストラを容認したのである。
今年3月の失業率は11%とこの15年で最悪の水準にまで悪化。
雇用が改善する兆しは見えていない。
就任から1年の会見でオランド大統領は自らの政策への理解を求めた。
「人気の最後まで政策の成果を見届けて欲しい。」
雇用の改善を迫られる中打ち出したのが
若者と中高年層の雇用を同時に確保することを目指す世代契約制度の導入。
中小企業が26歳未満の若者を正社員として雇用すると同時に
55歳以上の熟練労働者などを62歳まで雇用すれば
国は企業などに3年間で1万2,000ユーロ約160万円を補助する。
企業の業績悪化で改組される若者を減らすとともに中高年層にも長く働いてもらうことで
企業にも国にも利益となることを目指している。
フランス中部ブロワにある従業員40人ほどの建設会社は
景気の低迷で不安定な経営が続いていたため補助金を受け取れるこの制度を活用することにした。
その結果 これまで育ててきた職人を解雇しないで済んだと言う。
(建設会社社長)
「景気が厳しいなか補助がもらえるのは助かる。
制度のおかげで従業員を雇い続けられた。」
この制度によって契約社員から正社員になることができたキリアン・ソリエさん(19)。
職業訓練学校を卒業したソリエさんは去年 会社に契約社員として採用された。
しかし同世代の若者が多く失業している中いつ職を失うか不安を抱いてきたと言う。
(キリアン・ソリエさん)
「正社員になることができホッとしている。
家族も『自慢に思う』と言ってくれた。」
ソリエさんとともに正社員になることができたブリュノ・オリビエさん(56)。
キャリア30年のベテラン職人だが一昨年 勤めていた会社が倒産。
その後いまの会社で契約社員として働いていた。
制度には雇用の確保だけではないメリットがある。
企業の中で熟練労働者の技能や知識が着実に若者に受け継がれていくのである。
オリビエさんは長年培ってきた技能や知識をソリエさんに伝えられることの喜びを感じている。
(ブリュノ・オリビエさん)
「彼がいい仕事ができるよう一歩ずつ進歩してほしい。
私はそのためにいる。」
高止まりが続く失業率を限られた財源でどう改善するのか。
オランド政権の対策に労働問題の専門家は高い関心を寄せている。
(OECD 雇用問題主任担当官)
「世代契約制度は他に例を見ないフランスの革新的な政策だ。
どこまで効果をあげるのか他国も導入すべきか注目している。」
この制度は中高年の人たちを雇うことが必ずしも若者の雇用を奪うことにはならない
ということを示す取り組みとしていま注目されている。
今年3月から始まったばかりなので制度を活用する企業はまだ限られているが
オランド政権としては深刻な雇用状況を改善に向かわせるきっかけにしたいと考えている。
去年国民の熱狂的な支持を受け17年ぶりに社会党の大統領となったオランド大統領。
(フランス オランド大統領)
「変化を求める動きは欧州各地で起きている。
あなたたちはその一員だ!」
ところがいまは“オランド大統領の公約ここに眠る”という墓標まで。
格差の是正を掲げる大統領がまず目指したのが富裕層に極めて重い負担を強いる税の導入だった。
しかし富裕層は強く反発し資産家や有名人がフランスを離れ国籍も変える事態となった。
支持基盤だったはずの労働組合からも反発の声が。
企業の大規模リストラを廃止するとしていた大統領は景気が回復しない中
一転 リストラを容認したのである。
今年3月の失業率は11%とこの15年で最悪の水準にまで悪化。
雇用が改善する兆しは見えていない。
就任から1年の会見でオランド大統領は自らの政策への理解を求めた。
「人気の最後まで政策の成果を見届けて欲しい。」
雇用の改善を迫られる中打ち出したのが
若者と中高年層の雇用を同時に確保することを目指す世代契約制度の導入。
中小企業が26歳未満の若者を正社員として雇用すると同時に
55歳以上の熟練労働者などを62歳まで雇用すれば
国は企業などに3年間で1万2,000ユーロ約160万円を補助する。
企業の業績悪化で改組される若者を減らすとともに中高年層にも長く働いてもらうことで
企業にも国にも利益となることを目指している。
フランス中部ブロワにある従業員40人ほどの建設会社は
景気の低迷で不安定な経営が続いていたため補助金を受け取れるこの制度を活用することにした。
その結果 これまで育ててきた職人を解雇しないで済んだと言う。
(建設会社社長)
「景気が厳しいなか補助がもらえるのは助かる。
制度のおかげで従業員を雇い続けられた。」
この制度によって契約社員から正社員になることができたキリアン・ソリエさん(19)。
職業訓練学校を卒業したソリエさんは去年 会社に契約社員として採用された。
しかし同世代の若者が多く失業している中いつ職を失うか不安を抱いてきたと言う。
(キリアン・ソリエさん)
「正社員になることができホッとしている。
家族も『自慢に思う』と言ってくれた。」
ソリエさんとともに正社員になることができたブリュノ・オリビエさん(56)。
キャリア30年のベテラン職人だが一昨年 勤めていた会社が倒産。
その後いまの会社で契約社員として働いていた。
制度には雇用の確保だけではないメリットがある。
企業の中で熟練労働者の技能や知識が着実に若者に受け継がれていくのである。
オリビエさんは長年培ってきた技能や知識をソリエさんに伝えられることの喜びを感じている。
(ブリュノ・オリビエさん)
「彼がいい仕事ができるよう一歩ずつ進歩してほしい。
私はそのためにいる。」
高止まりが続く失業率を限られた財源でどう改善するのか。
オランド政権の対策に労働問題の専門家は高い関心を寄せている。
(OECD 雇用問題主任担当官)
「世代契約制度は他に例を見ないフランスの革新的な政策だ。
どこまで効果をあげるのか他国も導入すべきか注目している。」
この制度は中高年の人たちを雇うことが必ずしも若者の雇用を奪うことにはならない
ということを示す取り組みとしていま注目されている。
今年3月から始まったばかりなので制度を活用する企業はまだ限られているが
オランド政権としては深刻な雇用状況を改善に向かわせるきっかけにしたいと考えている。